J1昇格をかけた千葉対徳島、運命のプレーオフ決勝へ――“16年待ち”の悲願と“5年ぶり”の舞台
明治安田J1昇格プレーオフ2025の決勝が、フクダ電子アリーナで行われます。対戦カードはジェフユナイテッド市原・千葉対徳島ヴォルティス。来季のJ1への最後の椅子をかけた、まさに「最終決戦」です。
今季のJ2リーグを3位で終えた千葉と、4位の徳島による直接対決は、シーズンの締めくくりにふさわしい激闘が予想されています。 引き分けの場合は年間順位上位のチームが昇格を勝ち取るレギュレーションのため、千葉は「引き分け以上」、徳島は「勝利のみ」が条件となります。
16年ぶりJ1復帰を目指すジェフ千葉――“歴史の扉”を叩く一戦
ジェフユナイテッド市原・千葉にとって、この試合はクラブの歴史を大きく塗り替える可能性を秘めています。J1から降格して以来、長くJ2の舞台で戦い続け、昇格が実現すれば実に17年ぶりのJ1復帰となります。
今季はリーグ戦を通じて安定した戦いを見せ、3位でプレーオフ進出を決めました。 そして何よりも、サポーターの心を強くつかんだのが、プレーオフ準決勝での大逆転劇です。
準決勝の相手は、シーズン6位のRB大宮アルディージャ。 千葉は立ち上がりこそ良い入りを見せましたが、一つの失点をきっかけに流れを失い、後半開始時点で3点ビハインドという厳しい状況に追い込まれました。
それでも、ここから千葉の“諦めないサッカー”がさく裂します。攻撃を牽引してきたカルリーニョス・ジュニオが反撃の狼煙となるゴールを決めると、続けて17歳の姫野誠がネットを揺らして追い上げムードが一気に加速。 最終的には4点を奪って逆転勝利を収め、劇的な形で決勝進出を決めました。
この一戦は、クラブとサポーターに「やはり千葉はまだ終わっていない」という強い確信を与えるものとなりました。「降格から16年、そろそろ奇跡が起きてもいい」という声が現実味を帯びて響く中で、チームはフクダ電子アリーナでの決勝に臨みます。
千葉の武器は“前への圧力”とアグレッシブな攻撃姿勢
今季の千葉は、前線からの積極的なプレッシングと、ボール奪取から一気にゴールへと迫る迫力ある攻撃が特徴です。 相手陣内でボールを奪い、そのまま波状攻撃につなげていくスタイルは、多くの試合で相手守備陣を苦しめてきました。
決勝でも、このアグレッシブな戦い方を貫けるかどうかが鍵となります。 プレッシャーのかかる大一番だからこそ、守りに入らず、自分たちの良さを出し切れるかどうかが問われます。
攻撃の中心として期待されるのは、やはりカルリーニョス・ジュニオ。 ゴール前での嗅覚と、個で局面を打開できる力は、徳島守備陣にとって最大の脅威となるでしょう。準決勝での反撃の口火を切ったように、苦しい状況でもチームを前向きにさせる一発を持っています。
また、準決勝でゴールを決めた姫野誠のような若い力も見逃せません。 フレッシュな勢いと、物怖じしないプレーは、重圧のかかる舞台だからこそ大きな価値を持ちます。
徳島ヴォルティスは“堅守速攻”でJ1復帰を狙う
一方の徳島ヴォルティスは、今季J2を4位で終えてプレーオフへ。 勝利すれば5年ぶりのJ1昇格となる重要な試合に臨みます。
徳島の大きな特徴は、相手を引き込みながら守備ブロックを整え、一気に前線へと鋭いカウンターを繰り出すスタイルです。 相手にボールを持たせつつも、危険なスペースはしっかりと消し、奪った瞬間にゴールを目指す“堅守速攻”は、今季のJ2でも多くの試合で結果を残してきました。
プレーオフ準決勝では、終盤に劇的な形で得点を奪い、引き分けで決勝進出を決めています。 この試合方式では、引き分けの場合、年間順位の上位チームが勝者となるため、徳島は相手より下位だった試合で終盤のゴールによって窮地を脱した経験を持っています。
こうした「最後まで諦めない姿勢」と「土壇場での勝負強さ」は、決勝の舞台でも大きな精神的な支えとなるはずです。
徳島のキーマンは主将・岩尾とトニー・アンデルソン
徳島の戦いを支える中心人物として名前が挙がるのが、キャプテンの岩尾です。 中盤でゲームをコントロールし、守備でも攻撃でもチームのバランスを保つ存在として、非常に重要な役割を担っています。
また、準決勝で値千金のゴールを決めたトニー・アンデルソンも、決勝で注目される一人です。 終盤の苦しい時間帯でも得点を奪える決定力は、プレッシャーのかかる決勝戦において心強い武器となります。
徳島としては、千葉が前に出てくる展開を想定しながら、自陣では堅い守備を見せつつ、カウンターで相手の隙を突く戦い方で昇格を狙いたいところです。 たとえ得点まで時間がかかったとしても、磐田戦でのように最後にゴールを奪った経験がチームのメンタル面で生きてくると見られています。
“攻める千葉”対“構える徳島”――スタイルのぶつかり合い
この決勝戦の大きな見どころは、両チームのスタイルの違いです。
- 千葉:前からのプレッシングと攻撃的な姿勢で主導権を握りにいくチーム
- 徳島:守備を固め、カウンターで一撃を狙うチーム
千葉としては、徳島のカウンターを恐れて勢いを失ってしまうのが最も避けたい展開です。 自分たちらしく前に出続けることができれば、ホームの大声援を背に優位に試合を進められる可能性があります。
一方の徳島は、守備で我慢しながら試合を長い時間“コントロール”し、どこかのタイミングで鋭い一撃を加えたいところです。 0-0の時間が続いたとしても焦らずに戦えるかどうかがポイントになります。
試合会場・キックオフ時刻と観戦情報
決勝の舞台は、ジェフ千葉のホームスタジアムであるフクダ電子アリーナ(フクアリ)。 明治安田J1昇格プレーオフ2025決勝として開催され、Jリーグ公式サイトでも試合情報が公開されています。
キックオフは13時過ぎに予定されており、ジェフユナイテッド千葉の公式サイトでは、当日のスタジアムイベントや入場スケジュールなど、詳細な観戦情報が案内されています。
また、この決勝戦はDAZNで無料ライブ配信されることも発表されています。 スタジアムに足を運べないサポーターや、J2ファン、サッカーファンにとっても、注目の一戦を見届ける絶好の機会となります。
両クラブにとっての意味――「勝てば天国、敗れれば…」
この試合に懸かるものは、単なる一勝以上の重みがあります。勝者は来季のJ1という大舞台で戦う権利を手にし、敗者は再びJ2での長いシーズンに挑まなければなりません。
徳島にとっては5年ぶりのJ1昇格がかかった試合、千葉にとっては17年ぶりのJ1復帰を懸けた一戦。 両者にとって、勝敗がもたらす明暗はまさに「天と地ほどの差」があります。
長くJ2で戦ってきた千葉のサポーターにとって、この試合は「16年分の想い」を乗せた90分になります。一方で、J1復帰を幾度となく逃してきた徳島にとっても、ここで昇格を果たせるかどうかはクラブの今後に大きく影響しうる重要な節目です。
フクダ電子アリーナのスタンドを埋める黄色と青のサポーター。それぞれの声援が、選手たちの一歩、そして一蹴りを後押しすることでしょう。
サポーターとともに迎える“最後の90分”
ジェフ千葉の公式サイトでは、「WIN BY ALL!」を合言葉に、サポーターがメッセージを書き込む寄せ書きフラッグ企画など、スタジアム全体でチームを後押しするイベントも用意されています。 朝早くから入場待機列の形成や横断幕掲出が始まるなど、決勝に向けた雰囲気はすでに最高潮に達しています。
両クラブの歩んできた道のり、サポーターの積み重ねてきた日々の声援、選手やスタッフの努力。そのすべてが、この90分、もしくはそれ以上の時間に凝縮されます。
最後に歓喜の声を上げるのは、千葉か、それとも徳島か。 J1への切符をつかむのは、たった一つのクラブだけです。



