大学入学共通テスト出願49万6,237人に確定 2年連続増加とオンライン出願の本格始動
2026年度(令和8年度)の大学入学共通テストの出願者数が、49万6,237人で確定しました。これは前年度からの増加となり、2年連続で志願者が増えたことになります。さらに、今回からは出願手続きが原則オンライン化され、受験票も自分で印刷する新しい方式が本格的にスタートしました。
出願者数は49万6237人に確定 2年連続の増加
大学入試センターが公表した「令和8年度大学入学共通テストの出願状況」によると、2026年度共通テストの出願総数は49万6,237人となりました。前年度(令和7年度)の49万5,171人と比べて増加しており、2年続けてのプラスとなります。
ここ数年の傾向を見ると、共通テストの志願者数は一時期減少傾向にありましたが、令和7年度(2025年度入試)で増加に転じ、その流れが今回も続いた形です。高校卒業予定者(いわゆる現役生)が志願者全体の大部分を占める構造は変わらず、直近の入試では約86%が現役生というデータも示されています。
少子化が進む中での志願者数の増加は、大学進学を希望する生徒の割合が依然として高いことや、国公立大学を中心に共通テストを利用する大学が多いことなどが背景にあると考えられます。
2026年度から「原則オンライン出願」に完全移行
2026年度共通テストで大きく変わったのが、出願方法のオンライン化です。これまでは、多くの現役生が在籍高校を通じて紙の願書で出願していましたが、2026年度からはすべての志願者がインターネットを利用したWeb出願に切り替わりました。
大学入試センターは、出願開始から受付締切までをオンライン上で受け付け、さらに出願内容の確認・訂正期間も設けています。志願者は、自分でアカウント登録を行い、出願情報を入力・送信する形となります。これにより、従来のような紙の書類のやりとりや、高校経由での一括提出といった手続きが簡素化されました。
一方で、入力ミスや提出忘れはすべて本人の責任となるため、これまで以上に締切や内容確認への注意が必要です。特に、科目選択の誤りや、個人情報の入力ミスは、そのまま試験当日の受験教科や会場、氏名表記などに影響するため、時間をかけて丁寧に確認することが大切です。
受験票は自宅で「印刷」 身分証明書とのセット携行が必須に
オンライン出願の導入に伴い、受験票の扱いも大きく変わりました。従来は高校または大学入試センターから紙の受験票が郵送されていましたが、2026年度からは志願者が自分で受験票データをダウンロードし、各自で印刷する方式が採用されています。
教育系情報サイトなどで公開されている「共通テスト2026 受験上の注意」では、「受験票の印刷」と「身分証明書の持参」が必須であることが強調されています。具体的には、次の点が重要です。
- 受験票はA4サイズで印刷し、写真や氏名などがはっきり読める状態にしておくこと。
- 印刷した受験票を、試験当日に必ず会場へ持参すること。
- 顔写真付き身分証明書(生徒証、マイナンバーカード、パスポートなど)を併せて持っていくこと。
- 受験票の再印刷が必要な場合に備え、データを保存しておくか、複数枚印刷しておくこと。
これらは、試験会場での本人確認を確実に行うための措置です。以前は、受験票自体に写真を貼り付け、高校を通して確認を行う仕組みが中心でしたが、オンライン出願・自宅印刷となったことで、受験票と身分証をセットで提示する方式にシフトしています。
「受験上の注意」は必ず事前に確認を
共通テストを受験するにあたって、大学入試センターが公表する「受験上の注意」は非常に重要な文書です。試験当日の持ち物、禁止事項、試験中のルール、体調不良時の対応など、知っておくべき内容が細かく記載されています。
2026年度の共通テストでは、特に次のような点に注意が促されています。
- 受験票と身分証明書の両方がない場合、原則として受験が認められない可能性があること。
- 試験会場でのスマートフォンやスマートウォッチなどの扱いについて、厳格なルールが定められていること。
- 遅刻の扱いや、試験途中での退室・再入室に関するルール。
- 病気やケガ、感染症などで受験が難しい場合の特例措置や追試験に関する案内。
これらは年度ごとに内容が更新されるため、最新年度の「受験上の注意」を必ず自分で読み込むことが大切です。学校の先生からの説明に頼るだけでなく、自分自身で公式情報を確認しておくと安心です。
志願者数増加の背景にあるもの
今回、共通テストの志願者数が2年連続で増加した背景には、さまざまな要因が考えられます。大学入試センターや教育関連機関のデータからは、次のような傾向が読み取れます。
- 国公立大学志望者の根強い多さ
国公立大学の一般選抜を受験する場合、原則として共通テストの受験が必要です。学費の面などから国公立大学を志望する生徒が多く、共通テストの志願者数を下支えしています。 - 私立大学でも共通テスト利用入試が定着
多くの私立大学が共通テスト利用入試を実施しており、「共通テスト+個別試験」「共通テストのみで判定」など、活用の仕方も多様化しています。このことが、共通テストを受けておこうと考える受験生を増やしています。 - 新課程入試2年目という安定期
教科・科目構成が変わった「新課程」入試の2年目となり、学校現場や受験生の準備もある程度整ってきたことで、「共通テストを避ける」動きがやや落ち着いた面も指摘されています。
これらの要因が組み合わさり、全体としては約49万6千人規模での志願が続いているとみられます。
出願から受験までの基本的な流れ(2026年度版のポイント)
2026年度の共通テストにおける、大まかな流れとポイントを整理すると、次のようになります。
- 1. 出願(9月下旬〜10月上旬)
インターネットを利用したWeb出願のみとなり、紙の願書は廃止されました。志願者本人がサイトにアクセスし、必要事項を入力・送信します。 - 2. 出願内容の確認・訂正期間
大学入試センターは、出願受付終了後に出願内容の確認・訂正期間を設けています。この期間中に、科目選択や個人情報の誤りなどがないか、再度チェックします。 - 3. 受験票のダウンロード・印刷
出願が完了すると、所定の時期に受験票データがオンラインで提供されます。志願者はこれをダウンロードし、自宅などでA4サイズに印刷します。 - 4. 試験当日
印刷した受験票と、顔写真付き身分証明書を必ず持参します。会場の指示に従い、指定された座席で受験します。
この流れは今後も基本的に維持されると見込まれており、在校生だけでなく、浪人生や社会人受験生にとっても、オンラインで手続きが完結するという点で利便性が高まっています。
受験生へのメッセージ:新しい方式に慣れつつ、基本を大事に
2026年度の大学入学共通テストは、志願者数の増加とオンライン出願の本格実施という、二つの大きなポイントが重なった年となりました。初めての方式に不安を感じる受験生もいるかもしれませんが、ひとつひとつの手順を丁寧に確認していけば、決して難しいものではありません。
特に大切なのは、次の3つです。
- ① 公式情報をこまめにチェックすること
大学入試センターや学校からの案内は、変更点や注意事項が詳しく書かれています。ニュース記事やSNSだけでなく、必ず公式の文書やサイトで確認するようにしましょう。 - ② 出願・印刷・持ち物を「自分の責任」として管理すること
オンライン出願や受験票印刷では、自分で管理する範囲が増えました。締切や印刷状態、身分証の有無など、「うっかりミス」が命取りになりかねません。カレンダーやチェックリストを活用し、早め早めに動くことが安心につながります。 - ③ 勉強と体調管理を両立すること
出願や手続きが増えたように感じられるかもしれませんが、あくまで主役は日々の学習と本番での実力発揮です。睡眠や食事、休憩も含めて、自分なりのリズムを大切にしましょう。
共通テストは、多くの受験生にとって大学入試の大きな山場ですが、制度の変化はすべての受験生に等しく適用されます。最新の情報を正しく理解し、基本的なルールを守ることができれば、落ち着いて本番に臨むことができるはずです。
49万6,237人という多くの仲間が、同じ試験に向かって歩んでいます。それぞれの進路や目標は違っていても、共通テストに向けて努力を重ねている点では同じです。自分のペースを大切にしながら、最後まであきらめずに準備を進めていきましょう。




