生田神社でも年末恒例の「すす払い」 新年を清々しい気持ちで迎える準備進む
年の瀬が近づき、日本各地の神社では、新年を迎えるための準備が本格化しています。山形県鶴岡市の荘内神社や神奈川県の鶴岡八幡宮では、拝殿や境内にたまった一年分のほこりを払う「すす払い」が行われ、ニュースでも大きく取り上げられました。同じように、兵庫県神戸市の生田神社でも、毎年年末に「すす払い」が行われ、新しい年を清らかな気持ちで迎えるための大切な行事となっています。
全国の神社で行われる「すす払い」とは
「すす払い」は、社殿や拝殿、天井や柱などにたまった一年分のほこりや汚れを払い落とす神社の年末恒例行事です。単なる大掃除ではなく、「けがれ」を払い、新年の「福」を迎えるための神事として古くから受け継がれてきました。
山形県鶴岡市の荘内神社では、普段は手の届かない高い場所まで丁寧に掃除が行われ、地域の人々が新年を清々しい気持ちで迎えられるよう準備が進められています。また、神奈川県の鶴岡八幡宮でも「すす払い」が行われ、一年の厄やけがれを落とし、迎春準備が本格化している様子が伝えられました。こうしたニュースは、年末の風物詩として多くの人の関心を集めています。
こうした流れの中で、神戸の生田神社でも毎年同じように「すす払い」が行われており、「新年を迎える準備」「厄を払う行事」という点で、全国の神社と同じ思いが込められています。
生田神社とはどんな神社?
生田神社は、兵庫県神戸市中央区にある古社で、身体健全や長寿、縁結びなどのご利益があることで知られています。 正月三が日には例年多くの参拝客が訪れ、神戸を代表する初詣スポットの一つとして親しまれています。
市街地の中心部にありながら、境内には木々が茂り、厳かな空気がただよいます。ビル街の中にぽっかりと現れる静かな空間は、地元の人だけでなく観光客にとっても心が落ち着く場所となっています。
「事始め」に合わせて行われる生田神社のすす払い
生田神社では、新年の準備を始める「事始め」にあたる12月13日に、毎年「すす払い」が行われます。 この日は、古くから「新年に向けて本格的に準備を始める日」とされており、神社にとっても大切な節目の日です。
ニュースによると、「すす払い」は早朝から始まり、神職や巫女たちが長さ約3メートルのはたきやササ竹を手に、社殿の高い場所や拝殿内の壁、天井など、普段はなかなか手の届かないところまでくまなく掃除していきます。
気温が5度を下回るほどの冷え込みの中、巫女たちは息を白くしながら、拝殿の柱の上やつり灯籠にたまった一年分のほこりを丁寧にはたき落としていきます。 ササ竹の葉がこすれ合う「サッサッ」という音が境内に響き、その音とともに「一年のけがれが払われていく」ような雰囲気が広がります。
けがれを払い、福を迎える――すす払いに込められた願い
「すす払い」は、単にほこりを取るというよりも、「一年のけがれを祓い、新しい年の福を迎える」という意味合いを持った儀式です。 神職や巫女たちは、ほこりを払うたびに、「来年も多くの人が無事に参拝できますように」「良い年が訪れますように」という願いを込めながら作業を進めていると伝えられています。
生田神社の神職は、「参拝される方が清らかな気持ちで帰っていただけるように、体調を万全にして新年の準備をしたい」と話しています。 この言葉には、単なる年中行事ではなく、神社を訪れる一人ひとりに、少しでも穏やかな新年を迎えてほしいという思いが込められています。
門松の代わり「杉盛」づくりで迎春準備はクライマックス
すす払いが終わると、生田神社では新年に向けた準備がさらに進みます。12月27日には、門松の代わりとなる正月飾り「杉盛(すぎもり)」が作られ、迎春準備が整えられると報じられています。
杉盛は、杉の葉などを用いて作られる生田神社ならではの正月飾りで、新年の神さまをお迎えする「依り代(よりしろ)」ともいえる存在です。境内や社頭にこれらが飾られると、いよいよ正月らしい雰囲気が高まり、多くの参拝客を迎える準備が完了します。
コロナ禍を経て、再び多くの参拝客を見込む生田神社
生田神社では、新型コロナウイルスの影響で、一時は正月三が日の参拝客が約30万人にまで減少したこともありました。 しかし、行動制限の緩和などを受け、近年は再び例年並みの100万人以上の参拝客が訪れる見込みとされています。
こうした背景もあり、すす払いをはじめとした年末の準備には、これまで以上に力が入っています。「久しぶりに人でにぎわうお正月を迎えられるように」「訪れた人が少しでも明るい気持ちになれるように」という思いが、境内のすみずみにまで込められているといえるでしょう。
全国のすす払いと生田神社のつながり
荘内神社や鶴岡八幡宮のニュースで報じられたように、全国各地の神社での「すす払い」は、それぞれの地域の人々にとって「年の瀬を感じる瞬間」になっています。普段から親しんでいる神社がきれいに掃き清められていく様子は、「ああ、もうすぐお正月だな」と実感させてくれる大切な風景です。
神戸の生田神社で行われるすす払いもまた、同じように「一年のしめくくり」と「新年への期待」が重なり合う行事です。 ほこりを落とし、飾り付けを整え、参拝の準備を一つひとつ進めていく過程そのものが、「新しい年を気持ちよく迎えるための祈り」といえるでしょう。
私たちにとっての「すす払い」の意味
神社のすす払いのニュースを目にすると、自分たちの生活の中の「大掃除」や「片付け」と自然に重ねてしまう方も多いのではないでしょうか。家の中の汚れを落とし、いらないものを整理することは、心の中のモヤモヤを晴らすことにもつながります。
神社のすす払いも、単なる掃除ではなく、「心のリセット」を象徴する行事だと考えることができます。生田神社をはじめ、荘内神社や鶴岡八幡宮など、全国の神社で行われるすす払いは、「今年一年、無事に過ごせたことへの感謝」と「来年もよい年になりますように」という静かな祈りが形になったものです。
年末に神社を訪れる機会があれば、きれいに掃き清められた拝殿や境内を見て、「ここでも一年分のすす払いが行われたのだな」と想像してみてください。その背景には、多くの人の願いや気持ちが込められていることに、あらためて気づくかもしれません。
新しい年を、生田神社で清らかな気持ちで
生田神社では、すす払いを終え、杉盛などの正月飾りを整えたうえで、正月三が日に多くの参拝客を迎える準備を進めています。 初詣では、家族の健康、仕事や学業の成就、良縁成就など、さまざまな願いを胸に、多くの人が参道を歩きます。
境内の空気が一層清らかに感じられるのは、年末に行われた「すす払い」のおかげでもあります。ほこりを払い、けがれを祓い、新しい年を迎える――その一連の流れを知ることで、初詣のときの一礼やお祈りの意味も、少し違って感じられるかもしれません。
荘内神社や鶴岡八幡宮、そして生田神社。それぞれの地域で行われる「すす払い」は、日本の年末を彩る大切な習慣です。静かにほこりを落とすその時間に、私たち自身も一年を振り返り、新しい年をどんな気持ちで迎えたいかを考えてみる良いきっかけになりそうです。




