サンダーランドに足止めされた王者リヴァプール 止まらない不振と“スロット解任論”の行方

プレミアリーグ王者リヴァプールの苦境が、ついに新たな局面を迎えています。直近のリーグ戦では、昇格組のサンダーランド相手に1−1のドロー決着。 本来であれば勝ち点3が求められる相手に取りこぼしたことで、サポーターの間では指揮官アルネ・スロット監督の「解任論」が一気にヒートアップしています。

クラブを支えてきた主力の不調、大型補強組の不発、そして立て直せないチーム状況。選手たち自身も危機感を口にし始めるなか、リヴァプールはどこへ向かうのでしょうか。本記事では、サンダーランド戦を含めた最近の戦いぶり、ショボスライやヴィルツら“闘う男たち”の言葉、そしてスロット解任論の賛否まで、今のリヴァプールをやさしく整理してお伝えします。

サンダーランド戦は1−1のドロー 連勝はならず

まず押さえておきたいのが、話題となっているサンダーランド戦の結果です。

  • リヴァプールは今季リーグ戦13試合で7勝6敗
  • サンダーランドとのアウェイゲームで1−1の引き分けに終わり、9月以来のリーグ戦連勝を逃した。
  • 連覇を目指してスタートしたシーズンでしたが、公式戦直近13試合で9敗と、大きな不振に陥っている。
  • この試合では、日本代表MF遠藤航に出場機会は与えられなかった。

下位と見られることの多いサンダーランド相手に勝ちきれなかったことは、結果以上に「内容」や「流れ」の悪さを印象づける一戦となりました。特に、守備の不安定さや、攻撃面での迫力不足は、ここ数試合続いている課題と重なっています。

止まらない黒星 歴史的ワースト級の成績に

リヴァプールの不振は、単なる「一時的なスランプ」というレベルを超え、歴史的な数字としても表れています。

  • チャンピオンズリーグ(CL)・リーグフェーズ第5節PSV戦で1−4と大敗。
  • その前には、マンチェスター・シティ戦で0−3、ノッティンガム・フォレスト戦でも0−3と連敗。
  • CLとリーグ戦を合わせ、公式戦3試合連続で3点差以上の敗戦という、72年ぶりの屈辱的記録に。
  • 直近公式戦12試合で9敗と、クラブ史上12試合単位で最多タイの敗戦数も記録した。

昨季のプレミアリーグ王者が、ここまで連敗と大敗を重ねることは極めて異例です。プレミアリーグでは12位まで順位を落とし、CLでも13位と苦しい立場に置かれています。

PSV戦では、序盤にPKで失点したあとドミニク・ショボスライのゴールで一時同点としたものの、後半に3失点して1−4の大敗。 守備の要であるはずのフィルジル・ファン・ダイクは、今季公式戦で3度PKを与えており、これはプレミアリーグのどの選手よりも多い数字とされています。 ディフェンスラインの不安やベテラン勢のパフォーマンス低下は、リヴァプールの崩壊を象徴する事象となっています。

大型補強組も不発 「史上最悪の崩壊」と指摘する声

不振の背景には、クラブが今夏に行った大型補強の不発もあります。

  • アレクサンデル・イサク(移籍金1億3000万ポンド)、フロリアン・ヴィルツ(1億1600万ポンド)ら高額補強選手が期待通りに機能していない。
  • エースのモハメド・サラー、キャプテンのフィルジル・ファン・ダイクといったベテラン主力も軒並みパフォーマンスを落としている。
  • アルネ・スロット監督は、チームをうまくまとめきれていないと指摘されている。

イングランドメディアは、こうした状況を「修正困難な史上最悪の崩壊」とまで表現。 クロップ前監督が築いた土台の上に就任初年度でタイトルをもたらしたスロット監督でしたが、その後の大型補強を経て新体制へ移る段階でつまずいている、という見方が強くなっています。

なかには、マンチェスター・ユナイテッドを率いたサー・アレックス・ファーガソンの例を引き合いに出し、「サラーやファン・ダイクを売れる時に売るべきだった」と、非情な決断の必要性を説く意見もみられます。 チームの世代交代がうまく進んでいないことは、数字と内容の両面からも浮き彫りになっています。

闘う男ショボスライ「すべてを変える必要がある」

こうした苦しい流れのなかで、選手たち自身も強い危機感を口にし始めています。そのひとりが、ハンガリー代表MFドミニク・ショボスライです。PSV戦で唯一の得点を挙げた彼は、クラブの現状について「このままではいけない」というメッセージを繰り返し発信しています。

詳細な発言の全文は別媒体になりますが、ショボスライは要旨として、

  • チーム全体としてすべてを変える必要があること
  • 個々のプレーだけでなく、組織としての戦い方やメンタリティも見直さなければならないこと

といった趣旨のコメントを残しています。PSV戦で一時同点に追いつくゴールを決めながら、試合後には結果に満足するどころか、むしろ強い危機感と悔しさを前面に出した姿は、ファンからも「闘う男」として評価されています。

ヴィルツも「簡単な状況じゃない」 忍耐と努力を強調

また、今季加入のドイツ代表MFフロリアン・ヴィルツも、チームの不振について口を開きました。ヴィルツは「今は簡単な状況じゃない」と率直に認めたうえで、復調へのカギとして忍耐強い努力を挙げています。

こちらも各社報道の要旨になりますが、ヴィルツは、

  • チームは困難な時期を過ごしていること
  • しかし感情的になりすぎず、日々のトレーニングや試合の中で改善を続けることが重要であること
  • すぐに結果は出なくても、忍耐強く努力を重ねることで必ず好転させられる、という信念

といった内容を語っています。高額移籍金と期待を背負いながら、なかなか自分の力を発揮しきれていない立場からの言葉だけに、サポーターからは「もっと彼を中心に据えるべき」「長い目で見たい」という声も出ています。

遠藤航待望論と「ワタルを使ってくれる監督」への期待

リヴァプールの不振が続くなか、日本のファンを中心に注目を集めているのが、MF遠藤航の起用法です。

  • PSV戦まで続いた大敗の流れや、守備の不安定さを受けて、現地や日本のメディアでは遠藤のスタメン起用を求める声が高まっている。
  • サンダーランド戦では出場機会がなく、この点にも不満を示すファンは少なくない。

特にSNS上では、スロット監督の解任論とセットで、

  • 「解任はやむを得ない」
  • 「次に負けたらいよいよ」
  • ワタルを使ってくれる監督就任しないかな」

といった声が多数上がり、「スロット解任」がトレンド入りする状況となりました。 遠藤はピッチ内外でのリーダーシップと守備の安定感に定評のある選手だけに、不振のチームにこそ必要だと考えるファンが多いのも自然な流れと言えるでしょう。

スロット解任論の賛否 「やむを得ない」か「厳しすぎる」か

サンダーランド戦のドローや、PSV戦までの大敗続きにより、指揮官アルネ・スロットの進退は、いまやクラブを巡る最大の論点のひとつとなっています。

解任論を支持する声には、

  • 「14戦4勝の成績では解任はやむを得ない
  • 「選手も補強もそろっているのに、まったくチームとして機能していない」
  • 「この流れを止めるには、監督交代しかないのではないか」

といった主張が並びます。一方で、スロット擁護派からは、

  • 「就任からまだ時間が短く、ここでの解任は厳しすぎる
  • 「チームの世代交代と戦術の移行期であり、短期的な成績だけで判断すべきではない」
  • 「選手の衰えや補強戦略にも問題があり、監督だけを責めるのは違う」

といった声も聞かれます。

さらに、ウェストハム戦で2−0と勝利して連敗を止めた試合では、アウェイスタンドから「アルネ・スロット!」のチャントが力強く響いたとされ、選手や一部サポーターはなお監督を支える姿勢を見せています。 ただ、その後のサンダーランド戦で連勝を逃したことで、再び議論に火がついた形です。

求められるのは「変化」と「我慢」 サンダーランド戦が突きつけた現実

サンダーランドとの1−1ドローは、数字の上では「アウェイでの引き分け」と片づけられるかもしれません。しかし、王者として連覇を目指すクラブにとっては、

  • 格下と目される相手に主導権を握りきれなかったこと
  • 終盤にかけてゴールへ迫る迫力を欠いたこと
  • メンバー選考や交代策への不満が、サポーターの間でさらに増幅したこと

など、多くの課題を改めて突きつける試合になりました。

ショボスライの言うように「すべてを変える」ほどの抜本的な見直しが必要なのか、それともヴィルツのように「忍耐強く努力」しながら少しずつ改善していくべきなのか。スロット監督をめぐる議論も含め、リヴァプールは今、クラブとしての進むべき方向性を突きつけられています。

サンダーランド戦での足踏みは、単なる1試合の結果ではなく、「このままではタイトルどころか、CL出場権すら危うい」という現実を、あらためてサポーターとクラブ関係者に意識させるものになったと言えるでしょう。

王者リヴァプールは、この危機を乗り越えられるのでしょうか。サンダーランド戦を境に、チームがどのような決断を下し、どのような変化を見せるのかが、今後の焦点となっています。

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