三協立山が希望退職者150人を募集 21億円赤字で収益構造改革へ

アルミ建材大手の三協立山株式会社が、国内の正社員を対象に希望退職者を最大150人募集すると発表しました。業績悪化により、2025年度中間決算が約21億円の赤字となったことを受け、収益構造の抜本的な見直しと組織のスリム化を進めるのが狙いです。

募集の概要:50~64歳の正社員が対象、最大150人

今回の希望退職は、国内に勤務する一定年齢以上の社員を対象として実施されます。報道によれば、

  • 募集人数:上限150人
  • 対象:50~64歳前後の正社員(報道各社により表現は多少異なるものの、おおむね50代以上のベテラン層が中心)
  • 募集は国内勤務者が対象

業務・組織体制の見直しを進める中で、人員構成をスリム化し、固定費の削減を図ることが目的とされています。北日本新聞の報道によると、三協立山は国内で150人を上限に希望退職を募る方針を示しており、収益構造改革の一環として位置付けられています。

また、鉄鋼・非鉄金属関連を扱う産業新聞も、三協立山が構造改革に伴う希望退職の募集を行うと伝えており、上限150人と明記しています。対象は、一定の年齢以上の社員としており、会社としては、長年在籍してきた人材のキャリア選択を尊重しつつ、組織の若返りと人件費の適正化を進める意図があるとみられます。

背景にあるのは21億円の中間赤字

今回の希望退職募集の大きな理由となっているのが、直近の業績悪化です。報道では、三協立山の2025年度中間決算が約21億円の赤字となったことが伝えられています。アルミ建材を中心とした事業環境の悪化や、原材料費・エネルギーコストの上昇、人件費の増加などが重なり、収益を圧迫しているとされています。

特に、住宅関連需要の変化や建設投資の動向は、同社の主力であるアルミサッシ・ビル建材事業に大きな影響を与えます。加えて、物価高や人手不足など、全国的に企業経営を取り巻く環境が厳しさを増しているなかで、地方に生産拠点を持つメーカーは、固定費の負担が重くのしかかりやすい状況にあります。

こうした中で三協立山は、今回の希望退職募集を、単なる一時的なコスト削減策としてではなく、「収益構造改革」の一環と説明しています。つまり、人員削減だけでなく、事業ポートフォリオの見直しや業務プロセスの効率化、組織構造の再編など、より広い範囲での改革を組み合わせる方針です。

17年ぶりの希望退職募集という重み

報道各社によると、三協立山が希望退職を募るのはおよそ17年ぶりとされています。会社にとっても、頻繁に行うような施策ではなく、経営上の岐路に立たされた局面だということがうかがえます。

企業が長い期間希望退職を実施していない場合、社内にはベテランの社員が多く在籍していることが一般的です。そうした社員は、技術やノウハウ、取引先との信頼関係など、会社にとって大きな財産でもあります。一方で、人件費や福利厚生費の負担は大きく、競争が激しい業界では、組織の年齢構成が重くなると機動力が落ちるという側面もあります。

17年ぶりの実施という点は、三協立山が現在の経営環境を相当に厳しく捉え、中長期的な企業体質の転換を迫られていることを示しているといえるでしょう。また、それだけに、退職者のキャリア支援や、残る社員の負担増をどう防ぐかといった、会社側の配慮も重要になってきます。

富山を拠点とする企業としての影響

三協立山は、富山県を基盤とする有力企業の一つとして、地域経済や雇用に大きな存在感を持っています。今回の希望退職募集は全国の拠点を含む「国内」が対象とされていますが、本社や主要工場を置く富山県にとっても、決して小さくないニュースです。

希望退職はあくまで「任意」であり、強制的な解雇ではありませんが、50代~60代前後の社員が一定数会社を離れることになります。これにより、

  • 地域の雇用環境への影響
  • 地元に暮らす社員やその家族の生活設計
  • 協力会社・取引先への波及

などが懸念される一方で、再就職支援などが手厚く行われれば、地域経済全体として人材の流動性が高まり、新たな産業やサービスが生まれるきっかけとなる可能性もあります。

富山県内では、人口減少や若年層の県外流出といった課題も指摘されています。そうしたなかで、地元の中核企業が安定して活動を続けられるかどうかは、県全体の活力にも直結します。今回の収益構造改革が、結果として三協立山の経営基盤を強化し、長期的に地域経済を支える力につながるかどうかが注目されます。

希望退職の一般的な流れと、社員への影響

今回の三協立山のケースに限らず、日本企業が希望退職を実施する際には、一般的に次のような流れや特徴があります。

  • 対象者の条件提示:年齢や雇用区分(正社員など)を明示
  • 募集期間の設定:一定の応募期間を設け、本人の意思による退職を基本とする
  • 割増退職金の支給:通常の退職金に上乗せした金額を提示し、応募を促す
  • 再就職支援:転職支援会社との連携や、社内での相談窓口設置などを行うケースも多い

三協立山についても、具体的な割増退職金の条件や再就職支援の詳細などは現時点で報道が限られていますが、大手企業の事例にならえば、一定の優遇措置を設けて、退職を選ぶ社員の生活設計をサポートする方向性が予想されます。

一方で、希望退職を実施した企業では、その後、残った社員の業務負担が増えやすいことも課題として知られています。人数が減った分、同じ仕事量をこなす必要があったり、担当業務の引き継ぎがうまくいかなかったりすると、職場の疲弊やモチベーション低下につながるおそれがあります。

そのため、三協立山が今後取り組むべきポイントとしては、

  • 業務プロセスの見直しやデジタル化を進め、単なる「人減らし」にとどめないこと
  • 残った社員への丁寧な説明と対話を重ね、不安を和らげること
  • 中長期的な成長戦略を明確にし、「この改革の先に何があるのか」を社内外に示すこと

などが挙げられます。こうした対応がうまくいけば、希望退職は単なるコスト削減策ではなく、企業の体質改善と次の成長ステージへの準備として位置づけられる可能性があります。

収益構造改革の行方と今後の注目点

今回の発表は、あくまで「希望退職の募集開始」というスタート地点であり、三協立山の収益構造改革は、これから本格的に進んでいく段階にあります。今後の注目点としては、次のようなものが考えられます。

  • 実際に何人が応募するのか:上限150人に対し、どの程度の応募があるかは、会社への信頼感や提示条件の妥当性を測る一つの指標になります。
  • 事業ポートフォリオの見直し:どの分野に経営資源を集中し、どの分野を縮小・撤退していくのか、具体的な戦略が問われます。
  • 生産体制・拠点の再編:工場や営業所など、拠点の整理・統合が行われるかどうかも、今後の焦点となり得ます。
  • 投資家・取引先の反応:収益構造改革の進捗は、株価や取引条件にも影響する可能性があります。

収益構造改革は、一度実施すればすぐに結果が出るという性質のものではありません。とくに、建材やアルミ関連のような設備投資型の産業では、投資回収に時間がかかり、景気動向にも左右されやすいため、数年単位での視点が必要になります。

その中で、今回の希望退職募集は、三協立山が「守りの改革」から「攻めの改革」へ転じるための第一歩と言えます。人員とコストを見直しつつ、新たな技術や商品、サービスへの投資をどう進めるかが、同社にとって重要なテーマとなるでしょう。

地域とともに歩む企業として

三協立山は、長年にわたり、富山をはじめとする地域社会とともに歩んできた企業です。住宅用サッシやビル用建材など、暮らしや都市空間に密接に関わる製品を提供してきた実績は、地方から全国・世界へと展開してきた日本企業の一つのモデルケースとも言えます。

今回の希望退職募集と収益構造改革は、一見するとマイナスのニュースに映るかもしれません。しかし、厳しい環境の中で経営の舵を切り直し、次の世代に持続可能な会社を引き継いでいこうとする動きとも受け取ることができます。

社員一人ひとりにとっては、大きな決断を迫られる場面でもありますが、その人生やキャリアが少しでも前向きなものとなるよう、会社・地域・行政・支援機関が連携してサポートしていくことが大切です。三協立山の今後の改革の進み方と、その結果としてどのような企業像へと変わっていくのか、多くの人が見守っています。

参考元