懐かしの「SL銀河」機関車が復活!JR東日本が新観光列車の運行構想を発表

JR東日本は2025年12月3日、蒸気機関車C58形を活用した新たな観光列車の運行について、2029年春以降の運行開始を目指して検討を開始すると発表しました。この新しい観光列車は、かつて岩手県内で多くの観光客に愛された「SL銀河」で活躍した機関車が、再び東北の線路を走ることになります。

懐かしい機関車が新たな役割へ

今回の構想に使用される予定のC58形蒸気機関車239号機は、1940年6月に製造された歴史ある機関車です。製造後、27年間にわたって宮古機関区を中心とした岩手県の山田線や釜石線などで活躍し、地域の交通を支えてきました。

その後、盛岡市の岩手県営運動公園内にある交通公園で静態保存された後、東北地方の復興支援と地域の活性化を目的としたSL復元を経て、2014年に観光列車「SL銀河」として新たな人生をスタートさせました。「SL銀河」は釜石線の花巻~釜石間で土日を中心に運行され、多くの観光客に愛されていましたが、旅客車の老朽化に伴い、2023年6月をもって運行を終了していました。今回の新観光列車構想により、この愛される機関車が再び観光客を乗せて走ることになるのです。

北東北の魅力を世界へ発信

新しい観光列車は、東北本線の盛岡駅から一ノ関駅までの区間での運行が予定されています。この区間は、ユネスコ世界遺産に登録されている平泉を始め、沿線に北東北を代表する観光地が数多く点在しており、地域の観光資源をつなぐ最適なルートとなります。

JR東日本は、この新観光列車を通じて、国内外の利用者に対して北東北ならではの魅力を体験できる旅を提供することを目指しています。また、地域の観光資源のさらなる活性化と、東北地方へのインバウンド誘致を目指すとしており、地域経済の活性化における重要な役割を期待しています。

既存車両の改造で新しい客車を実現

新たな観光列車の客車については、既存車両を改造することが予定されています。JR東日本では、現在、沿線自治体や観光関係団体と連携しながら、客車の仕様、運行体制、サービス内容などの詳細について検討を進めているとのことです。

既存車両の改造を選択することで、新規製造よりもコストを抑えつつ、「北東北ならではの魅力を体験できる列車づくり」を実現しようとしています。今後、沿線自治体や観光関係団体との協議を通じて、より詳細な計画が明らかになっていくものと予想されます。

2029年春以降、新たな旅が始まる

この新観光列車は、臨時列車として2029年春以降の運行開始が予定されています。約4年後のスタートに向けて、現在、関係機関との協議と詳細な検討が行われているところです。

C58形蒸気機関車239号機は、既に北東北での運行経験を持つ機関車です。「SL銀河」での運行で培った実績と信頼性を背景に、新たな観光列車でも多くの観光客に安全で快適な旅を提供することが期待されています。

地域活性化への期待

東北地方は、東日本大震災からの復興が進む中で、観光を通じた地域活性化が重要な課題となっています。JR東日本のこのような取り組みは、単なる観光サービスの提供にとどまらず、地域経済の活性化、雇用創出、そして東北地方全体の認知度向上に貢献するものと考えられます。

蒸気機関車という歴史的資産を活用することで、懐かしさと新しさを兼ね備えた、ユニークな観光体験が実現されます。多くの観光客が、この新観光列車に乗車して、北東北の自然、文化、歴史を体験することで、地域全体への関心が高まることが期待されています。

今後の展開に注目

JR東日本では、今後、沿線自治体や観光関係団体と密接に連携しながら、この新観光列車構想を具体化していく予定です。客車の改造内容、サービス内容、運行ダイヤなど、様々な詳細が今後発表されていくものと予想されます。

懐かしの蒸気機関車C58形239号機が、新たな時代の観光列車として、盛岡から一ノ関へと走る日が来るのが、今から待ち遠しい限りです。2029年春以降、多くの観光客が、この特別な列車に乗車して、北東北の魅力を発見することになるでしょう。

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