DAZNがF1配信終了へ――2026年からフジテレビが国内独占、11年ぶり地上波復活の衝撃

スポーツ配信サービス「DAZN(ダゾーン)」が、長年続けてきたF1(フォーミュラ1)の日本向け配信を、2025年シーズン限りで終了すると発表しました。F1中継といえばDAZN、というファンも多かっただけに、この決定は日本のモータースポーツファンに大きなインパクトを与えています。同時に、2026年からはフジテレビがF1の日本国内における独占放送・配信権を獲得し、地上波でのF1放送が11年ぶりに復活することも明らかになりました。

DAZNがF1配信を「今季限りで一旦終了」

DAZNは、日本でのサービス開始直後の2016年シーズン途中からF1のライブ配信をスタートし、以来約10年にわたってF1ファンの主要な視聴手段として存在してきました。レース本編だけでなく、予選・フリー走行を含む全セッションのライブ配信や、F2・F3といった下位カテゴリーの中継、オリジナル番組なども展開し、幅広いモータースポーツコンテンツを提供してきたことが特徴です。

しかし、2025年シーズンをもってF1の配信契約が満了するタイミングで、DAZNはF1の取り扱いを「一旦終了」する方針を公表しました。これは、2026年以降の日本国内におけるF1放映権をフジテレビが新たに獲得し、独占契約を結んだことを受けたものです。ファン向けには、長年の視聴への感謝のメッセージとともに、「今後も別の形でモータースポーツの魅力を届けていく」という姿勢が示されており、F1以外のカテゴリーでは引き続きコンテンツ拡充が期待されます。

フジテレビが2026年から国内独占オールライツ契約

一方で、2026年以降のF1日本国内放送・配信については、フジテレビがF1側と独占的な「オールライツ契約」を締結したことが発表されています。契約期間は2026年から2030年までの5年間とされ、この間は日本国内におけるテレビ放送、インターネット配信を含むあらゆる形態のF1中継に関する権利をフジテレビが一元的に保有することになります。

この契約により、これまでDAZNなど複数のプラットフォームに分散していた視聴環境は、フジテレビ系列に集約される方向に変わります。従来からF1中継を行ってきたCSチャンネル「フジテレビNEXT ライブ・プレミアム」や、そのオンライン版「フジテレビNEXTsmart」も引き続きF1を放送する予定で、これに加えてインターネット配信サービス「FOD(フジテレビオンデマンド)」がF1中継の新たな中核として位置付けられます。

注目のポイント1:11年ぶりの地上波復活

今回の発表の中でも、とくにファンの関心を集めているのが「地上波でのF1放送が11年ぶりに復活する」という点です。かつてはフジテレビ系列の地上波中継がF1視聴の代名詞でしたが、近年は配信サービスやCS放送が主戦場となり、地上波からは姿を消していました。そのため、久しぶりに「普通のテレビでF1が見られる」環境が戻ってくることになります。

具体的な放送形態としては、シーズン全戦のフル中継というよりも、「注目グランプリのダイジェスト放送」や「ハイライト番組」といった形が中心になる見込みとされています。一部報道では、最大で年間数戦程度の地上波放送が想定されており、レースの全貌を追いたいコアファンはCSや配信サービスを併用し、ライト層は地上波ダイジェストでF1の魅力に触れる、という住み分けが進みそうです。

注目のポイント2:FODで全24戦・全セッション配信へ

フジテレビが展開する動画配信サービス「FOD」は、2026年からF1中継の中核プラットフォームとして機能する計画です。報道によれば、FODではF1世界選手権の全24戦について、決勝だけでなく、予選やフリー走行を含む「全セッション」をライブ配信する方針が示されています。これにより、これまでDAZNで全セッション視聴に慣れていたファンも、FODを通じて同様の視聴体験を継続できると期待されています。

さらにFODは、F1公式のストリーミングサービス「F1 TV」との連携も日本で初めて実現すると伝えられています。これにより、オンボード映像やチームラジオ、データ画面など、これまで国内では十分に利用できなかった公式コンテンツが、日本語サービスと組み合わせて楽しめる可能性が広がります。公式と国内放送事業者が連携する形で、視聴体験の質を高めていく狙いがうかがえます。

DAZN時代のF1配信が残したもの

2016年に始まったDAZNのF1配信は、日本のモータースポーツ視聴環境にいくつかの大きな変化をもたらしました。月額制の定額見放題サービスとして、サッカーや野球と並びモータースポーツも「いつでもどこでも見られる」スタイルを普及させ、スマートフォンやタブレットでレースを楽しむ文化が定着したのは、DAZNの貢献によるところが大きいと言えます。

また、F1だけでなくF2やF3、スーパーフォーミュラなど、若手ドライバーが戦うカテゴリーを継続的に配信したことは、日本人ドライバーの歩みを追い続けるうえでも重要でした。角田裕毅選手と深く関わるコンテンツや、トーク番組、解説を交えたオリジナル企画など、「観るだけでなく知る・学ぶ」場を提供してきたことも、DAZN時代の価値として記憶されるでしょう。

2026年以降、視聴者に起きる変化

2025年シーズン終了後、F1を観戦したい日本のファンにとっては、利用するプラットフォームの見直しが避けられなくなります。これまでDAZN一本でF1を追いかけてきた人は、2026年以降はフジテレビの提供する各サービス――CSチャンネル、FOD、そして地上波――の中から、自分の視聴スタイルに合った組み合わせを選ぶことになります。

たとえば、「すべてのセッションをリアルタイムで細かく追いたい」というコアファンであれば、FODやCS「フジテレビNEXT」を中心に視聴環境を構築する選択肢が有力です。一方、「F1には興味はあるが、毎戦フルで見るのは難しい」というライト層や新規ファンにとっては、地上波ダイジェストが入門編の役割を果たしそうです。配信サービスを軸としつつ、地上波が“玄関口”として機能する構図が見込まれます。

ファンが今のうちに確認しておきたいこと

  • 2025年シーズン終了までの視聴環境:DAZNでのF1配信は「今季限り」とされているため、2025年末までは従来どおり視聴できます。契約の更新タイミングや自動更新設定を確認しておくと安心です。
  • 2026年以降の新プラン・料金:フジテレビのCSチャンネルやFODが、F1を含めたどのような料金体系・パッケージで提供されるのかは、今後の正式発表をチェックする必要があります。
  • 対応デバイス・画質:スマホ、タブレット、PC、テレビなど、どのデバイスでどの程度の画質・同時視聴が可能になるかは、見逃し配信の有無とあわせて、多くのファンにとって重要な比較ポイントです。

今後のモータースポーツ配信とDAZNの立ち位置

DAZNはF1配信を終了する一方で、「今後もモータースポーツの熱を様々な機会を通じて届けていく」と表明しており、他カテゴリーの中継については継続・拡充が予想されます。スーパーフォーミュラや各種耐久レース、フォーミュラEなど、F1以外にも多くのシリーズが存在しており、日本国内のモータースポーツファンにとっては、引き続き重要な視聴プラットフォームであり続けるでしょう。

一方、F1については、フジテレビとF1公式の連携強化により、データや映像の活用範囲が広がり、これまで以上に「多角的にF1を楽しめる環境」が整っていく可能性があります。配信サービスと地上波、CSを横断した展開が進めば、コアファンから初めてF1に触れる人まで、さまざまな層がそれぞれのスタイルでF1を楽しめる時代が訪れそうです。

変わるのは“どこで見るか”、変わらないのは“F1の魅力”

今回のニュースは、「F1といえばDAZN」というこれまでのイメージが大きく変わる出来事ですが、一方で、F1そのものの魅力やレースの熱狂が損なわれるわけではありません。むしろ、11年ぶりに地上波が復活し、公式ストリーミングとの連携も進むことで、これまで以上に多くの人がF1に触れる機会が生まれる可能性もあります。

視聴手段の変化は、ファンにとって最初は戸惑いを伴いますが、新しい環境に慣れてしまえば、より高画質・多視点・豊富なデータを楽しめるようになるかもしれません。2025年シーズンは「DAZN時代のラストイヤー」として最後まで見届けつつ、2026年以降の新しいF1視聴スタイルに向けて、自分に合った形を考えていく一年になりそうです。

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