NHK夜ドラ『ひらやすみ』、最終回を前に岡山天音が語る「特別な時間」の意味
NHK総合で放送されている夜ドラ『ひらやすみ』が、12月4日(木)についに最終回を迎えます。主演の岡山天音さんは、このドラマで過ごした時間が「自分にとってもすごく特別」であり、視聴者にとっても「一日の最後に見ていただくにはすごくぴったり」だとコメントしています。最終回を控えた今、このドラマが視聴者と制作陣にもたらした意味について改めて注目が集まっています。
ドラマが持つ「日々の輝き」を届ける使命
岡山天音さんは、『ひらやすみ』について「<日々の輝き><世界のきらめき>のようなもののありかを教えてくれるドラマ」だと語っています。このドラマは、29歳のフリーター・生田ヒロト(岡山天音さん)が、近所のばーちゃん・和田はなえ(根岸季衣さん)から譲り受けた一戸建ての平屋で、山形から上京してきた18歳のいとこの小林なつみ(森七菜さん)と2人暮らしを始めるところからスタートします。ふたりの周りには、生きづらい悩みを抱えた人々が集まってくるというストーリーです。
このような設定の中で描かれるのは、日常の中に隠れた小さな輝きや希望です。岡山さんのコメントから読み取れるのは、毎晩10時45分から15分間という短い時間の中で、視聴者が一日の疲れを癒しながら、人生に大切なことを学べるドラマとしての価値です。
キャスト陣の想い・アイデアが作品をより良くした
『ひらやすみ』の制作を担当するプロデューサーの大塚安希さんが明かしたところによると、このドラマはキャスト陣の熱心な取り組みとアイデアによって、「よりリアルなものに」進化してきたとのことです。
岡山天音さんの姿勢について、大塚プロデューサーは敬意を払っています。ばーちゃんの家に来るシーンや、過去のヒロトが住んでいたアパートに帰ってくるシーンなど、公道ではない場所での撮影において、わずか5秒にも満たないバイク走りのシーンのために、岡山さんは役への想いから代役を使わずに自分自身でヒロトを演じ続けたというのです。全話分を合計しても15秒程度のシーンに対する真摯な姿勢が、作品全体に深みをもたらしています。
根岸季衣さん(ばーちゃん役)についても、大塚プロデューサーは「敬意の念しかありません」とコメントしています。根岸さんは実年齢より10歳以上上の役を演じるにあたり、実際には姿勢が良いにもかかわらず、撮影中ずっと腰を曲げていたとのこと。さらに、メイクやビジュアルの細部にこだわり、「シミとか作ろう」といった肌質に関しての提案もしてくださったそうです。このような提案によって、制作陣が想像していた以上に魅力的なばーちゃんが誕生しました。
吉岡里帆さん(立花よもぎ役)のアイデアも作品に組み込まれています。第10回のお祭り回では、よもぎさん視点で考えてくださったセリフがそのままドラマに反映されています。ヒロトとよもぎの距離が近づくシーンでは、普通の「ヤンニョムチキン」に「メガ盛り山分けチーズのせ」という絶妙なディテールが加わることで、キャラクターの奥行きと二人の関係性がより深まったのです。
原作との関係性と最終週への期待
『ひらやすみ』は、「週刊ビッグコミック」で連載されている人気漫画を映像化したものです。原作は、2023年に「手塚治虫文化賞」マンガ大賞にノミネートされ、2024年にはイタリアで開催された「ルッカコミックス&ゲームズ」で最優秀連載コミック賞を受賞するなど、国内外で高く評価されています。
台本作りをしていた時点で、原作の単行本は既に7巻まで出版されており、連載も進行中だったそうです。15分×20話というドラマの枠の中で、これだけのボリュームと深さを持つ原作を表現することは、制作陣にとって非常に難しい挑戦だったのです。
最終週を控えた大塚プロデューサーは、「『白い紫陽花』のお話については、ぜひ入れたいと思っており、満を持して放送となります。大切なエピソードなので、放送まで私も緊張しますが、どうかご覧いただけたら幸いです」とメッセージを送っています。このコメントから、制作陣がこのドラマにいかに真摯に向き合い、視聴者の期待に応えようとしているかが伝わってきます。
12月3日放送の第19回の見どころ
現在放送されている第19回(12月3日放送)では、ストーリーは新たな展開を迎えます。ヒロトとなつみが、はなえの仏壇を掃除していたときに、ヒロトはかつてはなえに「友達」と言われたことを思い出すシーンが描かれます。一方、吉村界人さん演じるヒデキは、相変わらず子育てと仕事に追われています。
第19回の重要な場面では、ヒデキが三村和敬さん演じる鬼龍院にいつにも増して強く責められ、会社帰りあてもなくふらふらと歩いているという展開があります。意気消沈のヒデキが向かった先は、おそらくヒロトが暮らす平屋でしょう。このシーンは、ドラマのテーマである「生きづらい悩みを抱えた人々が集まってくる」という設定を象徴するものとなっています。
終わりに向けて~視聴者へのメッセージ
岡山天音さんが「一日の最後に見ていただくにはすごくぴったり」とアピールしたこの作品は、12月4日の最終回で一つの区切りを迎えます。しかし、キャスト陣と制作陣の全力の想いが込められた『ひらやすみ』は、放送終了後も視聴者の心の中に「日々の輝き」と「世界のきらめき」を照らし続けるでしょう。
毎晩10時45分からのわずか15分間という短い時間で、これほどまでの感動と学びをもたらすドラマは珍しいです。キャスト陣が原作への敬意を持ちながら、自分たちのアイデアと工夫を加えることで生まれた『ひらやすみ』は、真の意味で「特別な時間」となっているのです。最終回まであと1日。多くの視聴者が、ヒロトとなつみ、そしてばーちゃんたちの最後の物語に注目しています。



