DAZNがW杯全104試合を独占ライブ配信へ 日本戦は無料&抽選会も無料配信に

2026年に開催される「FIFAワールドカップ26」をめぐり、日本国内の放送・配信体制が大きく動き始めています。スポーツ配信サービスDAZNは、日本における大会全104試合のライブ配信権を獲得し、さらに日本代表の全試合を無料配信すると発表しました。 また、組み合わせ抽選会の模様も無料でライブ配信されることが明らかになり、「どこで、どうやってW杯を見るか」が大きな話題となっています。

DAZNがW杯26全試合をライブ配信

DAZNは、アメリカ・カナダ・メキシコの3カ国共催となる「FIFAワールドカップ26」について、日本国内における全104試合のライブ配信権を獲得しました。 出場国の拡大により試合数が増えた今回の大会でも、開幕戦から決勝まで、全ての試合を視聴できるのは日本ではDAZNだけとなります。

この大会は史上最大規模のW杯となり、48カ国が参加し、1次リーグの形式も従来から変更される予定です。 試合数の多さに対応するため、DAZNはライブ配信に加え、見逃し配信やハイライトなども含めた多様な視聴オプションを提供していく方針を示しています。

日本代表戦は全試合「無料配信」

ファンにとって特にうれしいポイントは、日本代表戦が全試合無料で視聴できるという点です。DAZNは、日本代表の試合については有料会員でなくても視聴できる無料配信とする方針を発表しており、多くの人がスマートフォンやPCから気軽に代表戦を楽しめる環境が整います。

これにより、「代表戦だけは見たいが、有料契約までは迷う」という層にも視聴のハードルが大きく下がることになります。すでにDAZNでは、日本代表が出場権をかけて戦ったAFCアジア最終予選の全10試合を無料公開しており、本大会前から“無料で日本代表を応援する”流れを作っています。

組み合わせ抽選会も今夜無料配信

本大会の前哨戦ともいえる組み合わせ抽選会も、DAZNが無料でライブ配信することを発表しています。 抽選会は日本時間で深夜帯に行われる予定ですが、DAZNではその全工程を生中継し、日本がどのグループに入り、どの国と対戦するのかという「運命の瞬間」をリアルタイムで伝えます。

抽選会の配信には、お笑い芸人の矢部浩之さんや、サッカー好きタレントとして知られる影山優佳さんらが出演することが明らかになっており、サッカーファンだけでなくライトな視聴者も楽しめる構成が予想されています。 解説やトークを交えながら抽選の模様を伝えることで、「結果を見るだけ」でなく「一緒にドキドキしながら見守る」体験を提供しようとしています。

地上波放送はどうなる? NHK・民放の動き

一方で、地上波テレビのW杯中継も引き続き行われる見通しです。報道によると、NHKは日本戦を含む33試合程度の中継を予定しており、日本代表の試合はすべて地上波でも放送される方向で調整が進められています。 民放各局も注目カードを中心に放映権を分け合う形で、地上波での生中継やダイジェスト番組を準備しているとされています。

ただし、これまでのように「地上波だけ見ていれば主要な試合はだいたいカバーできる」という状況から、今大会では「全試合を見たければ配信サービスを利用する」という構図がよりはっきりしてきました。NHKや民放が放送する試合には限りがある一方で、DAZNは配信で全試合をカバーすることで、それぞれの役割が分かれつつあります。

テレビ局の収益構造とW杯放送の重圧

サッカーW杯の放送は、視聴率という面では長年「おいしいコンテンツ」でしたが、近年は放映権料の高騰により、テレビ各局にとっては収益確保が難しいコンテンツにもなっています。広告市場が伸び悩む中、電通や民放各社の業績にとって、W杯放送は大きな負担になりつつあるという指摘も出ています。

日本戦や決勝などの“超人気カード”は広告収入も見込めますが、それ以外の試合ではコストを回収しきれないケースも増えています。そのため、地上波では放送試合数を抑えたり、ハイライト中心の編成にしたりする動きが見られます。一方で、配信サービスであれば、有料会員収入や他コンテンツとのシナジーを含めた長期的な視聴価値で採算を考えやすく、ビジネスモデルの違いがくっきりと表れてきました。

配信シフトが進むスポーツ視聴の「今」

今回の発表は、スポーツ視聴の世界的なトレンドである「配信シフト」が、日本でも決定的な段階に入ったことを象徴しています。DAZNはサービス開始から10年の節目を迎えるタイミングでW杯の全試合配信権を獲得し、「スポーツ視聴の新時代」を掲げて、プラットフォームとしての存在感を一段と強めようとしています。

視聴者側から見ると、スマートフォンやタブレット、PC、スマートテレビなど、生活スタイルに合わせて「どこでも視聴できる」選択肢が広がりました。特に深夜帯の試合や平日開催のカードなど、従来なら視聴が難しかった試合も、配信であればスキマ時間や見逃し配信を活用して、負担を抑えながら楽しむことができます。

「抽選会を見る」ことの意味

W杯の組み合わせ抽選会は、一見すると短時間のイベントに思えますが、サッカーファンにとっては大会全体のストーリーが動き出す重要な場面です。日本がどのグループに入り、格上の強豪国と同居するのか、あるいは現実的な突破が狙える組み合わせになるのか――抽選会はその期待と不安が交錯する瞬間であり、その様子をライブで共有できることには大きな意味があります。

矢部浩之さんや影山優佳さんといったサッカー好きの著名人が参加する配信では、「専門的な戦術解説」だけでなく、「ファン目線のリアクション」も含めて楽しめることが期待されています。 抽選の結果に一喜一憂しながら、視聴者も一緒になって盛り上がれる構成は、テレビ番組と配信番組の“いいとこ取り”のような形と言えるでしょう。

視聴者はどう楽しむ? 選択肢の広がり

今回のW杯では、視聴者は大きく分けて次のような楽しみ方を選択できます。ひとつは、日本代表戦を中心に、地上波と無料配信で楽しむスタイルです。日本代表の試合は、DAZNの無料配信に加え、NHKなどの地上波中継でも視聴できる見通しのため、「お金をかけずに代表戦だけしっかり見る」という人には十分な環境が整っています。

  • 日本代表戦や決勝など、話題の試合だけを無料+地上波で見る
  • DAZNに加入して、全104試合を余すところなく追いかける
  • テレビ中継で見る試合と、配信で見る試合を組み合わせる

もう一つは、DAZNに加入して全104試合を追いかけるスタイルです。グループリーグから決勝トーナメントまで、各国のスター選手や“ダークホース”の躍進など、W杯ならではのドラマを隅々まで見届けたいファンにとっては、全試合配信は大きな魅力と言えます。

地上波と配信、これからのバランス

サッカーW杯は長年、地上波テレビにとって「国民的イベント」としての役割を果たしてきました。一方で、今回のように配信サービスが全試合の権利を握り、日本戦も無料で提供するという構図は、放送ビジネスの主役が徐々に変わりつつあることを示しています。

それでも、日本戦の地上波中継は依然として大きな影響力を持ちます。家族でリビングに集まりテレビの前で応援するスタイルと、個々がスマホで視聴するスタイルが共存し、視聴シーンが多様化していくことになりそうです。放送と配信が競い合いながらも、それぞれの強みを生かしてW杯を盛り上げていくかたちが、今後のスタンダードになっていくのかもしれません。

W杯をきっかけに変わる「スポーツの見方」

今回のW杯放送・配信をめぐる動きは、「どこで放送されるか」という情報以上に、スポーツとの付き合い方そのものが変わりつつあることを感じさせます。配信サービスは、試合ごとのライブ視聴だけでなく、過去の名勝負やドキュメンタリー、ハイライトなどを通じて、ファンが24時間いつでもサッカーに触れられる環境を整えつつあります。

一方で、地上波は「誰でもすぐに見られる入口」としての役割を引き続き担い、代表戦などを通じてライト層にサッカーの面白さを伝える重要な窓口のままです。W杯をきっかけにサッカーを好きになった人が、配信サービスを通じてクラブチームや海外リーグにも興味を広げていく――そんな流れが今後さらに強まっていきそうです。

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