両陛下と愛子さま、新国立劇場でバレエ「くるみ割り人形」をご鑑賞 華やかな舞台と温かな拍手に包まれた冬の夜

東京・渋谷区の新国立劇場で行われたバレエ公演「くるみ割り人形」に、天皇、皇后両陛下と愛子さまがそろって足を運ばれました。
クリスマスシーズンの定番演目として親しまれるこの公演は、新しい演出による「お菓子の王国」の世界観が大きな話題を集めており、会場は開演前から期待感に包まれていました。

新国立劇場にご到着 吉田都芸術監督がお出迎え

公演当日の夕方、ご一家は新国立劇場に到着されました。ロビーでは、新国立劇場バレエ団の芸術監督を務める世界的バレエダンサー吉田都さんが笑顔で出迎え、ご一家を客席へとご案内しました。
周囲には一般の観客も多く訪れており、両陛下と愛子さまのお姿が見えると、あたたかい拍手が自然と起こったと伝えられています。

客席に入られたご一家は、観客の拍手に軽く会釈をしながら、穏やかな表情で着席されたとのことです。その様子からは、年末のひとときを市民とともに舞台芸術で分かち合う、親しみのある雰囲気が感じられました。

愛子さまはワインレッドの装いでご鑑賞

この日、愛子さまは深みのあるワインレッドのお召し物で会場に姿を見せられました。シーズンにふさわしい落ち着いた色合いでありながら華やかさも感じられる装いは、クリスマスシーズンの舞台にとてもよく映えていたと報じられています。

愛子さまは終始、舞台の進行を興味深そうに見つめ、ときおり両陛下と言葉を交わしながら、表情豊かにバレエの世界を楽しまれていたといいます。舞台への関心の深さが伝わる、印象的なご鑑賞ぶりだったようです。

世界初演の新演出「お菓子の王国」に大きな拍手

今回上演された「くるみ割り人形」は、新国立劇場バレエ団による新しい演出で、物語の後半に登場する「お菓子の国」が、ユーモアたっぷりの「お菓子の王国」として描かれていることが特徴です。
クラシック・バレエの名作として知られるこの作品に、カラフルな舞台美術や遊び心あふれる振付が加わり、「家族で楽しめるファンタジー」として新たな魅力を放っています。

観客席からは、王国に登場するさまざまなお菓子のキャラクターたちが踊るたびに、笑い声やどよめき、そして大きな拍手が起こったとされています。
従来のエレガントな古典バレエの雰囲気を大切にしつつも、現代的なユーモアや色彩感覚を取り入れた今回の演出は、多くの観客から高い評価を受けました。

クリスマスの名作「くるみ割り人形」とは

「くるみ割り人形」は、チャイコフスキー作曲のバレエ作品で、世界中でクリスマスの風物詩として親しまれています。
物語は、クリスマスイブの夜、少女クララ(あるいはマリー)が贈り物に受け取ったくるみ割り人形とともに、夢のような不思議な世界へと旅立つというファンタジーです。

  • 第1幕:クリスマスパーティーのにぎやかな様子や、くるみ割り人形とねずみの王様との戦いの場面
  • 第2幕:お菓子の国(今回の公演では「お菓子の王国」)で繰り広げられる華やかな踊りの数々

新国立劇場の公演でも、この伝統的な構成をベースにしながら、視覚的にも音楽的にも楽しめる工夫が随所に凝らされており、子どもから大人まで幅広い世代が楽しめる舞台となっています。

愛子さま、バレエの技術に着目「着地がとても静か」

ご鑑賞中、愛子さまは単にストーリーを楽しむだけでなく、舞台転換や衣装の早替えなど、舞台の裏側に関わる技術面にも強い関心を示されたと伝えられています。
場面が切り替わるタイミングや、大勢のダンサーが複雑な動きを行う中で、どのようにして舞台がスムーズに運営されているのかといった点について、積極的に質問されていたそうです。

終演後、出演者との懇談の場では、愛子さまが「ダイナミックなジャンプをするのに着地がとても静かですね」と感心されたことが報じられました。
バレエダンサーは、跳躍後の音をできるだけ立てないようにする高度な技術が求められますが、その点に着目されたことは、舞台芸術への深い理解と観察力の表れといえるでしょう。

両陛下も「カラフルで楽しい作品」とご感想

終演後、両陛下と愛子さまは、吉田都芸術監督や主な出演者、スタッフらと懇談されました。
この場で、両陛下は今回の公演について、「とてもカラフルで楽しい作品になりましたね」と温かい言葉をかけられたと報じられています。

新しい演出によって生まれ変わった「お菓子の王国」の世界は、色彩豊かな舞台美術と、ユーモアを取り入れた踊りで構成されており、その印象を端的に表現したお言葉といえます。
観客と同じように作品を楽しまれたご様子がうかがえるエピソードです。

新国立劇場バレエ団の挑戦と評価

新国立劇場バレエ団は、日本を代表するバレエ団のひとつとして、多くの古典作品を上演してきました。その中でも「くるみ割り人形」は、冬の公演の柱となる人気演目であり、毎年多くの観客が足を運ぶ作品です。
今回の「お菓子の王国」をめぐる新演出は、クラシック作品に新たな息吹を吹き込む試みとして、国内外から注目を集めています。

また、バレエ団にとって、天皇ご一家をはじめ多くの観客の前で世界初演となる新演出を披露できたことは、大きな励みになったとみられます。
ダンサーにとっても、作品の持つ伝統と新しさの両方を表現することが求められる舞台であり、それだけに達成感の大きい公演となったことでしょう。

文化と芸術を支える場としての新国立劇場

新国立劇場は、オペラ、バレエ、ダンス、演劇など、多様な舞台芸術を専門的に上演する日本有数の劇場として知られています。
クラシック作品から現代作品まで幅広いレパートリーを持ち、国内のアーティストはもちろん、海外からも多くの演出家やダンサーを迎えながら、日本の舞台芸術の発展に大きく貢献してきました。

その新国立劇場で行われる「くるみ割り人形」は、「冬の風物詩」といえる存在になっており、家族連れや若い観客が初めてバレエに触れる機会としても重要な役割を果たしています。
今回のご鑑賞は、皇室が文化芸術を大切にし、国民とともにその魅力を分かち合うという姿勢を改めて示す機会ともなりました。

皇室と舞台芸術のつながり

皇室と舞台芸術との関わりは長い歴史があり、音楽、美術、演劇、舞踊など、さまざまな分野の公演に足を運ばれてきました。
バレエ公演へのご臨席もその一環であり、国内のバレエ界にとっては大きな励みとなっています。

今回のように、新しい演出の世界初演となる舞台をご鑑賞になることは、単に文化を鑑賞されるだけでなく、創作活動を続けるアーティストたちにとっての支えともなります。
舞台を支える多くのスタッフや関係者にとっても、その存在は大きな励みと誇りにつながっているといえるでしょう。

観客と分かち合う、冬のあたたかな時間

冬の夜、新国立劇場の客席で、天皇、皇后両陛下と愛子さまが観客とともに「くるみ割り人形」の世界に浸られた今回の公演。
会場を満たした色彩豊かな舞台とチャイコフスキーの音楽、ダンサーたちの軽やかなステップは、観客一人ひとりの心に、あたたかな記憶として刻まれたことでしょう。

愛子さまが感心された「静かな着地」に象徴されるように、華やかな表舞台の裏には、長年の鍛錬や綿密な準備が積み重ねられています。
そうした努力を受けとめ、丁寧な言葉でねぎらいと感謝を伝えられる皇室の姿勢は、文化芸術を大切にする社会のあり方そのものを静かに映し出しているように感じられます。

新国立劇場バレエ団による「くるみ割り人形」は、これからも多くの人々に夢と喜びを届ける舞台として、冬の定番公演であり続けることでしょう。そして今回のご鑑賞のひとときは、日本の舞台芸術と皇室のあたたかな絆を物語る、象徴的な出来事として語り継がれていきそうです。

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