外国人の日本国籍取得、居住期間「10年以上」に厳格化へ

2025年11月末から、政府が外国人の日本国籍取得(帰化)の要件を厳格化する方向で検討を進めています。特に注目されているのは、現在の「5年以上日本に住所を有すること」という居住期間の要件を、「10年以上」に引き上げる案です。この動きは、国民の「不公平感」を解消し、制度の適正化を図る狙いがあります。

現行の帰化要件とは

現在、外国人が日本国籍を取得するためには、主に「普通帰化」という手続きを経る必要があります。その主な要件は以下の通りです。

  • 引き続き5年以上日本に住所を有していること
  • 18歳以上で、法律行為が可能であること
  • 素行が善良であること(犯罪歴や重大な交通違反がないなど)
  • 独立した生計を営んでいること(安定した収入があること)
  • 日本語能力が日常生活に支障がない程度にあること
  • 日本国憲法や政府を破壊しようとする思想を持っていないこと

これらの条件を満たすことで、帰化申請が可能になります。

厳格化案の内容と背景

今回の厳格化案では、特に「居住期間」の要件が焦点となっています。現在は5年以上の住所要件ですが、これを「10年以上」に引き上げる案が検討されています。また、税金や社会保険料の納付状況など、素行や生計のチェックもより厳しくなる見込みです。

この動きの背景には、国民の間で「外国人が比較的短期間で日本国籍を取得できるのは不公平だ」という声が強まっていることが挙げられます。政府はこうした「不公平感」を解消し、制度の信頼性を高めるため、適正化を急いでいます。

永住許可との違い

日本で長く暮らしたい外国人にとって、帰化(日本国籍取得)と永住許可は代表的な選択肢です。永住許可は、日本で永続的に生活する権利を与えるもので、現在は「10年以上日本に住んでいること」が主な要件です。一方、帰化は日本国籍を取得し、日本人としての権利(選挙権や被選挙権など)を得られるものです。

今回の厳格化案では、帰化の要件が永住許可と近づく形になります。つまり、「10年以上日本に住んで、素行や生計が安定している人」が帰化できるようになるのです。これにより、帰化と永住許可の違いがより明確になると考えられます。

今後の見通しと影響

2025年12月4日時点では、国籍法そのものはまだ改正されておらず、「厳格化」は検討段階です。しかし、政府が本格的に議論を進めていることから、近い将来に法改正が行われる可能性があります。

この変更が実現すれば、帰化を希望する外国人にとっては、より長い期間の日本での生活と、より高い素行・生計の基準が求められることになります。一方で、制度の公平性や透明性が高まり、国民の信頼を得られるようになるとも期待されています。

まとめ

外国人の日本国籍取得要件の厳格化は、国民の「不公平感」を解消し、制度の適正化を図るための重要な動きです。特に居住期間の要件が「10年以上」に引き上げられる可能性があり、今後の動向に注目が集まっています。永住許可との違いも明確になり、外国人の選択肢がより多様化することが期待されます。

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