ヨルシカ、全22曲入り新アルバム『二人称』配信決定 “書簡型小説”を音楽で描く新たな挑戦
コンポーザーのn-buna(ナブナ)とシンガーsuis(スイ)による音楽ユニット・ヨルシカが、約3年ぶりとなるフルアルバム『二人称』をデジタルアルバムとしてリリースすることを発表しました。配信日は2026年3月4日で、全22曲を収録したボリュームたっぷりの作品となります。「太陽」「晴る」「忘れてください」「修羅」「火星人」「ルバート」「アポリア」「へび」「月光浴」といった既発曲に加え、「ヒッチコック」のリレコーディング、新曲12曲が収められます。
さらに、アルバムに先駆けて収録曲「プレイシック」が2025年12月22日に先行配信されることも決定しました。「プレイシック」は、この夏からダイハツ「ムーヴ キャンバス ストライプス」のテレビCMソングとしてオンエアされ、音源化を待ち望む声が多く寄せられていた楽曲です。
“書簡型小説”『二人称』を音楽で表現するコンセプトアルバム
今回のアルバム『二人称』の大きな特徴は、n-bunaが原案・執筆を手がける“書簡型小説”『二人称』を音楽で表現した作品であるという点です。
この小説『二人称』は、2026年2月26日に講談社から発売予定の書籍で、読者が実際に封筒を開封しながら物語を読み進めるという、非常にユニークな“体験型文学”として構成されています。
物語は、「詩を書く少年」と「文学を教える先生」の二人の文通を中心に展開。作品は小封筒32通、そして原稿用紙と便箋あわせて約170枚という構成で、読者が一通ずつ手紙を取り出しながら、二人の世界へ没入していける仕組みになっています。
ヨルシカはこれまでも、言葉や文学、詩をモチーフにした楽曲を多く発表してきましたが、今回の『二人称』は、そうした彼らの世界観が結晶したようなプロジェクトです。小説自体は、ヨルシカを知らない読者でも「一つの物語」として楽しめるように作られている一方で、アルバム『二人称』を聴くことで、その物語に音楽的な奥行きが与えられる構造になっています。
アルバム『二人称』の収録内容と聴きどころ
デジタルアルバム『二人称』は、全22曲という大ボリュームで構成されています。
- 既発曲:「太陽」「晴る」「忘れてください」「修羅」「火星人」「ルバート」「アポリア」「へび」「月光浴」
- リレコーディング曲:「ヒッチコック」
- 新曲:12曲(タイトル未公開)
- その他含めて全22曲
「太陽」や「晴る」、「忘れてください」といった作品は、既に配信やライブなどでファンに親しまれてきた楽曲ですが、今回のアルバムでは「書簡型小説『二人称』」のストーリーの中で、新たな意味合いを帯びて響くことになりそうです。
また、「ヒッチコック」は、既に代表曲の一つとして愛されている楽曲ですが、今作ではリレコーディング版として収録。サウンド面や歌のニュアンスなど、どのような変化が施されているのかも、大きな注目ポイントです。
まだ新曲の詳細なタイトルや歌詞内容などは明かされていませんが、「詩を書く少年」と「文学を教える先生」の手紙のやりとりを軸にした物語と、全22曲の音楽がどのようにリンクしていくのかは、作品全体の大きな聴きどころになるでしょう。
先行配信曲「プレイシック」―CMをきっかけに広がる楽曲の魅力
アルバム『二人称』の収録曲「プレイシック」は、アルバムリリースに先駆けて2025年12月22日に先行配信されます。
「プレイシック」は、ダイハツ「ムーヴ キャンバス ストライプス」のテレビCMソングとして、この夏からオンエアされてきた楽曲で、耳に残るフレーズと繊細なメロディラインが印象的だと評判を集めてきました。
CMをきっかけにヨルシカを知ったリスナーも多く、「フルサイズで聴きたい」「配信してほしい」という声がSNSなどで多数上がっていた中での、待望のリリースとなります。CMで聴きなじんだ一節が、フルバージョンではどのような展開を見せるのか、そしてアルバム『二人称』全体のストーリーの中で、どのような役割を担う楽曲なのかも注目されます。
“体験型文学”としての小説『二人称』と、その商品構成
音楽アルバム『二人称』と連動する書簡型小説『二人称』は、講談社から2026年2月26日に発売予定です。
商品構成は、以下のように発表されています。
- 小封筒:32通
- 原稿用紙+便箋:約170枚
- 大封筒:1個
- 外箱(315mm×315mm):1個
読者は、箱の中に収められた数々の封筒を一通ずつ開封しながら、「詩を書く少年」と「文学を教える先生」の手紙を読み進めていきます。物語は、単なるテキストではなく、“手紙を受け取る体験そのもの”として設計されており、音楽と同様に“時間の流れ”や“距離感”を感じられるような演出が施されています。
ヨルシカはこれまでも、アルバム単位で物語性の強い作品を発表してきましたが、今回は音楽という枠を越え、“小説”という形で物語を提示し、その物語をもう一度音楽で照らし出すという、二重のレイヤー構造を採用しています。これにより、読む体験と聴く体験が互いに響き合い、一つの大きな作品世界を彩る構想となっています。
ヨルシカのこれまでと、『二人称』が示す新たなステップ
ヨルシカは、結成当初から「文学的な歌詞」「物語性の高いアルバム構成」「繊細なサウンドメイク」といった特徴で、インターネット発の音楽シーンを牽引してきました。ボーカロイド文化から地続きの感性を持ちながらも、生演奏とポップスの枠の中で、独自の色合いを築いてきたユニットでもあります。
これまでの作品でも、言葉や記憶、時間、感情のすれ違いといったテーマが繰り返し描かれてきましたが、『二人称』では、それがさらに文通というかたちで結晶しています。手紙というメディアは、送ってから届くまでに時間差があり、相手の顔が見えないまま言葉だけが先行する、不思議なコミュニケーションです。
その“距離”や“時差”は、音楽の中に現れる「モノローグ」「独白」にも通じるものであり、n-bunaの作詞・作曲スタイルとも非常に相性が良いといえます。書簡型小説『二人称』で描かれる二人の関係性や心の変化が、アルバム22曲の中でどう響いていくのかは、ヨルシカの表現の到達点の一つとして受け取ることができそうです。
リスナーが楽しむための“おすすめの入口”
今回のプロジェクトは、「小説」と「音楽」が密接に結びついた大掛かりなものですが、どこから楽しみ始めてもよいように設計されています。
- まずは「プレイシック」から:CMで耳にした人は、先行配信をきっかけにアルバム世界へ入っていくことができます。
- これまでの既発曲から:すでに配信されている「太陽」「晴る」「忘れてください」などを聴きながら、「この曲が物語とどう結びつくのか」を想像してみるのも楽しみ方の一つです。
- 小説からじっくり:書簡型小説『二人称』の封筒を一通ずつ開封しながら読み進め、その後でアルバムを通して聴くと、物語の余韻を音楽で“追体験”することができます。
作品を「読む順番」や「聴く順番」が決まっているわけではないので、自分なりの入り口からヨルシカの新しい世界に触れ、自分だけの解釈を見つけていけるのも、このプロジェクトの魅力といえるでしょう。
リリース情報まとめ
最後に、今回発表されたリリース情報をあらためて整理します。
- デジタルアルバム『二人称』
リリース日:2026年3月4日
形態:デジタルアルバム(配信限定/CD発売なし)
収録曲数:全22曲
内容:既発曲9曲+「ヒッチコック」リレコーディング+新曲12曲 - 先行配信シングル「プレイシック」
配信日:2025年12月22日
タイアップ:ダイハツ「ムーヴ キャンバス ストライプス」テレビCMソング - 書簡型小説『二人称』
発売日:2026年2月26日予定
著者:n-buna(ヨルシカ)
発行:講談社
商品構成:小封筒32通/原稿用紙+便箋約170枚/大封筒1個/外箱1個
音楽と文学を横断する大きな試みとなる『二人称』プロジェクト。手紙を読むように音楽を聴き、音楽を聴くように物語を味わうという、これまでにない体験を、ヨルシカは私たちにそっと差し出してくれています。リリースまでの日々、すでに公開されている楽曲を聴き返しながら、その世界がどのようにつながっていくのか、静かに想像をふくらませて待ちたいところです。




