中日ドラゴンズ、元西武守護神アルバート・アブレイユと来季契約で基本合意 セットアッパー起用でリリーフ強化へ

中日ドラゴンズが、昨季西武ライオンズで守護神を務めたアルバート・アブレイユ投手(30)と来季契約で基本合意したことが分かりました。球団が明かしたもので、来季は主にセットアッパーとしての起用が見込まれています。

西武で28セーブの実績を持つ救援右腕

アブレイユはドミニカ共和国出身の右投げ投手で、2020年にニューヨーク・ヤンキースでメジャーデビューした実力派リリーバーです。レンジャーズ、ロイヤルズを経て23年に再びヤンキースに復帰し、その年は救援として45試合に登板するなど、メジャーでも存在感を示しました。

2024年シーズンからは西武に加入し、抑え投手としてフル回転。52試合登板で2勝5敗、28セーブ、11ホールド、防御率2.39という見事な成績を残し、日本球界でも高い適応力を見せました。150キロ台中盤の力強い直球に、シンカーやスライダーなどを織り交ぜる多彩な投球が持ち味で、打者にとっては非常に攻略しにくいタイプの投手と言えます。

メジャー通算成績は108試合登板で6勝5敗、防御率4.58。リリーフとしてさまざまな場面を経験してきたこともあり、場面を選ばずマウンドに上がれる頼もしさがあります。

2025年はレッズ傘下3Aでプレー

西武を1年で退団したアブレイユは、今季(2025年)は米大リーグ・レッズ傘下の3Aで17試合に登板しています。3Aでは防御率5.79と数字だけを見るとやや苦しんだシーズンでしたが、依然として速球の力強さや経験値は高く、日本球界からの評価は変わっていませんでした。

そのなかでNPB復帰の可能性が取り沙汰され、今オフに入ってから複数球団の候補が挙がる状況となっていました。

広島か中日か…錯綜した移籍先情報

アブレイユの移籍先を巡っては、情報が錯綜する場面もありました。米スポーツ専門局ESPNのエンリケ・ロハス記者は、自身のSNSで「アブレイユが広島と1年契約を間もなく締結する見込み」と報じ、日本でも「広島が元西武・アブレイユ獲得か」と伝えられました。

しかし、その後すぐにニューヨーク・ポスト紙のジョン・ヘイマン記者が、「アブレイユが中日ドラゴンズと契約」と投稿。広島と中日、どちらの球団と合意しているのか、ファンや関係者の間で大きな話題となりました。

国内メディアでも「広島入りとの情報も…中日入りか」と、両球団の名前が並ぶ形で報じられ、一時は日本球界での“争奪戦”の様相を呈していました。

そうした中で、9日には中日が来季契約で基本合意したことを明らかにし、去就問題はいったん決着を見た形となっています。

中日がアブレイユに期待する役割は「セットアッパー」

中日はアブレイユについて、主にセットアッパーとして起用する方針を示しています。セットアッパーとは、試合終盤にリードしている場面で登板し、最後を任されるクローザーにつなぐ重要な役割のリリーフ投手のことです。

西武ではクローザーとして28セーブを挙げており、クローザー経験も豊富なアブレイユですが、中日はまず8回を任せられる男として期待しているとされています。一方で、チーム事情次第では先発起用の可能性も模索すると報じられており、柔軟な起用プランが描かれているようです。

中日投手陣はここ数年、リードを守り切るリリーフの整備が課題の一つとなっていました。そこに、NPBで結果を残している実績ある右腕が加わることで、ブルペン全体の底上げが期待されます。

中日投手陣に与える影響

アブレイユの加入は、中日投手陣にとっていくつかの点でプラス材料となりそうです。

  • 終盤の安定感向上:西武での実績から、ビハインドや僅差リードの場面など、プレッシャーのかかるイニングでの起用が見込まれます。
  • クローザーとの分業がより明確に:セットアッパーが固定されることで、クローザーの負担軽減や登板パターンの整理につながる可能性があります。
  • 若手投手への好影響:メジャーとNPB両方で実績を持つ助っ人の存在は、ブルペンでの準備やメンタル面など、若手への良いお手本にもなり得ます。

特に、アブレイユは150キロ台中盤の速球と変化球を組み合わせる、いわゆる「パワーピッチャー型リリーバー」です。中日の既存リリーフ陣とはタイプの異なる一面もあり、投手陣のバリエーションを増やす意味でも重要な補強と言えそうです。

アブレイユの投球スタイルと魅力

アブレイユの特徴は、まずスピードのあるストレートです。1.88メートルの長身から投げ下ろす直球は、150キロ台中盤を計測することもあり、打者にとって威圧感のあるボールとなります。

そこに、打者の手元で鋭く沈むシンカーや、横滑りするスライダーなどの変化球を組み合わせることで、ゴロを打たせたり、空振りを奪ったりと、状況に応じた投球が可能です。西武時代に防御率2.39を記録した背景には、こうした球種の使い分けと、ストライクゾーンで勝負できる攻めの姿勢がありました。

また、クローザー経験者として、ランナーを背負った場面や一点を争う展開でも動じないメンタルの強さも大きな魅力です。中日が終盤の大事な回を託したくなるのも納得の実績と言えるでしょう。

今後の注目ポイント

今後のポイントとしては、まず正式契約の発表タイミングが挙げられます。現時点では「来季契約で基本合意」とされており、メディカルチェックなどを経て正式契約に至ると見られています。

次に注目されるのが、起用法の最終的な位置づけです。球団はセットアッパー起用を軸にしながらも、チーム事情や本人の希望を踏まえ、先発の可能性も残しているとされています。春季キャンプやオープン戦でのコンディション、他投手との兼ね合いによって、役割が固まっていくことになりそうです。

また、今オフには他にも助っ人投手の出入りがある中で、外国人枠のやりくりや、既存助っ人との兼ね合いも注目されるポイントです。アブレイユがそのなかでどのように存在感を示していくのか、ファンの関心は高まっています。

ファンが楽しみにできるポイント

中日ファンにとって、アブレイユ加入で楽しみな点はいくつかあります。

  • 勝ちパターンの強化:リードして終盤に入った試合を、しっかり勝ち切れる試合が増える可能性があります。
  • 豪快なパワーピッチ:150キロ台中盤のストレートで打者をねじ伏せる投球は、観ていて爽快感があります。
  • NPB2球団目での挑戦:西武で成功したアブレイユが、セ・リーグの中日でどのような投球を見せるのか、新たなチャレンジとして注目されます。

広島移籍の報道も出るほどの注目度の高い投手だけに、中日がこの争奪戦を制した形となったことは、大きなニュースと言えるでしょう。

まとめ:ブルペン再建の切り札となるか

元西武の守護神として知られるアルバート・アブレイユが、中日ドラゴンズと来季契約で基本合意に達したことで、チームのリリーフ陣強化は大きく前進したと言えます。実績十分の救援右腕をセットアッパーとして迎え入れることで、終盤の戦い方にはこれまでとは違った安心感が生まれるかもしれません。

一方で、広島との契約報道など、今オフの移籍報道が錯綜したことも、アブレイユという投手の評価の高さを物語っています。正式な契約発表、そして実際にドラゴンズのユニホームに袖を通し、ナゴヤドーム(バンテリンドーム)でマウンドに立つ日を、多くのプロ野球ファンが待ち望んでいる状況です。

中日ドラゴンズで、アブレイユがどのような投球を見せてくれるのか。2026年シーズンのブルペンのキーマンとして、その一挙手一投足に大きな注目が集まりそうです。

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