高市首相と菅義偉元首相、維新・馬場伸幸氏が会食 憲法改正協議の舞台裏
高市早苗首相が、首相官邸で日本維新の会の馬場伸幸前代表と会食し、さらにその場には菅義偉元首相も同席していたことが明らかになりました。 憲法改正や国会の憲法審査会の運営をめぐる状況などについて意見を交わしたとされ、今後の国会運営や与野党の駆け引きに大きな影響を与えうる動きとして注目されています。
この会食は、与党・自民党と野党・日本維新の会、そしてその「橋渡し役」としての役割を持つ菅義偉元首相という、現在の政界で重要な位置を占める3者が一堂に会した形となりました。 憲法改正をめぐる議論が本格化しつつある中で、実務的かつ現実的な連携の可能性を探る場になったと見られます。
官邸での会食に菅義偉元首相も同席
報道によると、高市首相は7日夜、首相官邸で日本維新の会・馬場伸幸前代表と会食しました。 会食の場には、自民党の菅義偉元首相も同席していました。 菅氏は馬場氏と関係が深いことで知られており、この人間関係が今回の会食の場を生み出すきっかけとなったようです。
会食後、馬場氏が記者団の取材に応じ、会食の内容や雰囲気について一部を明らかにしました。 それによれば、会食の場では憲法改正に関する意見交換が行われただけでなく、高市首相が衆院議員宿舎から首相公邸へ引っ越したことなど、政治の裏側や日常に関わる話題も上がったとされています。
また、首相と馬場氏との面会は、高市首相側が希望し、菅元首相が仲介する形で実現したと伝えられています。 ここには、菅氏が今なお政界において重要な「調整役」としての影響力を持っていることがうかがえます。
憲法改正と憲法審査会をめぐる意見交換
今回の会食で、大きなテーマとなったのが憲法改正と、衆参両院に設置されている憲法審査会の現状です。 憲法審査会は、憲法改正の発議に向けた具体的な議論を行う重要な場であり、その運営や議題設定をどう進めるかが、実質的な憲法改正議論の前進を左右します。
馬場氏は会食の場で、現在、衆参両院の憲法審査会の会長ポストを立憲民主党が握っている現状に言及しました。 これに対し、高市首相は「困ったもんだね」と応じたとされています。 このやり取りは、与党側や日本維新の会など、憲法改正に前向きな勢力から見た場合、現状の国会内の議論の進み方に対するいら立ちや問題意識を象徴するものだと言えます。
憲法改正をめぐっては、自民党を中心に、これまでも緊急事態条項の創設、自衛隊の明記など、複数のテーマについて改正案が検討されてきました。一方で、立憲民主党など慎重な立場の野党は、拙速な議論や政権側の政治的思惑を警戒し、審査会での本格的な審議入りに慎重な姿勢を崩していません。その結果、「審査会はあるが、議論は十分に深まっていない」という状況が続いているとの指摘もあります。
こうした中で、高市首相と、憲法改正に積極的な姿勢を示してきた日本維新の会の馬場氏が、菅元首相を交えて意見交換を行ったことは、今後、憲法審査会での議論の加速や、憲法改正に向けた与野党間の新たな連携の可能性を探る一歩として受け止められています。
菅義偉元首相の「仲介役」としての存在感
今回の会食で特に注目されるのが、菅義偉元首相の役割です。報道によれば、高市首相と馬場氏との面会は、高市首相側の希望を受けて菅元首相が仲介したとされています。 これは、菅氏が自民党内のみならず、日本維新の会をはじめとする他党の幹部とも太いパイプを持ち、そのネットワークを通じて政界再編や政策連携に影響を与えうる立場にあることを示しています。
菅氏は、首相在任中から日本維新の会との関係を重視してきたとされ、特に大阪を拠点とする維新との間で、地方分権や行政改革などのテーマで一定の共通性を持ってきました。その延長として、今回のような形で、自民党と維新の「橋渡し役」として動いたとみることができます。
自民党内では、岸田政権以降も、菅氏は派閥を率いるタイプではないものの、実務に通じ、人脈を活かして局面を動かす「実力者」として存在感を保っているとされています。今回の会食も、表に出にくい政界の水面下の調整の一端を映し出すものといえるでしょう。
高市政権と日本維新の会の関係性
高市早苗首相は、保守色の強い政治姿勢で知られ、安倍晋三元首相や菅義偉元首相らとの関係も深いとされてきました。一方、日本維新の会も、保守的な立場を基調としつつ、規制改革や行政改革、統治機構改革などを強く掲げている政党です。このため、政策分野によっては、自民党の一部と維新の主張が重なりやすい構図があります。
今回の会食により、高市政権と日本維新の会の間で、憲法改正をはじめとする重要政策テーマについて、どの程度まで歩調を合わせていくのかが今後注目されます。 特に、憲法審査会を通じた議論の進め方をめぐっては、「改憲勢力」とされる与党・一部野党がどのような戦略を描くのかが問われる局面となります。
日本維新の会はこれまでも、憲法改正に前向きな立場を明確にしており、自民党に対して議論の加速を促す場面も見られました。他方で、政権与党との距離感については慎重な計算も働いており、「是々非々」のスタンスを崩さないと繰り返し表明してきました。今回の会食が、そうした維新の立ち位置にどのような影響を与えるのかも、今後の焦点となります。
憲法審査会の現状と今後の展望
会食の中で話題に上ったとされる、衆参両院の憲法審査会の会長ポストを立憲民主党が握っているという点は、現下の憲法改正議論の「詰まり具合」を象徴する問題として受け止められています。 憲法審査会の会長は、審査会の開催頻度や議題設定、運営方針に強い影響力を持つため、そのポストをどの政党が担うかは、実質的な議論の進展に直結します。
高市首相が「困ったもんだね」と述べたとされるのは、首相自身が憲法改正に前向きな姿勢を示しているにもかかわらず、国会内の手続きやポスト配分の現状が、議論の前進を阻んでいるという認識を示したものと受け止められます。 もっとも、憲法改正のプロセスは、本来、与野党を超えた幅広い合意形成が求められるものであり、一方的に審議を進めればよいという性格のものではありません。その意味で、審査会会長ポストの問題は、単なる「数の論理」だけでは片付けられない複雑さをはらんでいます。
今後、与党側や日本維新の会などが、立憲民主党を含む他の野党に対してどのように働きかけ、憲法審査会の場を通じて建設的な議論を積み重ねていくのかが問われることになります。今回の高市首相・菅元首相・馬場氏による会食は、その一つのきっかけとして位置付けられるかもしれません。
首相公邸への引っ越しも話題に
会食の席では、政治の中枢に関わる話題だけでなく、高市首相が衆院議員宿舎から首相公邸へ引っ越したことも話題に上ったとされています。 首相公邸は官邸に隣接しており、危機管理や公務遂行の面からも重要な拠点となる場所です。
首相が公邸に入居するかどうかは、その時々の政権や首相本人の事情によって異なってきましたが、公邸への入居は、「政権の本格稼働」を象徴する出来事として受け止められることも少なくありません。今回、その話題が会食の席で取り上げられたことは、高市政権が本腰を入れて政策課題に取り組んでいくというメッセージとしても解釈できます。
菅義偉氏の今後の役割と政界への影響
菅義偉元首相は、首相退任後も、自民党内での人脈と調整力を生かしながら、重要局面で存在感を示してきました。今回、自民党の現職首相と、日本維新の会の前代表との会食の場を仲介したことは、菅氏が今なお政界の「ハブ」として機能していることを象徴する出来事と言えます。
今後も、菅氏が与野党の有力政治家とのパイプを通じて、水面下での調整や連携の模索に関わっていく可能性は高いとみられます。その動きは、高市政権の政策運営、日本維新の会との関係構築、さらには憲法改正を含む大きな政治課題の行方に影響を与えることが予想されます。
今回の会食は、一見すれば短時間の意見交換に過ぎないようにも見えますが、憲法改正という日本の将来に直結するテーマをめぐり、与党と野党の一角、そして調整役の元首相が顔を合わせたという点で、今後の日本政治の動きを読み解くうえで見逃せない出来事となっています。



