エージェンシーアシスト、ホーチミンに新たなICT開発拠点を開設
創業35周年を機に、ベトナムでの事業展開を強化
加工部品専門商社として知られる株式会社エージェンシーアシスト(本社:京都府久世郡)は、2025年10月1日より、ベトナムのホーチミン市に新たなICT開発拠点「HCMC ICT Branch」の本格稼働を開始しました。このたびの拠点開設は、創業35周年を迎える2025年12月のタイミングと相まって、同社がアジアでのビジネス展開をさらに加速させる重要なステップとなっています。
開発リソース拡充と体制強化が狙い
今回のICT開発拠点開設の背景には、近年の社内外ニーズの多様化があります。製造業界においては、デジタル変革(DX)への対応が急速に進んでおり、システム開発においてもこれまで以上にスピードと柔軟な対応力が求められるようになってきました。エージェンシーアシストでは、かねてから製造業界でいち早くICT戦略チームを本社に設け、各事業領域における業務効率化とサービス品質の向上を目指してきました。しかし、ニーズの急速な変化に対応するため、開発リソースの拡充と体制強化が必要と判断し、ホーチミンへの新拠点開設に至ったのです。
グループ会社であるAgency Assist Vietnam Co., Ltd.(本社:タイニン省、CEO:佐藤崇広)が運営する今回の拠点は、タイニン省に既存の本社を持つ同社の機能を補完する形で設立されました。拠点所在地は、ホーチミン市のNo.9 D2 Road, Saigon Pearl内に位置し、近代的なオフィス環境を備えています。
日本とベトナムの連携による迅速な開発体制を構築
HCMC ICT Branchでは、社内向けシステムの開発・改善を中心に、日本とベトナムが連携したスピーディーな開発体制を構築していく方針です。これにより、地理的な距離を活かしながらも、24時間体制に近い継続的な開発作業が可能になります。日本の本社で策定された開発方針をベトナムの拠点で実行し、その結果を日本にフィードバックするという一連のサイクルを通じて、より効率的で質の高いシステム開発が実現されると期待されています。
特に、社内で培われた技術やシステム基盤を最大限に活かしながら、柔軟な対応が可能な拠点として位置づけられています。これまでの同社の経験とノウハウが、ベトナムの優秀なITエンジニアとの融合により、さらなる付加価値を生み出すことが見込まれています。
将来的な外販事業にも期待
興味深いことに、エージェンシーアシストは、このICT開発拠点を単なる社内向けシステムの開発施設に留めるつもりはありません。将来的には外販も視野に入れたプロダクト開発にも取り組めるよう、柔軟に発展させていける拠点として活用していく方針を掲げています。つまり、ホーチミン拠点で開発したシステムやソリューションを、社外の企業にも提供することを検討しているということです。
これは、同社の事業ポートフォリオの拡張を意味します。従来の加工部品調達サービス、マシナリーサービス(機械装置や専用治具の開発・設計・製作)、計測サービス(加工部品・開発品の精密寸法測定)に加えて、ソフトウェアやITソリューション分野への進出を視野に入れているのです。
グローバル展開を強化する背景
株式会社エージェンシーアシストは、1990年の創業以来、加工部品専門商社のパイオニアとして、加工から検査まで一貫した独自の「加工部品調達サービス」を提供してきました。2025年12月に創業35周年を迎える同社は、長年にわたって日本のものづくり業界を支えてきた信頼できるパートナーとしての地位を確立しています。
今回のホーチミンへのICT開発拠点開設は、こうした実績と信頼の上に立って、さらなるグローバル展開を図るという戦略的な判断によるものです。ベトナムはアジアにおけるIT人材の宝庫であり、製造業の拠点としても注目されている国です。ホーチミンは特に、南ベトナム最大の経済・商業都市として、多くの企業がビジネスの中心地としている場所です。エージェンシーアシストが同地を選んだ理由も、こうした地理的・経済的な優位性にあると考えられます。
ものづくり業界の新たなパートナーとして
エージェンシーアシストは、常に「ものづくり業界における頼れるパートナー」を目指してきました。今回のICT開発拠点開設は、この理念を実現するための一つの重要な施策です。デジタル化が急速に進む現代において、単なる物質的な部品やサービスの提供だけでは十分ではありません。システムやソフトウェア、データ分析など、無形資産としての価値提供も重要になってきています。
ホーチミンのHCMC ICT Branchは、こうした新しいニーズに対応するための前線基地となります。日本の本社で蓄積された経営ノウハウとベトナムの優秀なIT人材の融合により、ものづくり業界に新たな価値をもたらすサービスの開発が期待されています。
今後の展開への期待
2025年10月1日から本格稼働を開始したHCMC ICT Branchは、現在、社内向けシステムの開発・改善に注力しています。しかし、同社の掲げる方針からすれば、これは第一段階に過ぎません。今後、このベトナムの拠点から、ものづくり業界全体に貢献できるような新しいITソリューションやプロダクトが生まれてくる可能性は十分にあります。
創業35周年を迎えた株式会社エージェンシーアシストの、次の35年へ向けた一つの重要な選択肢となるであろう、このホーチミンのICT開発拠点。同社のグローバル展開戦略と、日本のものづくり業界の進化を見つめる上で、今後の動向に注目が集まります。


