神龍誠がATT正式所属を発表、UFC王者パントージャとのスパーリングが決断の転機に
総合格闘技界で注目を集める若き才能、神龍誠選手(25歳)が2025年12月3日、自身のYouTubeチャンネルを更新し、米国の名門アメリカン・トップチーム(ATT)への正式所属を明かしました。朝寝坊で髪が寝ぐせのままという気さくな雰囲気で発表された動画は、すぐさま格闘技ファンの間で話題となり、日本の総合格闘技シーンに大きな波紋を広げています。
決断を後押しした世界王者との衝撃的な出会い
神龍誠がATT所属を決断した最大の理由は、現UFC世界フライ級王者アレッシャンドリ・パントージャとのスパーリング経験でした。神龍誠は出稽古を始めたわずか1週間で、この決定的な決断を下すことになったのです。
その経緯について、神龍誠は動画内で率直に語っています。「練習でパントージャとスパーリングして一本を極められて、めっちゃ強いと思ったからです」と、世界トップレベルの選手の実力を目の当たりにした衝撃を表現しました。さらに、「世界トップと肌を触れて追いつきたいと思ったし、あとは技術練習がすごくて毎回知らない技を教えてくれました」と、パントージャの圧倒的な技術力に感銘を受けたことを明かしています。
「俺、まだ伸びしろあるな、ここにいたら強くなれると思いました」という言葉からは、神龍誠が自らの可能性を信じ、さらなる高みを目指すという強い決意が感じられます。わずか1週間でここまでの決断に至ったのは、それだけ世界王者との練習が神龍誠の人生観や戦闘哲学に大きなインパクトを与えたということなのでしょう。
朝倉海との対戦結果も背景に
実は、パントージャとのスパーリングが劇的だったのには、別の背景がありました。パントージャは朝倉海選手から一本勝ちを収めた選手であり、その勝者から極められたという経験は、神龍誠にとって一層の衝撃となったのです。朝倉海から勝利した選手がそこまで強いということは、つまり世界の頂点は自分たちが想像する以上に高い領域にあるということ。この気づきが、神龍誠をATTへと駆り立てた大きな要因の一つとなったと考えられます。
プライドを乗り越えた決断
今回の決断には、もう一つ重要な背景がありました。神龍誠は「これまでプライドが高かったんで(ATTに)行きたくなかったんだけど、僕が負けている最近の4敗はトップの壁。それを超えるには環境を変えるしかないと思った」と述べています。つまり、最近の試合での敗北が、神龍誠に冷徹な現実を突きつけたのです。
さらに重要なのは、同じくATT所属で、元RIZIN2階階王者の堀口恭司選手の存在でした。神龍誠は「堀口さんに誘ってもらった言葉が頭にあって、だったら行くしかない」と語り、信頼できる先輩からのアドバイスが最後の背中を押したことを明かしています。堀口恭司もまた、世界レベルの練習環境を求めてATTに所属した選手であり、同じ道を歩む先輩の存在は、神龍誠にとって大きな心の支えになったのでしょう。
成長と変化の兆し
注目すべきは、神龍誠の人格的な変化についても言及されていることです。これまでの神龍誠には「どこか刺々しいところ」があったとされていますが、関係者からは「今の彼は一皮むけた印象がある」と指摘されています。世界の頂点に触れることで、プロフェッショナルとしての深みや謙虚さが増してきたのかもしれません。
ただし、新しい環境への適応には課題もあります。神龍誠自身が「挨拶はかわすんですけど、まだ友だちができない」と、言葉の壁による心理的な距離感について打ち明けています。しかし、本人も笑いながら語っており、これも時間が解決してくれるという前向きな見方をしているようです。
今後の活躍への期待
神龍誠は動画の最後で、「次からはATT所属として試合をします。必ず世界一になります」と、明確な目標を掲げました。その表情は「充実感に満ちあふれているようだった」とも報じられており、真摯に戦いに向き合う若き戦士の覚悟が感じられます。
ATTへの正式所属により、神龍誠は世界的な練習環境に身を置き、毎日世界レベルのファイターたちとスパーリングをすることができるようになります。パントージャのような現役の世界王者から直接学べるという環境は、日本の総合格闘技シーンでは決して得られないものです。
一方で、日本の格闘技ファンにとっては、神龍誠の海外での活躍がこれまで以上に気になるところです。次戦はまだ決まっていないとのことですが、ATTに所属した新たな神龍誠がどのような進化を遂げるのか、多くの関係者と ファンが注視しています。
日本の若き才能の海外挑戦
神龍誠のATT入団は、日本の総合格闘技の一つの流れを象徴しています。堀口恭司をはじめとする日本の一流ファイターたちが世界で通用する力を求めて海外の練習環境に身を置く。こうした動きは、日本の格闘技界全体のレベルアップにもつながる重要なステップなのです。
神龍誠の決断は、「一瞬の恥を選んだ決断」ともいえます。世界王者に極められるという屈辱的な経験を、成長の踏み台に変えることができる若き才能。その挑戦の行方を、多くのファンが温かく見守っています。
