NBA通算213試合出場のガード、デイミアン・ドットソンが琉球ゴールデンキングスへ加入

Bリーグ・琉球ゴールデンキングスは、NBAで通算213試合に出場したシューティングガード、デイミアン・ドットソン選手と2025-26シーズンの選手契約を結んだことを発表しました。琉球にとっては、長らくフォワードやセンターに外国籍選手を起用してきた中で、約10シーズンぶりとなる「ガードもこなせる外国籍選手」の獲得となり、大きな注目を集めています。

デイミアン・ドットソンとはどんな選手?

デイミアン・ドットソンはアメリカ出身のバスケットボール選手で、ポジションは主にシューティングガードを務めます。身長はおよそ196センチ、体重95キロと、ガードとしてはサイズがありながら、ガードらしい俊敏さとスキルを兼ね備えています。

出身校はNCAAディビジョン1の強豪、ヒューストン大学です。大学時代には得点力とリバウンド力を武器に頭角を現し、プロ入り前から「オールラウンドに活躍できるガード」として評価されてきました。

NBAドラフトからニューヨーク・ニックスへ

ドットソンは2017年のNBAドラフトでニューヨーク・ニックスから2巡目・全体44位で指名され、NBA選手としてのキャリアをスタートさせました。即戦力というよりは、成長を期待されるスコアリングガードという位置づけでしたが、限られた出場時間の中でも持ち前のタフさとシュート力を発揮し、徐々に出場機会を増やしていきました。

ニックス在籍時には、3ポイントシュートやドライブからの得点に加え、リバウンドにも積極的に絡むプレーが評価されました。スタメン・ベンチのどちらでも役割をこなせる柔軟さがあり、チーム事情に応じてさまざまなラインナップで起用されてきた選手です。

NBA通算213試合出場の実績

デイミアン・ドットソンのNBAでのキャリアは、ニューヨーク・ニックスとクリーブランド・キャバリアーズでのプレーを中心に、レギュラーシーズン通算213試合に出場しているという確かなものです。ロールプレーヤーという立場ながら、1試合平均でおよそ7.5得点、2.5リバウンド、1.5アシストと安定したスタッツを残しています。

特に3ポイントシュートと中距離のジャンプショットに優れ、オフボールでの動きやスクリーンの使い方も巧みなため、ボールを持っていない状況でも相手ディフェンスを引きつける存在として重宝されてきました。また、ディフェンス面でもサイズを活かして複数ポジションを守ることができる点が、NBAでも評価されていたポイントです。

Gリーグ、トルコ、中国を渡り歩いたキャリア

NBAで数シーズンを過ごした後、ドットソンはより多くの出場機会と役割を求めて、アメリカのGリーグやトルコ、中国のクラブでプレーしてきました。Gリーグではオースティン・スパーズなどに所属し、NBA復帰を目指しながらも、自身のプレーの幅を広げてきました。

その後、トルコのGaziantep BasketbolやPetkim Spor、中国の寧波ロケッツや南京モンキーキングスといったチームでプレーし、ヨーロッパとアジア、それぞれのバスケットボール文化やスタイルに順応してきた経験があります。フィジカルコンタクトが激しいリーグや、スピードとスペーシングを重視するリーグなど、異なる環境で磨かれた経験値は、Bリーグでも大きな強みとなるはずです。

NBAとアジアのバスケットを知るガード

今回の琉球ゴールデンキングスとの契約が注目される理由のひとつは、ドットソンが「NBAとアジアのバスケットボール、両方をよく知る選手」である点です。NBAでのハイレベルな個人技・フィジカル・ゲームスピードを体験してきただけでなく、中国リーグなどアジア圏でのプレー経験を通じて、日本に近いスタイルにも慣れています。

Bリーグでは、外国籍ビッグマンを中心にインサイドで優位性を作るチームが多い一方で、近年はガード・ウイングの得点力やゲームコントロールもますます重要になっています。その中で、NBAクラスのスキルとアジアでの実戦経験を併せ持つドットソンの加入は、琉球だけでなくリーグ全体にとっても大きな話題と言えるでしょう。

琉球ゴールデンキングスで期待される役割

琉球ゴールデンキングスは、これまで主にフォワードやセンターポジションに外国籍選手を配置し、インサイドの安定感と高さを武器としてきました。その一方で、ガードポジションには日本人選手を中心に据え、チームバスケットで勝負するスタイルを築いてきたクラブです。

そこに加わるドットソンには、以下のような役割が期待されます。

  • 得点源としての働き:3ポイントシュートやドライブを活かし、試合の流れを変えるスコアラーとしての役割
  • ゲームメイクのサポート:ボールハンドリングと状況判断を活かし、ポイントガード的な役割を部分的に担うこと
  • ディフェンスの強化:サイズとフィジカルを活かして、相手の主力ガードやウイングを抑える存在になること
  • 若手・日本人選手への好影響:NBAや海外リーグでの経験を共有し、チーム全体のレベルアップにつなげること

約10シーズンぶりの「ガード外国籍選手」の意味

クラブによると、琉球がガードもこなせる外国籍選手を本格的に起用するのは、約10シーズンぶりとされています。これは、チームの戦略やロスター構成において大きな変化を意味します。インサイド寄りだった外国籍選手の役割を、よりペリメーター(外側)へと広げることで、攻撃のバリエーションや守備のオプションが増えることになります。

たとえば、ドットソンがボールを持ってピック&ロールを仕掛ければ、これまでとは異なる角度からインサイドの選手を生かすことができます。また、トランジションの場面では、自ら速攻をフィニッシュするだけでなく、味方へのラストパスも期待できるため、攻撃のテンポそのものが変化するかもしれません。

チーム状況と補強のタイミング

琉球ゴールデンキングスは、2025-26シーズンのB1西地区で上位を争う中、シーズン途中で外国籍選手の入れ替えを行ってきました。フォワードやセンターの外国籍選手が退団したこともあり、新たな戦力として誰を迎えるのかが注目されていた状況です。

そのタイミングでのドットソン獲得は、単なる「空いた枠の補充」ではなく、チームのスタイルを一段階進化させるための一手と見ることができます。既存の日本人ガード陣との組み合わせにより、複数ハンドラーを同時に起用するラインナップなど、新たな戦術の可能性も広がります。

プレースタイル:オールラウンドな万能型ガード

クラブは、ドットソンについて「優れたボールハンドリング、状況判断、シュート力に加え、ディフェンスでも活躍が期待されるオールラウンド性の高い選手」と評価しています。その言葉どおり、得点だけでなく、パス、リバウンド、ディフェンスと、試合のさまざまな側面に顔を出せるタイプです。

特に、オンボールとオフボールの両方で機能する点は、チームオフェンスの構築において非常に重要です。味方がボールを持っているときにはスペーシングを取りながら外角で待ち構え、必要な場面では自らピック&ロールを仕掛けて攻撃の起点になることができます。こうした柔軟性は、Bリーグの激しい日程の中で、チームにとって大きな武器となるでしょう。

ファンへのメッセージと日本での新たな挑戦

ドットソンにとって、日本でプレーするのはこれが初めてとなります。沖縄を本拠地とし、熱狂的なブースター文化でも知られる琉球ゴールデンキングスの一員になることは、選手としても大きな挑戦であり、同時に大きな喜びでもあるはずです。

本人も、チームと沖縄のコミュニティに迎え入れられたことへの感謝を示し、「この文化とコミュニティから学び、コートでは持てる力をすべて出し切りたい」という思いをコメントで伝えています。ファンとしても、NBA経験豊富な新戦力がどのようにチームに溶け込み、どんなプレーを見せてくれるのか、期待は高まるばかりです。

今後の見どころと注目ポイント

デイミアン・ドットソンが琉球ゴールデンキングスでどのような役割を担うか、シーズンが進むにつれて少しずつ明らかになっていくでしょう。その中で、特に注目したいポイントを整理すると、次のようになります。

  • 日本のBリーグにどれだけ早く順応し、自分のリズムをつかめるか
  • 日本人ガード陣との共存・連係がどこまで高まるか
  • 終盤の接戦やプレーオフの舞台で、勝負どころのシュートやディフェンスで存在感を発揮できるか
  • 若手選手やチーム全体のメンタリティに、NBA経験者ならではの影響を与えられるか

琉球ゴールデンキングスはこれまでも、チーム一体となった堅守とハードワーク、そしてホームの熱い声援を力に数々の名勝負を繰り広げてきました。そこに新たに加わるデイミアン・ドットソンの経験とスキルがどのように融合し、チームを次のステージへと押し上げていくのか、今後の戦いから目が離せません。

参考元