「顔で勝負」を極めた最終決戦──Prime Video『THEゴールデンコンビ2025』“顔トーナメント”とは
2025年11〜12月に配信されたPrime Videoオリジナルバラエティ『最強新コンビ決定戦 THEゴールデンコンビ2025』。千鳥がMCを務め、芸人16人が“一度限り”のオリジナルコンビを結成し、即興コントの頂点を争う本作は、総額1億円規模の巨大セットと200人観客の容赦ない審査で話題をさらいました。中でも決勝ステージ「顔トーナメント」で披露された“顔を決める”ネタは、SNS上で瞬く間に拡散され、ゴールデンコンビ二代目王者を決定づける象徴的シーンとして語り草になっています。ここでは、その内容と狙いを公式情報とともに深掘りします。公式リリース
番組フォーマットの進化と“顔トーナメント”誕生の背景
第1弾(2024)で視聴者数歴代No.1を記録した『THEゴールデンコンビ』は、即興力・瞬発力・表現力を複合的に問う“お笑いサバイバル”として確立されました。第二弾となる2025年版では、
- 全5話構成(ステージ6+決勝)
- 審査員200人による「一番面白くないコンビ」を都度脱落させるノックアウト方式
- 最後まで勝ち残った3組で“顔”のみを使った決戦を実施
──という新ルールが導入され、視覚的インパクトを最大化。これが「顔トーナメント」と命名された所以です。ORICON NEWS 報道
ルール:トーナメントで“顔”を決めるとは?
決勝では3組が「顔芸」だけで1対1の勝ち抜き戦を展開。⽐較ポイントは次の3項目です。
- 瞬発表情力…制限時間5秒以内で“お題に合う顔”を即座に表現。
- ストーリー性…1セット30秒の“無言コント”として成立しているか。
- シンクロ率…コンビ2人の表情タイミングと角度がいかに揃うか。
8人のゲスト審査員が3ポイント制で採点し、同点の場合は200人観客の多数決が優先されます。勝ち残った2組が最終ラウンドで〈悲喜交々〉〈極上の絶望〉などの“抽象お題”に挑み、総得点で二代目ゴールデンコンビが決定しました。
優勝コンビの“顔ネタ”解析
王者となった田中卓志(アンガールズ)×川北茂澄(真空ジェシカ)は、
- 川北が自作の“顔めくりフリップ”を小道具に相方の輪郭を拡張
- 田中が180度開脚したまま泣き笑いを繰り返す“物理デフォルメ”を追加
- 2人の顔が合体した“キメ顔パネル”を客席に提示し、観客自身にオチを委ねる
──という“多層構造”で審査員の爆笑を総取り。①フリップ芸×②肉体派表情×③メタ視点の三段落ちを15秒に凝縮することで、顔のみでストーリーを完結させる離れ業を見せました。結果、最終ラウンドで9-7の僅差を制し戴冠。公式配信後24時間で関連ハッシュタグが国内トレンド1位(X調べ、2025/12/6 0:00時点)となりました。
“顔芸×トーナメント”が生む3つの効果
今回の決勝システムには、
- ミニマル化による拡散性…台詞を排除したことで言語障壁を越え、クリップ動画が海外ファンにも拡散。
- スキルの可視化…即興力がダイレクトに露呈し、芸人の“表情筋コントロール”という技術が評価対象に。
- 観客参加型ゲーム性…トーナメント方式ゆえの推し活・順位予想がSNS上で活発化。
という三重のメリットがありました。特に①は、TikTok公式アカウントで公開された15秒ダイジェストが48時間で再生数1,800万回を突破(番組公式調べ)し、配信終了後も“顔トーナメント”単体で持続的に再生される“垂直コンテンツ”として機能しています。
“顔ネタ”の源流と差別化ポイント
顔芸を競うフォーマットは、YouTube『チョコレートプラネット 悪い顔選手権』(2020~)など既存企画とも共通しますが、
- ペアで連動する“コンビ芸”に限定
- 制限時間とトーナメント制でスポーツライクに演出
- 即興コント番組内のクライマックスとして配置
──といった差別化により、単なる顔芸から“競技化したお笑い”へと昇華させました。これにより、芸歴・ジャンルを問わず“顔だけで笑いを取れるか”という普遍的テーマが浮き彫りになり、ベテランから若手まで観客審査の基準が揃いやすい構造を生んでいます。J-CAST「悪い顔選手権」解説記事
視聴者・業界のリアクション
配信翌日には複数のレビューサイトやnoteでも“顔トーナメント”が考察対象となり、「表情のみでストーリーを完結させる新ジャンル」「M-1・KOCに次ぐ“顔-1”誕生か」などの声が噴出。トレードマークの“顔めくりフリップ”は早くもグッズ化が検討され、2026年春の劇場イベントで再演予定との報道もあります(吉本興業月例会見より)。
今後の展望──「顔で魅せる」文化は定着するか
視覚的・瞬発的な笑いはショート動画時代と相性が良く、
- “無言”ゆえ海外市場への展開が容易
- AR/VTuber表現とのクロスオーバーが可能
- 顔認識技術を用いたインタラクティブ配信への応用
など拡張性も高いとされています。実際、Prime Video側はプレスリリースで「新フォーマットの国際展開を含め検討中」と言及。2026年以降、アジア圏コメディフェスでの“顔トーナメント”スピンオフ開催も視野に入ると言われています。
まとめ
『THEゴールデンコンビ2025』が提示した「トーナメントで顔を決める」ネタは、
- 顔芸という古典的手法をeスポーツ的フォーマットに再構築
- 配信プラットフォーム時代の“短尺シェア”に最適化
- 芸人の身体性と即興性を可視化し、審査の公平性を担保
──という点で、従来のお笑いコンテストとは一線を画しました。今後、国内賞レースや配信番組が“顔”や“視覚的シグナル”に焦点を当てる動きは加速するでしょう。お笑い界が新たな「筋肉」を手に入れた瞬間を体感した視聴者は、次の進化形バトルを待ち望んでいるに違いありません。



