塩野義製薬が田辺ファーマからALS治療薬エダラボン事業を約3940億円で買収 患者さんへの貢献を強化
皆さん、こんにちは。今日は、製薬業界で大きなニュースをお伝えします。2025年12月22日、塩野義製薬株式会社が、田辺ファーマ株式会社から筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの治療薬であるエダラボン事業を、日米を含むグローバルで買収することを発表しました。この買収額は総額25億ドル(約3940億円)で、塩野義製薬にとって過去最大規模の取引です。このニュースは、ALSという難病に苦しむ患者さんたちの未来に大きな希望を与えるものとして、注目を集めています。
エダラボン事業買収の詳細をわかりやすく解説
まず、買収の概要から優しく説明しましょう。塩野義製薬は同日開催の取締役会で、この事業買収を正式に決議しました。対象は、エダラボン(日本での製品名:ラジカット、米国での製品名:Radicava)の日米を含むグローバルでの全権利です。これには、知的財産権や販売権などが含まれます。
買収の対価は、手続き完了時に25億ドル(日本円で約3941億円、1ドル=157.67円換算)を支払います。また、一定の条件を満たした場合、将来の売上に応じたロイヤリティも支払う予定です。米国では、田辺ファーマが2025年度中に新設する事業会社を、塩野義製薬の米国子会社Shionogi Inc.が完全子会社化します。これにより、米国市場での強固な販売基盤と、希少疾患に詳しい人材やノウハウを獲得します。
日本を含む米国以外の地域については、販売移管や承認承継の時期を今後検討します。重要な点として、現行のサプライチェーンや製品供給状況に変更はなく、患者さんの治療に影響が出ないよう配慮されています。
ALS(筋萎縮性側索硬化症)とは? エダラボンの役割
ここで、少しALSについておさらいしましょう。ALSは、運動神経が徐々に壊れていく難病で、筋肉が動かなくなったり、呼吸が苦しくなったりする症状が出ます。現在、根本的な治療法はなく、患者さんはとてもつらい思いをしています。そんな中、エダラボンはALSの進行を遅らせる効果が認められた貴重な治療薬です。日本ではラジカットとして、米国ではRadicavaとして使われていて、多くの患者さんが頼りにしています。
この薬の事業は、年間売上1000億円以上を上げており、塩野義製薬は2026年度以降、この収益が同社の売上と利益に継続的に貢献すると見込んでいます。買収により、塩野義製薬はエダラボンをグローバルでしっかり守り、さらに発展させていくそうです。
塩野義製薬の狙い:患者さん中心の事業拡大
塩野義製薬の代表取締役会長兼社長CEO、手代木功さんは、この買収について次のようにコメントしています。「当社は『健やかで豊かな人生への貢献』を大切にしています。ALS患者さんのアンメットニーズに応えるために、エダラボンの全権利を取得し、希少疾患領域を強化します」。
同社はこれまで感染症薬で知られていましたが、最近はQOL(生活の質)を高める疾患、いわゆるQOL疾患に力を入れています。今回の買収で、希少疾患のポートフォリオを拡充し、米国での事業基盤を強めます。特に、2025年12月1日に継承した別の事業でも希少疾患の開発品を持っているため、相乗効果が期待されます。
- 獲得する主な資産:エダラボンのグローバル全権利
- 米国市場:強固な販売基盤と専門人材
- 全体の効果:患者さんへの治療提供拡大と収益貢献
このように、塩野義製薬は患者さんを第一に考え、持続的な成長を目指しています。
田辺ファーマの視点:財務強化と日本市場への再投資
一方、譲渡する田辺ファーマの代表取締役CEO、原田明久さんも、この取引を歓迎しています。田辺ファーマは大阪市中央区に本社を置き、医療用医薬品の製造・販売を主な事業としています。
田辺ファーマにとって、この譲渡は財務基盤を強化するチャンスです。約3940億円の対価と将来ロイヤリティを受け取り、これを日本の市場への再投資に充てます。具体的には、臨床パイプラインの拡充や研究開発を進め、日本事業をより強くしていく計画です。
田辺ファーマは「塩野義製薬のプラットフォームに加わることで、エダラボンがより多くの患者さんに届けられる」と期待を述べています。また、規制当局の承認が必要ですが、手続きをスムーズに進める方針です。
業界への影響と今後の見通し
この買収は、製薬業界全体に波及効果をもたらします。塩野義製薬は過去最大の3900億円規模の取引で、希少疾患市場での存在感を高めます。一方、田辺ファーマは資金を活かして新薬開発を加速。日本市場の活性化につながるでしょう。
両社とも、患者さんのために協力する姿勢が印象的です。エダラボンの供給が安定し、ALS治療の選択肢が広がることで、患者さんやご家族の負担が少しでも軽くなることを願っています。
なお、この契約は2025年12月22日15時10分頃に発表され、即座に業界で話題になりました。詳細は両社の公式発表をご確認ください。
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