臺東の二校が客語藝文競賽全国決勝へ ことばと創造力でダブル銅メダルの快挙

台湾各地の児童・生徒が客家語と芸術表現を競い合う「114年全國中小學客家藝文競賽總決賽」が、高雄市の正修科技大学で盛大に開催されました。
今年は全国から1500名を超える客語の精鋭が集い、歌唱、朗読、劇、説話など、多彩な種目で日頃の学習成果を披露しました。
そのなかで、臺東県の二つの学校が見事に全国決勝へと駒を進め、優れた客語力と豊かな創造性を武器に二つの銅メダルを獲得。客語教育の新しい可能性を示し、大きな注目を集めています。

全国から1500名が高雄に集結 客語文化の一大フェスティバル

今回の全国決勝は、客家委員会と高雄市政府が主催し、高雄市政府教育局が運営を担当しました。
会場となった正修科技大学には、各県市の予選を勝ち抜いた代表チームが集まり、まさに“客語の甲子園”ともいえる熱気に包まれました。

競技は、

  • 客語歌唱(ソロ・合唱・表演歌唱)
  • 客語朗読・説話
  • 客語戲劇(演劇)
  • 客語演説・即興表現 など

といった多様な部門で構成され、中小学校の児童・生徒がチームや個人で出場しました。
単なる語学コンテストではなく、生活の中の客語、地域文化、家族の物語をどう表現するかが重視され、各チームは歌や劇、オリジナル脚本などを通して、ふるさとの風景や現代の暮らしを瑞々しく描き出しました。

臺東二校、全国決勝で堂々の「ダブル銅メダル」

今回大きな話題となったのが、臺東県の二校による全国決勝での健闘です。
それぞれ異なる部門に出場した二校は、いずれも

  • 正確で自然な客語運用能力
  • 観客を惹きつける表現力
  • 地域の特色を生かした創造的な構成

が高く評価され、二つの競技でそろって銅メダル(全國第3名)を獲得しました。
ニュースでは、「語文」と「創意」の両面での実力が際立っていたことから、「語文力とクリエイティビティでダブル銅」として紹介されています。

審査員からは、

  • 客語の発音や語彙がしっかりしているだけでなく、日常の会話のように自然であること
  • 物語や脚本の構成が練られており、子どもたち自身の視点や感性が反映されていること
  • 歌や演技に「楽しんでいる」雰囲気があり、会場を温かく盛り上げたこと

などが高く評価されたと伝えられています。

高雄で燃え上がった「客語新勢力」 若い世代が主役に

一方、今回の全国決勝の雰囲気を伝えるニュースでは、「1500名の客語菁英(エリート)が高雄に集結」、「客語藝文競賽が言語文化の新しい潮流を生み出した」と報じられています。
会場には台湾各地から集まった子どもたちと、その指導にあたる教師や保護者が多数訪れ、応援の声や拍手が絶えない一日となりました。

主催側である高雄市政府教育局や、実務を担当した高雄市三民区獅湖国小などの学校は、事前準備から当日の運営まで綿密に計画し、全国からの参加校を温かく迎えました。
また、正興国小、民族国小、莊敬国小など地元の学校も協力し、子どもたちが安心して競技に集中できる環境づくりに力を尽くしました。

ニュースでは、この大会を通じて

  • 若い世代の客語能力が確実に伸びていること
  • 客語をベースにした歌、演劇、朗読などの表現が年々洗練されていること
  • 客語を「勉強する言語」から「使って楽しむ言語」へと転換しつつあること

が強調されています。
その象徴的な存在として、予選を勝ち上がった各地の代表チームの活躍、とりわけ今回の臺東二校のダブル銅メダルが、大会の明るいニュースとして取り上げられました。

苗栗など各地も健闘 地域を挙げた客語教育の成果

客語藝文競賽は、単に個々の学校の成果だけでなく、各県市全体の客語教育の取り組みを映し出す場にもなっています。
今年は、苗栗県の出場校が多数入賞し、全国トップクラスの成績を収めたことも報じられています。

苗栗県からは、

  • 25チームが特優として決勝に進出
  • 県政府が出場校を財政面でも支援
  • 学校・家庭・地域が一体となって児童・生徒を後押し

といった取り組みが紹介され、地域を挙げての客語振興が成果に結びついていることが示されています。

同様に、花蓮市でも、市長自らが高雄の会場を訪れ、市内の出場校を激励した様子が伝えられています。
花蓮の学校は、生活場面を題材にした劇や、スマートフォンやタブレットを介した客語学習など、身近なテーマを作品に盛り込んだことで好評を博し、複数の部門で上位入賞を果たしました。

こうした地域ごとの取り組みが、全国競賽の場で互いに刺激し合うことで、台湾全体として客語教育の底上げが進んでいることが、今回の決勝からもうかがえます。

「臺」の字に込められた誇り 臺東の子どもたちが見せたもの

今回のニュースでキーワードとなっている「臺」という字は、臺東(臺東県)臺灣(台湾)を象徴する文字でもあります。
旧字体の「臺」には、土地への愛着や歴史の重みといった意味合いも重なり、客家文化や地方の特色を大切にする今回の競賽に、よく似合う文字だと言えるでしょう。

臺東から全国決勝に進んだ二校の生徒たちは、

  • 自分たちのふるさとへの誇り
  • 家族から受け継いだことば
  • 友だちと一緒に作り上げた作品

を胸に、高雄の大きなステージに立ちました。
結果として二つの銅メダルを手にしたことは、大きな成果であると同時に、これからの学びと表現への新たな出発点でもあります。

ニュースでは、指導教員や保護者が

  • 「子どもたちが楽しみながら客語を学び、舞台で自信を持って話す姿に感動した」
  • 「これをきっかけに、家庭でもっと客語を使っていきたい」

といった声を寄せている様子も伝えられています。
このように、子どもたちの挑戦が、家庭や地域の言語環境にも良い変化をもたらしていることが、今回の競賽の大きな意義の一つとなっています。

学校・家庭・地域が支える客語教育 競賽が生んだ連帯感

客語藝文競賽の舞台裏では、先生方の長期的な指導保護者の全面的なサポート、そして自治体の制度的な後押しが不可欠です。
花蓮市長が述べたように、「子どもたちが予選を勝ち抜き、全国決勝の舞台に立つまでには、日々の練習の積み重ねと、多くの大人たちの支えがある」ことが強調されています。

臺東の二校も例外ではなく、

  • 放課後や休日を活用した練習
  • 脚本づくりや衣装・小道具の準備
  • 発音やイントネーションの細かい指導

といった地道な努力を重ねてきました。
その過程で、子どもたちは仲間との協力観客を意識した表現も学び、単なる言語能力を超えた成長を遂げています。

また、自治体によっては、

  • 出場校への交通費・活動費の補助
  • 客語教師の配置や研修の充実
  • 学校内での日常的な客語使用の推奨

など、制度面での支援も進めており、競賽をきっかけにした継続的な母語教育の推進が図られています。

子どもたちが切りひらく客語の未来

今回の114年全國中小學客家藝文競賽總決賽は、高雄という大都市を舞台に、台湾各地の子どもたちが客語で自分の世界を語る貴重な機会となりました。
そのなかで、臺東の二校が二つの銅メダルを勝ち取ったことは、地方の小さな学校であっても、情熱と工夫次第で全国の舞台に立てることを示した象徴的な出来事です。

今後、こうした競賽を通じて、

  • 子どもたちが客語を「自分のことば」として使いこなす
  • 学校教育と家庭、地域社会が連携して客語を守り、育てる
  • 客語が歌や演劇、物語創作などを通じて、さらに魅力的な文化表現へと発展していく

ことが期待されています。
そして、その中心にいるのは、まさに今回の大会で輝いた臺東の子どもたちをはじめとする若い世代です。

「臺」の字が示すように、この土地で育まれたことばと文化は、子どもたちの口から未来へと受け継がれていきます。
臺東二校のダブル銅メダルは、その歩みが着実に進んでいることを教えてくれるニュースとなりました。

参考元