FA移籍で楽天入りのベテラン捕手・伊藤光 「がむしゃらな姿、応援して」東北で再出発

東北楽天ゴールデンイーグルスにフリーエージェント(FA)で加入した伊藤光捕手が、入団会見で新天地での決意を語りました。
ベテラン捕手としての豊富な経験を武器に、正捕手が固定できていない楽天バッテリー陣の要としての活躍が期待されています。

FAでDeNAから楽天へ 縁ある東北の地で再スタート

伊藤光選手は、今オフにFA権を行使し、横浜DeNAベイスターズから楽天へ移籍しました。
楽天は、交渉の段階から強い熱意を見せていたといい、伊藤選手は「一番最初に声を掛けていただきましたし、石井GMとお話しする中ですごく温かい言葉、そして熱い言葉を掛けていただきました」と、移籍を決断した理由を明かしています。

また自身について、「出身地は愛知県ですが、生まれは秋田県ですので東北に縁があります」と話し、「この地で頑張りたいと思っていましたのですごく嬉しいです」と、東北でプレーできる喜びを素直に口にしました。
楽天ファンにとっても、東北にゆかりのある選手の加入は、親しみやすさと心強さを感じさせるニュースとなりました。

「自分の全てを出したい」19年目のベテラン捕手としての覚悟

来シーズンでプロ19年目を迎えるベテラン捕手ですが、その口から出てきたのは、現状に満足する様子ではなく、むしろ新たな挑戦への強い意欲でした。

入団会見では、「これまでの経験を楽天イーグルスに還元できればと思いますし、成長したい気持ちがあるのでまだまだ頑張りたいです」と語り、自らのキャリアを「完成形」と捉えていないことを強調しました。
さらに、「自分の中の引き出しを還元して一緒に考え合って、全員で高めればより良いなと思うので。僕も学びたいですし自分の全てを出したいなと思っています」と、チームメートと共に成長していく姿勢を示しています。

ベテランでありながら、「まだまだチャレンジしたい」という言葉が自然と出てくるところに、伊藤選手のプロとしての矜持と、東北の地で再び存在感を示そうとする強い気持ちがにじみます。

オリックス、DeNAで培った経験 通算1063試合出場の重み

伊藤光選手は、これまでオリックス・バファローズ、横浜DeNAベイスターズでプレーしてきました。
オリックス時代の2014年には、捕手として137試合に出場し、同年にはベストナインゴールデングラブ賞を獲得しています。
守備力とリード面での評価が高く、リーグを代表する捕手の一人として名前を知られてきました。

2018年にはトレードでDeNAに移籍し、以降は横浜を本拠地としてプレー。
今シーズンは若手捕手の台頭もあり、一軍出場は6試合にとどまりましたが、それでも通算1063試合出場という数字は、伊藤選手が長年にわたって一線級の捕手としてチームを支えてきた証しと言えます。

楽天では、まだ絶対的な正捕手が固定されていない事情もあり、伊藤選手の豊富な経験は、戦力としてだけでなく、若い捕手陣の手本としても大きな意味を持ちます。
多くの投手のボールを受け、数々の打者と対戦してきた中で積み上げた「引き出し」は、チーム全体のレベルアップに直結していきそうです。

石井一久GMが寄せる期待「キャッチャーの背中を見せてほしい」

楽天の石井一久GMは、FAでの伊藤光獲得にあたり、「キャッチャーの背中を見せてほしい」という趣旨のコメントを寄せています(報道各社より)。
この言葉には、単なる戦力補強を超えた、チーム作りにおける精神的支柱としての期待が込められているといえます。

捕手というポジションは、守備の要として投手陣をリードし、試合全体の流れを読む役割を担います。
だからこそ、若い捕手たちにとって、長年一軍でマスクをかぶってきたベテランの存在は、「プレーで語る教師」のような存在となります。

石井GMが求める「背中を見せるキャッチャー」とは、

  • 日々の練習への取り組み方
  • 試合中の所作や声かけ
  • ピンチの場面での落ち着き
  • 負けた試合のあと、どう振る舞うか

といった、数字には表れにくい部分でチームを引っ張る存在でもあるでしょう。
伊藤選手の加入は、楽天の捕手陣にとって、技術的なものだけでなく、プロとしての姿勢を学ぶ貴重な機会となりそうです。

背番号「27」へのこだわり 憧れと継承の思い

伊藤光選手の楽天での背番号は「27」に決まりました。
この番号は、今季まで楽天でプレーし、同学年でもある岡島豪郎さんが背負っていた番号であり、さらに、ヤクルト時代の名捕手・古田敦也さんが現役時代に付けていた番号でもあります。

伊藤選手は、この背番号について「憧れている番号」と話しており、そこには捕手としての誇りと責任感が込められています。
岡島さんへの思いを胸にしつつ、古田さんが築いた「27番・名捕手」のイメージに恥じないプレーを見せたいという気持ちも強いはずです。

番号一つをとっても、ただ与えられた記号ではなく、球団の歴史や先輩たちの思いが重なっていることが伝わってきます。
ファンにとっても、「27番の新しい物語」が、伊藤選手とともに始まることになります。

「がむしゃらな姿、応援して」ファンへ向けたメッセージ

入団会見の場で、伊藤光選手は楽天ファン、そして東北の野球ファンに向けて、「がむしゃらな姿、応援してほしい」とメッセージを送りました(報道各社)。
長いキャリアを積んだベテランでありながら、「がむしゃら」という言葉を使うところに、年齢にとらわれず全力でプレーし続ける覚悟がうかがえます。

これまでの実績だけに寄りかかるのではなく、

  • 新しいチームで信頼を勝ち取ること
  • 若い選手たちと同じ目線で汗を流すこと
  • 東北のファンに全力プレーを届けること

こうした姿勢を、自ら「がむしゃらな姿」という言葉に込めているようにも感じられます。

ファンにとって、「一つひとつのプレーに全力を尽くしてくれる選手」は、それだけで心を動かされるものです。
ベテランになっても、そのスタンスを貫こうとする伊藤選手は、楽天の新たな「心で応援したくなる存在」となっていくでしょう。

正捕手不在の楽天にとっての価値 若手育成と投手陣への影響

楽天はここ数年、明確な「不動の正捕手」をなかなか確立できていませんでした。
その中で、通算1000試合以上の出場経験を持つ捕手の加入は、戦力面だけでなく、チームの土台を固める意味合いも持ちます。

伊藤選手は、「2球団経験してきて色々な投手のボールを捕って対戦もしてきました」と語り、その経験をチームへ還元したいと話しています。
具体的には、

  • 投手一人ひとりの持ち味を引き出すリード
  • 配球パターンや打者傾向の読みなど、蓄積された「引き出し」の共有
  • 試合中のマウンド訪問や声かけによる投手のメンタルケア

といった形で、投手陣の力を最大限に引き出す役割が期待されます。

さらに、「一緒に考え合って、全員で高めればより良いなと思う」と語るように、若い捕手たちやバッテリー仲間と、対話を重ねながら成長していく姿勢を示している点も心強いところです。
一方的に教えるのではなく、「僕も学びたい」と口にしていることから、チーム全体でレベルアップしていこうとする柔らかさと謙虚さも感じられます。

東北で第二、第三の輝きを 伊藤光がもたらすもの

FAでの移籍というと、しばしば「最後の一花」というイメージも語られます。
しかし伊藤光選手の言葉や表情からは、「これからもう一段成長したい」という前向きなエネルギーが強く伝わってきます。

東北に縁を持つベテラン捕手が、新たな背番号「27」を背負い、正捕手が定まらないチームに飛び込む――。
そこには、プレーだけでなく、人としても、チームとしても「変わっていこう」という決意が込められているように感じられます。

楽天ファンにとっては、

  • 試合を動かす巧みなリード
  • 全力で投手の球を止めにいく守備
  • ここ一番での勝負強い打撃
  • ベンチやマウンドで見せる声かけや立ち振る舞い

こうした一つひとつが、新たな注目ポイントとなるでしょう。
「がむしゃらな姿を応援してほしい」というメッセージどおり、伊藤光選手のプレーは、今後、東北のファンの心を熱くし続けていきそうです。

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