西湘・新湘南バイパス通行止めも 第20回湘南国際マラソンが映し出す「走る」と「環境配慮」のかたち

神奈川県の冬の風物詩として定着した「湘南国際マラソン」が、第20回という大きな節目を迎えます。 2025年12月7日(日)には、西湘バイパスや新湘南バイパスを舞台に約2万人規模のランナーが湘南の海沿いを駆け抜け、沿道や地域にも大きな影響を与える一日となりそうです。

一方で、この大会は単なる大規模マラソンにとどまらず、「ゴミを出さないマラソン」を掲げて環境配慮型の大会づくりを進めてきたことでも注目されています。 今年もアウトドアブランド「ザ・ノース・フェイス」がオフィシャルサポーターとして加わり、マイボトル・マイカップを軸にした新しいランニング文化の定着を後押ししています。

大会概要と開催日時

第20回湘南国際マラソンは、2025年12月7日(日)に開催され、メイン会場は神奈川県中郡大磯町の大磯プリンスホテル周辺に設けられます。 フルマラソンに加え、10kmと2kmのファンラン、1.4kmのラン&ウォークといった種目が用意され、子どもからベテランランナーまで幅広い層が参加できる構成です。

種目ごとにスタート時間や制限時間が細かく設定されており、フルマラソンは午前9時スタート、制限時間は6時間30分とされています。 この設定により、フルマラソン完走を目標にするランナーにとって現実的なチャレンジとなる一方、運営側にとっては長時間にわたる交通規制や安全管理が求められるスケジュールでもあります。

湘南の海岸線を駆けるコース

湘南国際マラソンの大きな魅力は、なんといっても湘南の海沿いを走る開放的なコースにあります。 フルマラソンは、西湘バイパス大磯西IC付近をスタートし、平塚・茅ヶ崎方面へと向かい、江の島入口付近で折り返して再び西へ、西湘二宮IC付近で再度折り返して大磯プリンスホテルにフィニッシュする往復コースです。

コース上からは、晴れていれば富士山や相模湾を見渡すことができ、冬の澄んだ空気の中で絶景を楽しみながら走れる点が人気の理由となっています。 また、西湘バイパスや国道134号といった本来は自動車専用・幹線道路となる区間を走れるのも、マラソン大会ならではの特別な体験だと言えます。

西湘・新湘南バイパスの交通規制

大会当日は、ランナーの安全を確保するために西湘バイパスや新湘南バイパスなど広範囲で交通規制が実施されます。 西湘バイパスの一部区間が通行止めとなるほか、国道134号線の海沿い区間でも車線規制や通行止めが予定されており、自動車利用者は大きな影響を受ける見込みです。

規制時間は、早い区間で朝6時頃から始まり、午後4時30分頃まで続く地点もあるなど、観光や買い物、通勤・通院などで車を使う人にとっては長時間の制限となります。 そのため、主催者や道路管理者は、事前に迂回ルートの利用や時間帯の調整、公共交通機関の活用を呼びかけており、地域住民やドライバーに対しても丁寧な周知が必要な状況です。

地域生活への影響と対応

湘南国際マラソンは地域の大きなイベントである一方で、生活道路や幹線道路を長時間使うため、周辺住民の日常生活にも少なからず影響を及ぼします。 当日は、バス路線の一時運休や経路変更、配達時間の調整など、公共交通や物流にもさまざまな変更が生じる可能性があります。

そのため、多くの自治体や主催者は、事前にチラシ配布やウェブサイトでの告知、沿線施設への説明などを行い、理解と協力を求めています。 交通規制情報を早めに共有することで、外出時間をずらす、近場は徒歩や自転車を利用するといった工夫がしやすくなり、混乱を抑えることにつながります。

「マイボトルマラソン」という取り組み

湘南国際マラソンが全国的に注目される理由の一つが、「マイボトルマラソン」として環境配慮を前面に打ち出している点です。 大会では、コース上で使い捨てカップやペットボトルを使用しない仕組みをつくり、参加者にマイボトルやマイカップの携行を促すことで、ゴミ排出量の大幅削減に取り組んできました。

この取り組みは、万人規模のマラソン大会としては世界でも先駆的だと評価されており、「走ること」と「環境を守ること」を両立させる新たな大会モデルとして、国内外から関心を集めています。 ランナーにとっては慣れが必要な面もありますが、給水所の配置や補給方法を工夫することで、安全と環境配慮の両立が図られています。

ザ・ノース・フェイスのサポート

環境配慮型大会としての取り組みを後押ししているのが、アウトドアブランド「ザ・ノース・フェイス」です。 プレスリリースによると、同ブランドは第20回大会においてもオフィシャルサポーターとして参画し、ゴミ排出量削減を継続して進める大会運営をサポートしています。

具体的には、マイボトルやマイカップ携行を想定したギアの提案や、環境意識を高める情報発信、ランナー向けのイベントなどを通じて、サステナブルなランニング文化の普及に貢献しているとされています。 こうした企業との協働により、大会全体として「環境に配慮したスポーツイベント」というブランドイメージがより強固になりつつあります。

ふたりのランナーが選んだ「サステナブルマラソン」

湘南国際マラソンを題材にした記事の中には、「自然とともに生きる二人が選んだサステナブルマラソン」という紹介もあり、環境意識の高いランナーが大会に惹かれた背景が語られています。 自然の中での暮らしやアウトドア活動を大切にする人々にとって、「走ること」が自然環境への負荷を最小限に抑えながら楽しめる大会であるかどうかは、参加を決めるうえで重要なポイントになっています。

湘南国際マラソンは、ゴミ削減やプラスチック使用抑制といった具体的な取り組みを通じて、そのような価値観を持つランナーの共感を集めており、「応援したい大会」「家族にもすすめたい大会」として選ばれている側面があります。 こうしたストーリーは、単に記録を競う場ではなく、「どんな社会を目指して走るのか」を考えるきっかけにもなっています。

参加ランナー数とエントリー動向

第20回大会には、フルマラソンやファンランなど計4種目で約2万人規模のエントリーが集まっています。 フルマラソン国内枠については、エントリー受付開始から比較的早い段階で定員に達し、申込締切前に募集を終了したことも伝えられており、その人気の高さがうかがえます。

海沿いの絶景コースに加え、環境配慮型大会への共感や、節目となる第20回という記念の年であることも、参加希望者の増加を後押ししたと見られます。 参加枠が限られる中で、早期エントリーや情報収集の重要性も年々増しており、ランニングを趣味とする人々の間では「出てみたい人気大会」の一つとして認知されています。

種目構成と参加しやすさ

湘南国際マラソンは、フルマラソンだけでなく、10km、2kmのファンランや1.4kmのラン&ウォークなど、多様な種目構成が特徴です。 これにより、本格的なランナーだけでなく、初めて大会に出る人や、親子での参加、高齢のランナーや障がいのある方など、さまざまな背景を持つ人が自分に合った距離を選んで参加できます。

特に、ファンラン2kmやラン&ウォーク1.4kmは、完走時間の目安や参加資格が緩やかに設定されており、「まずは大会の雰囲気を味わいたい」という人にもハードルが低い種目です。 地域の子どもたちにとっては、地元を走る大きな大会に参加することが「運動の楽しさ」や「環境への関心」を育むきっかけにもなっています。

料金体系とエントリーの工夫

大会の参加料金は、種目や区分ごとに異なり、フルマラソン、10km、2km、ラン&ウォークそれぞれに一般・学生・ファミリーなどの枠が設定されています。 フルマラソンの参加費は他の大規模都市マラソンと同程度の水準とされており、環境対策や大規模な交通規制、安全管理などにかかる運営コストを反映した形となっています。

一方、子ども向けの種目や親子参加枠などは、比較的参加しやすい料金に抑えられており、「家族で大会を体験してほしい」というメッセージも読み取れます。 エントリー期間は春から初秋にかけて設定され、分散した募集によって事務局の負担を軽減しつつ、多くの人に参加のチャンスを提供する工夫も見られます。

エコマラソンとしての先駆性

湘南国際マラソンは、世界の主要マラソンの中でも早い段階から「持続可能な大会運営」に取り組んできたと言われています。 特に、コース上の使い捨てカップ・ペットボトル排出ゼロを実現した事例は、国内外のマラソン関係者から高い関心を集め、他大会が環境対策を見直すきっかけにもなりました。

環境配慮を掲げるだけでなく、具体的な数値目標や運営設計に落とし込んでいる点が特徴であり、単なるイメージ戦略にとどまらない実践的な取り組みと評価できます。 ランナー側にもボトル携行などの協力が求められますが、その負担を分かち合うことで、より大きな環境負荷削減につなげているのがこの大会のユニークな点です。

ボランティアと地域の支え

約2万人規模のランナーを支えるためには、多数のボランティアの存在が欠かせません。 大会公式サイトなどでは、給水・給食、コース誘導、会場案内、荷物預かりなど、さまざまな役割を担うボランティア募集が行われており、地域の企業・団体・学校なども協力しています。

ボランティアにとっても、大会参加者と同じように「環境配慮型のイベントに関わる経験」は大きな学びとなります。 ゴミ分別やリユース資材の扱い、ランナーとのコミュニケーションを通じて、スポーツイベントが地域の学びの場、交流の場として機能している側面も見逃せません。

大会が地域にもたらすもの

交通規制による不便さがある一方で、湘南国際マラソンは観光や地域PRの面でも大きな効果をもたらしています。 ランナーや応援の人々が大会前後に地域の飲食店や宿泊施設を利用することで、オフシーズンの観光需要を喚起し、地元経済の活性化にもつながっています。

さらに、湘南の海と富士山を背景にした映像や写真がSNSやメディアで広く発信されることで、「走りに行きたい街」「自然と共生する地域」というイメージが強まり、長期的な地域ブランディングにも寄与しています。 環境配慮を前面に出した大会運営が、地域全体の価値向上にも結びついている点は注目に値します。

ランナーに求められるマナーと準備

マイボトル携行が前提となる大会では、ランナー自身にもこれまで以上に準備やマナーが求められます。 走りながらボトルを扱うことに慣れるため、事前の練習で実際に大会と同じスタイルを試しておくことが勧められています。

また、給水所周辺でのボトルの落下や転倒を防ぐため、周囲のランナーへの配慮やスピードコントロールも重要です。 環境配慮型の大会は、運営側の工夫だけでなく、参加者一人ひとりの意識と行動によって初めて成り立つものであり、湘南国際マラソンはその好例と言えるでしょう。

交通利用者へのアドバイス

大会当日に車で湘南エリアを利用する予定がある人は、事前に交通規制情報を確認しておくことが欠かせません。 早朝から午後遅くまで一部のインターチェンジや国道沿いが長時間規制されるため、ドライブや買い物の計画をずらす、鉄道やバスなど公共交通機関への切り替えを検討する必要があります。

また、大会会場周辺の駐車場やアクセス道路も混雑が予想されるため、可能であれば時間に余裕を持った行動や、オンラインでの買い物・用事の代替なども選択肢になります。 地域全体で「年に一度の大きなイベント」を支え合う意識を持つことで、不便さと同時に一体感も生まれていきます。

これからのマラソン大会のあり方

湘南国際マラソンが示しているのは、「大規模イベントであっても、環境と共存する運営は可能だ」という実例です。 使い捨てプラスチックの削減や、地域との協働、ランナーの意識変化といった要素を組み合わせることで、単なるスポーツイベントを越えた社会的な意味を持つ場になりつつあります。

今後、他のマラソン大会やスポーツイベントが湘南国際マラソンの取り組みを参考にしながら、それぞれの地域事情にあったサステナブルな運営を模索していくことが期待されます。 湘南の海を舞台にしたこの大会は、「走ること」と「未来を守ること」を両立させる試みとして、今後も大きな注目を集め続けるでしょう。

湘南国際マラソンと日常をつなぐ

大会当日の交通規制や混雑は、一見すると日常生活の妨げのようにも感じられますが、視点を変えれば「自分の暮らす街が全国から注目される日」とも言えます。 ランナーの走りを間近で応援したり、ボランティアとして参加したりすることで、地域の一員としてイベントを体験することができます。

また、マイボトルやマイバッグの利用など、大会が掲げる環境配慮の考え方を日常生活にも取り入れることで、「マラソンの日の特別な行動」を「毎日の小さな習慣」に変えていくこともできます。 湘南国際マラソンは、そんな前向きな変化のきっかけを、ランナーにも地域にも与えていると言えるでしょう。

項目 第20回湘南国際マラソンの特徴
開催日 2025年12月7日(日)開催。
会場 大磯プリンスホテルおよび西湘バイパス・国道134号沿線。
主な種目 フルマラソン、ファンラン10km、ファンラン2km、ラン&ウォーク1.4km。
参加規模 約2万人規模がエントリー。
コースの特徴 西湘バイパスと国道134号を使った海沿いの往復コース。
交通規制 西湘・新湘南バイパスや周辺道路で長時間の通行止め・車線規制を実施。
環境配慮 コース上の使い捨てカップ・ペットボトル排出ゼロを掲げる「マイボトルマラソン」。
企業サポート ザ・ノース・フェイスが環境配慮型運営をサポート。
地域への影響 観光需要の喚起と交通負担の両面をもつ大規模イベント。

参考元