FC東京、セルティック稲村隼翔&新潟橋本健人をW獲得へ “松橋チルドレン”で守備陣テコ入れ
FC東京が、来季に向けて守備陣の大きな補強に動いています。スコットランド1部セルティック所属のDF稲村隼翔選手を期限付き移籍で、来季J2で戦うアルビレックス新潟のDF橋本健人選手を完全移籍で獲得することが、複数の報道で明らかになりました。
いずれの選手も、新潟時代にFC東京の松橋力蔵監督の指導を受けて成長してきた、いわゆる「松橋チルドレン」。FW長倉幹樹選手に続く“教え子”の補強となり、来季のFC東京の戦い方を左右する重要な補強として注目を集めています。
稲村隼翔、セルティックから古巣FC東京へ期限付き復帰へ
DF稲村隼翔選手(23)は、スコットランド1部・セルティックからFC東京へ期限付き移籍で加入することが決定的と報じられています。
期限付き移籍の期間は、報道では来年6月までとされていますが、詳細な契約内容は今後の正式発表で明らかになる見通しです。
稲村隼翔の経歴と特徴
- 東京都出身で、FC東京U-15深川出身
- 前橋育英高から東洋大へ進学し、在学中の2023年に新潟の特別指定選手としてJ1デビュー
- アルビレックス新潟では、2024年のYBCルヴァンカップ準優勝に貢献
- 2025年7月、アルビレックス新潟からスコットランド・セルティックに4年契約で完全移籍
- ポジションは左利きのセンターバックで、正確なキックとビルドアップ能力が持ち味
セルティック移籍後は、リーグ戦の出場が1試合にとどまり、思うような出場機会を得られませんでした。 そのため、より多くの試合に出場できる環境を求めて、日本への帰国を決断したと報じられています。
FC東京は今夏にも、左足のフィードに優れたDFとして稲村選手の獲得に興味を示していましたが、当時は本人が欧州挑戦を選んだため見送られていました。 それでもクラブ側は稲村選手の状況を注視し続け、粘り強く交渉を重ねた結果、来季の補強の目玉として迎え入れる形になったと伝えられています。
FC東京で期待される役割
稲村選手は、FC東京のユース出身ということもあり、約9年ぶりに「地元・東京」で青赤のユニフォームに袖を通すことになります。
松橋監督は、新潟時代から稲村選手の戦術理解度の高さとビルドアップ能力を高く評価しており、FC東京でも後方からの組み立てを担う重要な存在となることが期待されています。
また、セルティックで出場機会に恵まれなかった悔しさをバネに、Jリーグの舞台で改めて自身の価値を証明するシーズンとなりそうです。
橋本健人、来季J2の新潟から完全移籍で加入へ
一方、DF橋本健人選手(26)は、来季J2で戦うアルビレックス新潟から完全移籍でFC東京へ加入することが、複数の関係者の話として報じられています。
交渉はすでに大筋合意に達しており、橋本選手については一両日中にも正式発表される見通しとされています。
橋本健人の経歴とプレースタイル
- 神奈川県・横浜市出身
- 横浜FCの下部組織出身
- 慶應義塾大学在学中の2020年、J2レノファ山口の特別指定選手に登録
- その後、横浜FCへの期限付き移籍、徳島ヴォルティスを経て、2024年夏にアルビレックス新潟へ完全移籍
- ポジションは左サイドバックで、左利きのサイドプレーヤー
橋本選手は、豊富な運動量と高精度のクロスボールを武器とする左サイドバックで、今季新潟では27試合(先発18試合)に出場し、主力としてシーズンを戦いました。
縦への推進力と、攻撃参加のタイミングの良さに定評があり、サイドからのチャンスメイクが得意なタイプです。
FC東京の補強ポイントと橋本健人への期待
今季のFC東京は、左サイドバックを本来右利きのDF室屋成選手が務めることも多く、左利きのサイドバックは手薄なポジションとなっていました。
そのため、橋本選手の加入によって、左サイドバックに自然な利き足の選手を起用できるようになり、攻撃面でも守備面でもバランスが取りやすくなると見られています。
特に、攻撃時には高い位置を取ってサイドから質の高いクロスを供給できるため、FW陣にとっても心強い存在となるでしょう。
“松橋チルドレン”が揃うFC東京の新体制
今回の稲村選手・橋本選手のW獲得は、すでに加入が決定的とされているFW長倉幹樹選手(浦和から完全移籍見込み)に続く、いわゆる「松橋チルドレン」の補強となります。
3選手はいずれも、アルビレックス新潟時代に松橋監督の指導を受けており、監督の戦術や求められるプレーの方向性をすでによく理解している点が共通しています。
これにより、松橋監督がFC東京で目指すサッカーを、よりスムーズにピッチ上で体現できる体制が整いつつあると言えます。
守備陣とビルドアップの強化という狙い
今回の補強で特に目立つのは、「左利きのDF」を2名同時に加える点です。
- 稲村隼翔:左利きのセンターバック
- 橋本健人:左利きの左サイドバック
左利きのディフェンダーは、ビルドアップやサイドチェンジの局面でボールを自然な体の向きで扱えるため、後方からのパスワークに大きなメリットをもたらします。
今季のFC東京は、試合の中でビルドアップが停滞したり、左サイドからの攻撃が単調になる場面も見られました。その課題に対して、
- 後方から精度の高い左足のフィードを出せるセンターバック(稲村)
- タッチライン際をえぐって高精度なクロスを上げられるサイドバック(橋本)
という2つのピースを同時に加えることで、チーム全体の攻撃の組み立てと守備の安定感を底上げする狙いがあると考えられます。
欧州挑戦からの再出発となる稲村隼翔
稲村選手にとって、今回の移籍は、欧州挑戦からの再出発という意味合いも持ちます。
セルティック加入からわずか半年での退団・レンタル移籍という報道は、若手日本人選手が欧州で出場機会を得ることの難しさを象徴する事例としても取り上げられています。
ただし、短期間で欧州を離れることが必ずしも後退を意味するわけではなく、「試合に出られる環境を選ぶ」というキャリアの選択として評価する声もあります。
信頼する松橋監督のもとで、Jリーグ上位を目指すFC東京という舞台でどのような成長を見せるか、多くのサポーターや関係者が注目しています。
新潟にとっての痛手と、FC東京にとっての追い風
アルビレックス新潟は、来季からJ2での戦いに臨む中で、主力級のDFである稲村選手(今夏退団)と橋本選手を相次いで失う形になります。
一方のFC東京にとっては、J1残留争いを経験した今季の反省を踏まえ、守備の安定化とビルドアップ能力の向上に直結する補強となりそうです。
特に、
- 左サイドの守備と攻撃の両面を強化
- 松橋監督の戦術を理解している選手の比率を高める
という点で、チームづくりの軸をより明確にする動きとしても意味のある補強と言えるでしょう。
今後の正式発表とポジション争いの行方
現時点では、両選手ともクラブからの正式発表は出ておらず、報道ベースでの情報となっています。 ただし、複数のメディアが「交渉は大筋合意」「決定的」と伝えており、間もなくFC東京からの公式リリースが発表されると見られています。
正式加入が実現した場合、
- センターバック陣のレギュラー争いに稲村選手が加わる
- 左サイドバックでは橋本選手と既存メンバーとの競争が激化する
ことが予想され、ポジション争いのレベルアップがチーム全体の底上げにもつながっていきそうです。
FC東京サポーターにとっては、ユース出身の選手が再びクラブに戻ってくる嬉しさと、新潟で成長した左利きサイドバックの加入という、楽しみの大きいニュースとなりました。今後の正式発表と、両選手の背番号や起用法にも注目が集まりそうです。



