リバプールの遠藤航、出場機会激減でキャリア危機に直面
イングランド・プレミアリーグの強豪リバプールに所属する日本代表キャプテン・遠藤航の立場が、ますます厳しくなっている。現地メディアの報道によれば、今シーズン開始から約2ヶ月の間、プレミアリーグでの公式戦出場がわずか36分に留まっており、アルネ・スロット監督の構想から外れた状態が続いているという。
深刻な出場機会不足の現状
遠藤航の2025-26シーズンの状況は極めて深刻だ。公式戦全体では7試合に出場しているものの、最も重要なプレミアリーグでの実戦時間はわずか36分程度。8月以来、ほぼ短時間の出場しかできていないという状態が続いている。
特に注目されるのは、リバプールが試合で優位に立っている場面においても、遠藤が起用されないという点だ。先日のウェストハム・ユナイテッド戦では、試合開始60分に先制してから90分1秒まで1-0の逃げ切り展開が続いたにもかかわらず、守備の安定化に定評のある遠藤の出番は訪れなかった。通常であれば、こうした試合では経験豊富な選手の投入が検討されるが、スロット監督はこれを見送った。
このような状況に対して、リバプールのサポーターからは疑問の声が上がっている。特にプレミアリーグでは直近7試合で1勝しか挙げられず、中盤の守備に深刻な問題を抱えるチームの現状と、遠藤の起用制限が対比されることで、監督の采配を疑問視する意見も増えているのだ。
スロット監督による構想外の扱い
アルネ・スロット監督は、昨シーズンからリバプールの指揮を執っているが、その就任後から遠藤の出場機会は劇的に減少した。昨シーズンを通じて32試合に出場していた遠藤だが、今シーズンはスロット監督の戦術システムの中で、必ずしも欠かせない選手とは見なされていないようだ。
監督は、遠藤の起用制限について「以前に使った時には批判された」とコメントしており、既に使用した際の評価が良くなかったことを示唆している。しかし、現在のチームが中盤の安定性に苦しむ中での、この判断は多くのサポーターや専門家に理解されていない状況となっている。
さらに困ったことに、スロット監督はクリスタル・パレスFC戦での敗北以降、控え組の起用を最小限に抑えるという保守的な方針を取り続けている。一方で主力選手たちのコンディションが上向かないという悪循環が発生しており、チーム全体のパフォーマンスが低下している。
新たな中盤補強がさらに状況を悪化させる可能性
遠藤の苦境をさらに深刻にする可能性があるのが、リバプール経営陣による新たな中盤強化の動きだ。複数の現地メディア報道によれば、クラブはセリエAのアタランタに所属するブラジル人ミッドフィルダー・エデルソンの獲得に強い関心を示しているという。
エデルソンの推定移籍金は3000万ユーロから4000万ユーロ(日本円で約54億円から72億円)とされており、大型補強ではなく「狙いすました選手層の強化」というリバプール経営陣の方針に合致する額だ。リバプール専門サイト『Anfield Index』は、このブラジル人選手の獲得に好意的な見解を示している。
エデルソンが持つエネルギー、ボール運びの能力、インテンシティといった特徴は、リバプールが昨シーズンにタイトルを獲得する際に見せたベストパフォーマンスと相似しているという分析がなされている。この新たな補強が実現した場合、遠藤の中盤でのポジション争いはさらに激化することが確実だ。
リバプール専門家は「ハービー・エリオットとジェームスマコーネルが1月に今後を再評価すると見られ、エンドウがキャリアの終盤へと向かっていく中で、ヨーロッパでの実績がある中期的な解決策はますます論理的になると思われる」とコメントしており、遠藤のさらなる立場悪化を示唆している。
2026年ワールドカップを前にした葛藤
遠藤航の進退を巡る判断をさらに難しくしているのが、2026年に控える次期FIFAワールドカップの存在だ。遠藤は日本代表のキャプテンであり、来年のワールドカップに向けた準備期間は、キャリアにおいて極めて重要な時期となる。
リバプールとの契約は2027年6月まで残っているが、現在の状況を考慮すると、1月の冬季移籍市場での退団を選択することも一つの選択肢として浮上している。ただし、ワールドカップに向けて出場機会を確保する必要があるという観点と、リバプールでのレギュラー獲得を目指すという2つの目標のバランスを取ることは、簡単ではない。
地元メディアが指摘する「キャリアの終わり」
英国のメディア『Football Channel』は、遠藤の現在の状況について「遠藤のリバプールでの時間は終わりに近づいている」と厳しく評価している。記事では「今シーズン開幕前にはクラブに残る意志を示していたが、昨シーズン以上に出場機会が限られる中で、2026年には出場機会を求めて移籍を考える時が訪れるかもしれない」との見解を示している。
このメディア評価が示す通り、遠藤の次の決断は単なるクラブ選択ではなく、キャリアの重要な分岐点となる可能性が高い。30代に差し掛かりつつある遠藤にとって、限られた時間の中で、どのようにキャリアを形成していくかは、極めて重要な問題なのだ。
サポーターからの声
リバプールのサポーターコミュニティからは、遠藤の起用見送りに対する疑問の声が相次いでいる。プレミアリーグで直近7試合で1勝という成績、直近3試合で10失点を喫するという守備面での劇的な悪化を目の当たりにする中で、「なぜ経験豊富な遠藤を起用しないのか」という素朴な疑問が浮かぶのは自然なことだろう。
スロット監督のチームには、ライアン・フラーフェンベルフやカーティス・ジョーンズといった若い才能がいる一方で、怪我や疲労に苦しむ選手も少なくない。こうした状況下において、信頼できるベテラン選手の活用がチームの安定に大きな影響を与える可能性があると、多くのサポーターが感じているのだ。
今後の展開と注目点
遠藤航の今後を左右する重要なポイントとなるのが、1月の冬季移籍市場である。リバプール経営陣がエデルソンら新たな中盤補強に動く可能性が高い中で、遠藤は移籍を選択するのか、それとも現在のクラブでの巻き返しを狙うのか、という決断を迫られることになるだろう。
また、スロット監督の去就もチームの今後を左右する要因となる。公式戦3連敗、プレミアリーグでの低迷が続く中で、監督の指揮下でのチーム立て直しが困難と判断されれば、新たな指導者の下で遠藤の使用方法が変わる可能性もある。
いずれにせよ、日本代表キャプテンの遠藤航が、このリバプールでの困難な状況からいかに抜け出すのか、その動向から目が離せない状況が続いている。2026年ワールドカップという大舞台に向けて、遠藤がどのような道を選択するのか、今後の報道動向が大きな注目を集めているのだ。




