OpenAIが新機能「ChatGPT Images」を公開 画像生成AI「GPT Image 1.5」で“画像体験”が一新

OpenAIは、新しい画像生成モデル「GPT Image 1.5」を搭載した「ChatGPT Images」を正式に公開し、ChatGPTの画像生成・編集機能を大幅にアップデートしました。
これにより、これまでより最大4倍高速で、かつより高品質な画像生成と精密な画像編集が、一般ユーザーでも簡単に扱えるようになっています。

「ChatGPT Images」とは?テキストから画像までを一体化した新しい体験

今回発表された「ChatGPT Images」は、これまでのチャット中心だったChatGPTに、画像生成・編集のための専用ページ(専用ホーム/タブ)を追加した新機能です。
ChatGPTのサイドバーに新たに「Images」もしくは「Image(画像)」といった項目が追加され、そこから画像制作に特化した画面へアクセスできるようになりました。

この専用画面では、ユーザーは次のような操作ができます。

  • テキストのプロンプト(指示文)から新しい画像をゼロから生成
  • 既存の写真や画像をアップロードして、その一部を編集・加工
  • 用意されたプリセットフィルターやトレンドのプロンプトから簡単に創作を開始
  • 過去に生成した画像履歴にアクセスし、再編集や再利用を行う

こうした「テキスト×画像」の一体的な体験によって、これまでテキスト対話だけだったChatGPTが、文章作成からビジュアル制作までを一気通貫でこなすツールへと進化した形です。

中核となる新モデル「GPT Image 1.5」とは

今回のアップデートの中心にあるのが、新しい画像生成モデル「GPT Image 1.5」です。
このモデルは、従来のOpenAI製画像モデルから忠実度・編集精度・速度のすべてを大きく引き上げた最新世代のモデルとして位置づけられています。

主な特徴は次の通りです。

  • 指示への追従性が大幅に向上:ユーザーのテキスト指示を細部まで理解し、「イメージ通り」の画像を出しやすくなった。
  • 精密な画像編集能力:照明、構図、人物の特徴などを維持しながら、必要な要素だけを正確に追加・削除・変更できる。
  • 細部の再現性の強化:細かな質感や表情、背景のディテールなどがより自然かつ高精細に描画される。
  • 生成速度が最大4倍に高速化:従来モデルと比べて画像生成が最大4倍速くなり、試行錯誤のサイクルを短縮。
  • 自然な見た目の出力:多数の小さな顔や複雑な被写体でも破綻が少なく、全体として自然な見た目を保てる。

特に、「変えたくない部分を崩さずに編集できる」点が大きな進化として強調されています。
例えば人物写真で、背景だけ変えたり、いなかった人物を自然に追加したりといった、従来はコツが必要だった編集も、テキストで指示するだけで行えるようになっています。

ChatGPT内での「Images」機能の使い方と体験

ChatGPTのアップデート後、インターフェースのメニューやサイドバーに「Images」という項目が追加されます。
ここをクリックすると、画像生成に特化した画面に切り替わり、次のような使い方が想定されています。

  • 「ホリデーカードを作成」「○○風のイラストを描いて」など、あらかじめ用意されたテーマを選ぶ
  • 自分の写真をアップロードし「真珠の耳飾りの少女になった私」のような変身画像を作成
  • ビジネス用に、商品イメージやバナー素材をテキスト指示だけで作成・修正
  • 過去に作った画像を呼び出し、色味の変更や一部差し替えなどを繰り返し行う

また、プリセットフィルタートレンドのプロンプト例が多数用意されているため、画像生成に慣れていない人でも、サンプルを選びながら試していくことで、自然と操作に慣れていけるような設計になっています。

顔写真の再利用機能など、新しい体験を支える工夫

新しいChatGPT Imagesでは、ユーザーの顔写真を一度登録しておくと、次回以降の生成でも同じ人物を反映できる機能も導入されています。
これにより、たとえば次のような使い方がやりやすくなります。

  • 自分の顔でさまざまなアートスタイルや衣装バリエーションを試す
  • 同じ人物キャラクターを使った複数のシーンイラストを作る
  • マーケティング素材として、同一モデルを用いた連続的なビジュアルを制作する

一度アップロードした写真をベースに、別の構図や背景で何パターンも作成していく、といった「シリーズもの」の制作が格段にやりやすくなっている点もポイントです。

APIとしての「GPT Image 1.5」:開発者・企業向けの活用

今回のアップデートは、ChatGPTアプリ内だけでなく、開発者向けのAPIとしても提供されます。新モデルはAPI上では「gpt-image-1.5」として利用可能です。
これにより、外部のサービスや業務システムに、高性能な画像生成・編集機能を組み込むことができます。

API版には、企業や開発者にとって重要な次のようなポイントがあります。

  • ブランド要素を保った編集:ロゴや商品画像などを元に、配置を保ちながら背景変更・色変更などの編集が可能。
  • EC向けの多バリエーション生成:1つの商品画像から、背景・色・シーンの違うバリエーションを一括生成し、商品ページや広告に流用できる。
  • コスト削減:前バージョンの画像モデルと比べて、入出力ごとの料金が約20%削減されている。
  • 品質とレイテンシのバランス調整:パラメータ設定により、画質と生成速度のバランスをユースケースに応じて調整可能。

大量生成や高速応答が求められるケースでは、まず低品質設定から試し、それでも従来より十分高い品質を維持できるといったレポートも出ています。
一方で、細部を重視するクリエイティブ用途では、高品質設定を用いることで、入力画像の細部をより忠実に保持した編集・合成が可能とされています。

どんなユーザーにとって嬉しいアップデートなのか

今回のChatGPT ImagesGPT Image 1.5の登場は、さまざまなユーザー層に影響を与えると考えられます。

  • クリエイター・デザイナー:ラフ案出し、雰囲気の違うパターン生成、既存画像の微調整など、試行錯誤の速度が大幅にアップ。
  • ビジネス・マーケティング担当者:キャンペーンバナー、SNS用画像、資料のイラストなどを、自分で素早く作り分けられるようになる。
  • 教育・学習用途:教材用の図解やイメージ図を、説明テキストと並行して作成でき、学習効果を高める使い方も期待される。
  • 一般ユーザー:年賀状やホリデーカード、自分の写真を使ったユニークな画像など、「ちょっと作ってみたい」をすぐ叶えられる。

特に、今回のアップデートは日本語を含む多言語への対応も強化されており、日本語のプロンプトでも細かいニュアンスをある程度反映できるように改善が図られています。
一部では日本語テキストそのものを画像に描画する際の品質がまだ発展途上と指摘されているものの、プロンプト理解という意味では、以前よりも扱いやすくなってきていると報告されています。

技術競争の中での「ChatGPT Images」の位置づけ

今回のChatGPT ImagesGPT Image 1.5のリリースは、他社の高性能画像生成モデルに対抗する動きとしても注目されています。
特に、競合の画像生成モデルが高速かつ高品質な出力を売りにしている中で、OpenAIも「最大4倍の速度向上」や、ブランド編集対応、コスト削減などを前面に押し出しており、実務利用を強く意識したアップデートと言えます。

同時に、ChatGPTという対話型インターフェースの中に画像機能を統合することで、「何を作りたいかよくわからない」という段階から対話を通じてイメージを固め、そのまま画像化していくという、新しい創作フローが実現しつつあります。
これは単なる画像ジェネレーターという枠を超えて、アイデア出しから完成物まで伴走する“クリエイティブパートナー”に近い位置づけを目指しているとも言えます。

今後の利用に向けて

現時点で、新しいChatGPT ImagesはChatGPTのユーザー向けに順次展開されており、Freeや有料各プラン(Go / Plus / Edu / Proなど)で利用可能と案内されています(Business / Enterprise向けは後日対応予定)。
APIとしてのgpt-image-1.5もすでに提供が始まっており、今後は多くのWebサービスやアプリに、この画像生成技術が組み込まれていくことが想定されます。

文章生成で広く使われてきたChatGPTに、強力な画像生成・編集機能が本格的に加わったことで、テキストと画像を一体化した新しいコンテンツ制作のスタイルが、今後さらに身近になっていきそうです。

参考元