ガソリン暫定税率が廃止—50年の「暫定措置」がついに終焉
1974年に導入されたガソリン暫定税率が本日12月31日をもって廃止されました。本来は2年間限定のはずだった暫定措置が、約50年にわたって延長され続けてきた税制改革が、ついに実現する歴史的な日となりました。
暫定税率とは何か—複雑なガソリン税の仕組み
ガソリンに課せられる税金は非常に複雑な構造をしており、複数の税が組み合わさっています。国税である揮発油税と地方税である地方揮発油税があり、暫定税率はこれらの税率に上乗せされている部分です。
現在のガソリン1リットル当たり160円の場合、税金の内訳は以下の通りです:
- 揮発油税と地方揮発油税の合計:53.8円(このうち暫定税率分が25.1円)
- 石油石炭税:2.8円
- 消費税:約14.5円(本体価格と上記税を合算した金額に対して10%)
このうち、暫定税率の25.1円分が廃止されることになります。この減税により、全国のドライバーの負担が大幅に軽減されることになります。
なぜ「暫定」が50年も続いたのか
暫定税率は1974年に道路整備を進めるための財源として導入されました。本来は2年間の時限的な措置として始まりましたが、その後の道路整備需要の増加に伴い、繰り返し延長され続けてきました。この長期延長は、日本の政治の中でも異例の事態でした。
2025年11月28日の参議院本会議で関連法案が全会一致で可決・成立し、長年の懸案であった税制改正が保守と野党を超えた政治的コンセンサスとして結実しました。
ドライバーの家計にもたらす変化
暫定税率の廃止により、ガソリン価格は大幅に低下することが見込まれています。暫定税率廃止による約28円の値下がりに加えて、消費税の軽減分も含まれます。
政府はガソリン価格の急激な変動を避けるため、「ソフトランディング方式」を採用しました。2025年11月13日から補助金を段階的に引き上げ、12月11日には暫定税率と同水準の25.1円を支給することで、廃止時点には補助金効果で価格の下落がすでに浸透しており、原油価格や為替の急変がない限り、当日の急激な店頭価格の変動は生じにくいと見込まれています。
一般的な車種で月1回満タン給油する場合、現在価格160円/リットルから廃止後132円/リットルになると仮定すると、月間のガソリンコストが大きく軽減されることになります。
地域経済への波及効果
ガソリン価格の低下は、個人の家計だけでなく、地域経済全体に波及することが期待されています。物流コストの削減により商品価格が低下し、観光地への訪問が増加する可能性もあります。地方の観光業界や運送業界では、この改革による経済効果に期待を寄せています。
政治的コンセンサスの形成
今回の暫定税率廃止は、与野党を超えた政治的合意の結果です。国民民主党の玉木雄一郎代表は、地元香川県で街頭演説を行い、この廃止実現への感謝を訴えました。長年にわたって各地域で求められてきた改革が、ようやく実現した形です。
課題として残る財源問題
暫定税率廃止による最大の問題は、年間約1兆円(ガソリン分のみ)に上る税収減です。全国知事会の試算では、地方分だけで約5,000億円の減収になるとされており、安定的な代替財源の確保が求められています。
政府は廃止に伴う移行期の混乱を防ぐための対策を講じていますが、中長期的には道路整備や社会インフラの維持を含めた代替財源の確保が大きな課題として残ります。
今後のスケジュール
ガソリンの暫定税率は本日12月31日に廃止されます。一方、軽油引取税の暫定税率は2026年4月1日に廃止される予定です。段階的な廃止により、関連業界や利用者への影響を最小限に抑える工夫がなされています。
国民生活への今後の影響
この歴史的な政策転換は、私たち一人ひとりの家計に直接的な変化をもたらします。ガソリン価格の低下により、自動車利用者の負担が軽減されることになります。ただし、道路整備などの社会インフラの維持にかかる費用をどのように確保するのかという課題も、今後の重要な検討事項となります。
50年続いた「暫定」制度の終了は、単なる値下げとしてだけでなく、日本の税制と公共政策の在り方についての議論をもたらしています。


