「サンタさん、そろそろ卒業?」――親たちの「サンタじまい」と、優しいエピソードから見える現代のクリスマス事情
クリスマスが近づくと、子どもたち以上にそわそわしてしまうのが、実はママやパパかもしれません。
プレゼントの準備に、隠し場所の確保、当日の段取り……そしていつか必ずやってくる「サンタクロース卒業の日=サンタじまい」のこと。
今、SNSや子育てメディアでは、「ほかの家はどうしているの?」「いつ、どうやって本当のことを伝えた?」という声が多く上がっています。
本記事では、話題になっている
- 先輩ママパパたちの「サンタじまい」事情
- 10年間続けた“サンタ業務”を終えた家庭のエピソード
- 「サンタさんにココアをあげたい」と願う5歳児の心温まるできごと
といったニュース内容をもとに、今の親たちがどんな思いでサンタクロースと付き合っているのかを、やさしい目線でまとめてみます。
「サンタじまい」って何?――サンタクロース卒業のタイミング
子どもが小さいうちは、「サンタさん来るかな?」「いい子にしてないと来ないよ」と、ワクワクとちょっぴりのドキドキで盛り上がるクリスマス。
けれど、小学校高学年くらいになると、こんな会話が出てきます。
「ねえ、サンタさんって本当にいるの?」
「クラスの友だちが、“中身は親だよ”って言ってた」
「うちは、サンタさん、いつまで来てくれるの?」
こうした問いに向き合うタイミングが、いわゆる「サンタじまい」の時期です。
子育て世代向けの情報では、「小学校中学年〜高学年ごろ」にサンタじまいを迎える家庭が多いとされていますが、そのスタイルは本当にさまざまです。
先輩ママパパはどうしてる?「サンタじまい」のリアルな声
子育て雑誌やインターネット上で紹介されている「先輩ママパパたちの声」をまとめると、主なパターンは次のようになります。
- 子どもから聞かれたら、正直に話す
「サンタって本当はどうなの?」と真剣な顔で聞かれたタイミングで、落ち着いて話すというスタイル。
「サンタはね、プレゼントを届ける大人たちの“気持ち”のことなんだよ」など、夢を守りつつ説明する家庭も多いようです。 - きょうだいの年齢に合わせて、上の子から“サンタ側”に回ってもらう
下の子がまだ小さい場合、「あなたはもうサンタチームだよ」と上の子に伝え、一緒に準備を楽しむ方法も人気です。
「今度は弟(妹)を喜ばせる番だね」と伝えることで、少し大人になった気持ちを味わえるという声もあります。 - 「中学生になったら卒業」など、年齢で区切る
あらかじめ、「小学生の間はサンタさんが来るよ」「中学生になったら卒業ね」と目安を決めておく家庭も。
子どもも心の準備ができ、「最後のサンタさんだ〜」と特別な思い出になったというエピソードも見られます。 - あえて“ハッキリとは言わないまま”、自然にフェードアウト
プレゼントを一緒に買いに行くようになったり、「予算これくらいで、欲しいもの決めようか」と話し合う流れで、いつの間にかサンタじまいになったという家庭もあります。
どのパターンにも共通しているのは、「子どもの気持ちを大切にする」ということ。
「サンタは本当はいないんだよ」と急に現実を突きつけるのではなく、“今までのワクワクした時間を一緒に振り返りながら、バトンタッチしていく”というイメージで卒業を迎えた家庭が多いようです。
10年間の「サンタ業務」に終止符――ママパパの胸に去来するもの
とくに印象的なのが、「10年間続けてきたサンタ業務に、今年で区切りをつけた」という家庭のエピソードです。
10年と聞くと、ただのイベントを超えた家族の歴史のようにも感じられます。
記事では、サンタ役を担ってきた親が、こんな思いを語っています(要旨)。
- 夜中にそっとプレゼントを枕元に置き、朝の「わあっ!」という声を聞くのが、毎年の楽しみだった。
- 子どもが成長し、「サンタさん、今年は来るかな」と言いながらも、どこか分かっているような表情を見せるようになった。
- 「もう今年で最後にしようか」と、親の側からそっと提案。子どもも笑いながらうなずき、ちょっと照れくさそうに「今までありがとう」と言ってくれた。
10年間の節目には、お部屋にクリスマスのスワッグ(壁飾り)を飾り、ママ友・パパ友から贈られたものを大切に眺めながら、「これからは一緒に作るクリスマスも楽しみだね」と話したそうです。
「サンタじまい」は、“子どもの成長のお祝い”でもあり、“親としての一区切り”でもあるのだと教えてくれるエピソードです。
「サンタさんにココアをあげたい」5歳児の優しさ
一方で、まだサンタクロースを全身で信じている年齢の子どもたちのエピソードも、多くの人の心を和ませています。
なかでも話題になったのが、「5歳の子どもが『サンタさんにココアをあげたい』と両親にお願いした」という出来事です。
サンタさんが夜中に世界中を飛び回って、たくさんのプレゼントを配っていることを知ったその子は、こう思ったそうです。
「寒い夜にお仕事してるんだから、あたたかいココアを飲んでほしい」
「クッキーもあったほうがいいかな?」
両親は、子どもの純粋な気持ちに心を打たれ、寝る前にココアとお菓子をテーブルに用意することにしました。
翌朝、ココアのカップは少しだけ中身が減り、クッキーも食べかけのようにしておき、「サンタさん、ココア飲んでいってくれたみたいだね」と声をかけると、子どもは満面の笑顔に。
プレゼントをもらうだけでなく、「サンタさんをもてなしたい」という発想は、まさに子どもならではの豊かな想像力とやさしさの表れ。
このエピソードは、「親のほうがプレゼントをもらったみたい」「サンタを信じる心って、やっぱりいいな」と多くの共感を集めました。
「サンタを信じる気持ち」をどう扱う?――悩みながら決める家庭のルール
サンタクロースの話題になると、必ずといっていいほど出てくるのが、「子どもに“ウソ”をついていることにならないのか?」という悩みです。
この問いに対しても、家庭によって答えはさまざまです。
- 「ウソ」というより「物語・ファンタジー」として伝える
子どもがまだ小さいうちは、「世界にはね、こんなサンタさんっていう人がいてね」と、おとぎ話の延長として話している、という親もいます。
大きくなってから「実はね」と真相を話したとき、「楽しい秘密に付き合ってくれてありがとうね」と伝えると、お互いにあたたかい気持ちになれたという声もあります。 - 「プレゼントを届ける大人たちを、まとめて“サンタ”と呼んでいるんだよ」と説明する
「本物のサンタさん一人では世界中を回れないから、世界中の大人がサンタのお手伝いをしているんだよ」と教える家庭も。
そのうえで、「パパとママも“サンタチーム”なんだよ」と打ち明けることで、夢と現実の橋渡しをしているケースも見られます。 - 「信じている間はサンタさんは来る」とだけ伝える
「サンタはいるの?」と聞かれても、「信じている人のところには来るんだよ」と答え、細かいことは決めつけないやり方もあります。
子どもが自分で考え、友だちとの会話の中で少しずつ理解していくことを大切にする姿勢です。
いずれにしても、多くの親が共通して大事にしているのは、「子どもを傷つけない形で、成長を喜びたい」という思いです。
サンタじまいの瞬間は、寂しさもありながら、「ここまで大きくなったんだね」という節目でもあります。
親にとっても「サンタ時代」は宝物――10年分の思い出
10年間サンタ業務を続けてきた家庭のエピソードのように、サンタさんとの時間は、子どもだけでなく親にとっても特別な思い出になります。
- 真剣な顔で欲しいものを書いた手紙
- ベッドの中で「サンタさん来るかな」とソワソワして眠れない夜
- 朝、プレゼントを見つけたときの飛び跳ねるような喜び
その一つひとつが、親にとってはかけがえのない「育児の1ページ」です。
「もう徹夜でプレゼントを仕込まなくていいんだ」とホッとする一方で、「あのワクワク顔が見られなくなるのは、ちょっとさみしい」という声が多いのも、うなずけるところです。
サンタじまいを迎えた家庭のなかには、記念として
- サンタ時代の写真をアルバムにまとめる
- 子どもが書いたサンタ宛ての手紙を一冊のノートに貼る
- 最後の年のプレゼントだけ、包装紙やタグを大事に保管する
といった工夫をする人もいるようです。
それは、サンタという物語が終わっても、「家族で過ごしたクリスマスの時間はずっと続いていく」という、ささやかな儀式なのかもしれません。
これからのクリスマス、「サンタなし」でも続いていく楽しみ方
サンタじまいをしたあとも、もちろんクリスマスが終わるわけではありません。
むしろ、子どもが成長するにつれて、一緒に準備を楽しめるイベントへと形を変えていく家庭も多く見られます。
- 家族で一緒にプレゼントを選ぶ
「今年はお互いに3000円ずつの予算でプレゼント交換しよう」など、ゲーム感覚で楽しむスタイルも人気です。 - 手作りケーキや料理にチャレンジ
小さい頃は親が用意していたケーキを、今度は子どもと一緒に作る時間に。
失敗しても、それも含めてよい思い出になります。 - 家族の“恒例行事”を作る
クリスマス映画を毎年同じ作品にしたり、必ず見るイルミネーションスポットを決めたり。
サンタの有無に関わらず、年に一度の家族の日としての楽しみ方が広がります。
「サンタさんが来るかどうか」から、「誰と、どんな時間を過ごすか」へ。
そんなふうに視点が変わると、子どもが大きくなっても、クリスマスはずっと続いていきます。
「サンタじまい」に正解はない――それぞれの家の物語を大切に
「サンタじまい」をめぐるニュースやSNSでの声を見ていると、どの家庭にも、その家だけの物語があることがよく分かります。
- 10年間、毎年全力でサンタ業務を続けてきた親と、その節目を一緒に迎えた子ども
- 「サンタさんにココアをあげたい」と、見えない相手を思いやる5歳児のやさしさ
- 「そろそろ本当のことを話すべきかな」と悩みながらも、子どもの表情をよく見て決断するママパパ
そこには、「ウソをつきたくない」という大人の正直な気持ちと、「子どもの夢やワクワクを守りたい」という思いが、いつも同時に存在しています。
サンタじまいに、決まった正解やマニュアルはありません。
あるのは、その子と、その家族にとって、いちばんしっくりくるやり方だけです。
これからサンタじまいを迎える家庭も、すでに卒業した家庭も、そしてまだまだサンタ現役のご家庭も。
「どんな形であれ、子どもの心に“あたたかい記憶”が残れば、それで十分」という気持ちで、今年のクリスマスを迎えてみてはいかがでしょうか。
サンタクロースという物語は、いつか終わります。
けれど、その物語を一緒に信じていた時間、そのために準備を重ねた親の思い、誰かを喜ばせたいと願った子どもの心は、きっとこれからも、家族の中で長く語り継がれていくはずです。




