2025年最後の満月「コールドムーン」が12月5日に出現
2025年も残すところあと1ヶ月となりました。そんな年の瀬に、今話題になっているのが12月5日に訪れる満月「コールドムーン」です。この満月は、2025年最後にして2番目に大きく見える満月であり、さらに2026年1月まで見られない貴重なスーパームーンとなります。今年最後の夜空を彩る月の魅力をお伝えします。
コールドムーンとは?冬の寒さが由来の満月
コールドムーンとは、12月の満月に付けられた呼び名で、アメリカの先住民による農事暦に由来しています。この時期は北半球で冬の寒さが本格化し、日照時間が短くなる季節です。そうした厳しい寒さと暗闇の中で輝く満月という意味から「コールドムーン(寒月)」と呼ばれるようになりました。
北米先住民の農事暦では、月ごとにその季節特性を反映した呼び名が付けられており、英語圏でも4月は「ピンクムーン」、6月は「ストロベリームーン」など、月ごとに異なる呼び方をされています。12月の満月は、冬の厳しさと夜の長さが象徴される季節を表現した、非常に詩情的な名前なのです。
2025年最後にして2番目に大きい満月がやってくる
今年2025年のコールドムーンは、実に特別な満月です。2025年を通じて複数のスーパームーンが訪れていますが、今回の12月5日の満月は、2025年で2番目に大きく見える満月となります。そして、2026年1月までこのような大きな満月は見られないため、2025年最後のスーパームーンでもあります。
スーパームーンとは、月が地球に最も接近する近地点を通過するタイミングと、満月になる瞬間が一致するか、その間隔が近い場合に起こる現象です。今回のコールドムーンは、近地点通過の約12時間後に満月を迎えるため、通常の満月よりも約5~10%大きく、より明るく見えることが期待されています。
月が地球に接近すると、その距離は短縮されます。平均的な月と地球の距離が約38万キロであるのに対し、この時期の距離は約37万キロまで近づきます。その結果、より大きく輝く満月を私たちは眺めることができるのです。
2042年まで見られない「極端な」満月
さらに注目すべき点として、今回のコールドムーンは2042年まで訪れない最も「極端な」満月だということです。この言葉の意味は、月が地球に非常に接近した状態での満月を指しており、その頻度は限定的なものです。つまり、2025年12月5日を逃してしまうと、次にこのような特別な満月を見ることができるのは、実に17年後の2042年まで待たなければならないということになります。
このような天文学的に貴重な現象を目の当たりにできるのは、実に稀有な機会です。私たちは、この2025年という年の区切りで、このような天体ショーを観測できるという幸運に恵まれているのです。
満月のピークタイムは12月5日午前8時14分
コールドムーンの満月のピークは、12月5日(金)午前8時14分(日本時間)です。ただし、満月は一瞬のピークを迎えるだけではなく、その前後数日間にわたって満月のように見えます。特に12月3日から5日にかけては、肉眼では満月とほぼ変わらない状態で月を観測することができるでしょう。
満月の瞬間「望」の時刻の詳細としては、日本時間5日午後10時19分という情報もあり、観測地点によって若干の時間差が生じる可能性があります。正確な時刻は、ご自身の居住地域の天文情報で確認することをお勧めします。
観測に最適な時間帯は4日の夜と5日の夕暮れ
コールドムーンを最も美しく観測できる時間帯は、12月4日の夜と12月5日の夕暮れ時です。特に4日の日没直後が最も見ごろとなります。この時間帯では、沈む夕日と入れ替わるように、東の地平線に月が顔を出す光景が見られます。このタイミングでの観測は、月が地平線に近い位置にあるため、通常よりも大きく見える「地平線効果」も加わり、さらに迫力のある満月を楽しむことができるのです。
12月4日の月の出時刻は、東京で午後3時27分、大阪で午後3時48分です。この時刻以降、月が東の地平線上に現れ始めます。日没後、空が暗くなるにつれて、より鮮やかに月の輝きが際立つようになるでしょう。
気象条件が良く、観測のチャンスが広がっている
12月4日から5日にかけての天気予報によると、太平洋側を中心に晴れる地域が多くなると予報されています。北海道の南西部や北部、東北、北陸、山陰地域では雲に覆われ、所々で雪や雨が降る予想ですが、北海道の東部はおおむね晴れる見込みです。
関東や東海、近畿、山陽、四国地域は晴れて月を見られる所が多くなりそうです。九州も太平洋側を中心に晴れる所が多く、沖縄もおおむね晴れて、お月見に良い条件が整っています。全国的には観測のチャンスが広がっており、天候に恵まれた環境が期待できるでしょう。
空気が澄んでいるため月のディテールが鮮明に見える
冬の季節は、大気が澄んでいるという大きなメリットがあります。夜間気温が低く、空気中の水分が減少するため、月のクレーターなどのディテールが非常に鮮明に見えます。寒さは厳しいものの、その寒さによって実現する透明度の高い夜空は、月の表面を克明に観察するのに最適な条件となるのです。
肉眼での観測でも月の表面の起伏や陰影がはっきりと見えますし、双眼鏡や望遠鏡があれば、さらに詳細な月面の構造を楽しむことができるでしょう。
寒さ対策を万全にして観測を楽しもう
コールドムーンを観測する際には、何よりも寒さ対策が重要です。12月の夜間は気温が大きく低下し、冷え込みが強まります。厚手のコートや暖かいセーター、手袋、帽子などを着用し、防寒対策をしっかりと施してから観測に臨むことをお勧めします。
また、長時間空を見上げることで首や肩が冷えやすくなるため、タートルネックやマフラーの使用も効果的です。さらに、寒冷地では足元からの冷えが全身に波及するため、温かいブーツや厚手の靴下の着用も忘れずに。適切な防寒対策があれば、心行くまで美しい月を楽しむことができるでしょう。
12月の夜空には他の天体ショーも期待できる
12月5日のコールドムーン観測の際には、月以外の天体にも注目してみましょう。満月の近くには木星が明るく輝いており、月と木星の共演を楽しむことができます。さらに、12月19日には太陽系外から飛来した恒星間天体「3I/ATLAS彗星」が地球に最接近し、望遠鏡を用いれば確認できる可能性があるとのことです。
12月の夜空は、一年の終わりを告げる舞台装置として、多くの天体ショーで彩られているのです。コールドムーンの観測を通じて、冬の夜空の美しさを存分に堪能してください。
次のコールドムーンは2026年12月24日
なお、次の「コールドムーン」は2026年12月24日に訪れます。クリスマスイブの日に訪れる満月ということで、また異なる趣きがあるでしょう。ただし、2025年12月5日のコールドムーンのような「極端な」満月は、2042年まで見ることができません。
今年最後の天体ショーを、ぜひ存分にお楽しみください。



