オリスとバンフォード、宇宙をテーマにした革新的な時計「ミッションコントロール」を発表
スイスの腕時計メーカーオリスと、ロンドンを拠点とする時計デザイナージョージ・バンフォードがタッグを組み、航空愛好家とメカニック時計ファンを魅了する新作を発表しました。その名も「ProPilot Altimeter Mission Control」(プロパイロット アルティメーター ミッションコントロール)です。このコラボレーションは、機械式時計の歴史において極めて重要な意味を持つ一本となることが確実視されています。
革新的な素材で実現した軽量性と耐久性
この時計の最大の特徴は、その革新的なカーボンファイバーコンポジット素材の採用にあります。スイスの航空宇宙企業9T Labsとの協力により開発された単一体のカーボンファイバーケースは、プラスチックのように軽量でありながら、多くの金属よりも強度に優れています。ケースのサイズは直径47mm、厚さ16.7mmという堂々たる寸法ですが、驚くべきことにその重量はわずか98グラムです。
ケース全体は独特の層状パターンを持ち、同じものは二つと存在しません。このデザイン的な特性により、所有者にとって本当に唯一無二の時計となるのです。さらに、チタンの表面に灰色のPVDコーティングを施したベゼルとケースバックが装備されており、耐久性と軽量性のバランスが完璧に取られています。防水性能は100メートル(10気圧)に設定されており、日常的な使用はもちろん、パイロットの職業用時計としても信頼性を確保しています。
世界初の自動巻き機械式高度計搭載時計
この時計が世界的に注目される理由は、世界で唯一の自動巻き機械式高度計を搭載したスイス製時計だからです。電池も電子センサーも使わず、純粋な機械式エンジニアリングで高度測定が可能になっています。
搭載されるムーブメントはオリス キャリバー793で、セリタのSW300をベースに開発されました。このムーブメントは、時間、分、秒の中央配置の針、3時位置のクイックセット式日付表示、そして56時間のパワーリザーブを提供します。秒針の停止機能も備えており、精密な時刻合わせが可能です。
高度計機能は4時位置のクラウンで操作します。クラウンを回して第一段階まで引き出すと、赤いリングが表示され、高度計がアクティブになります。さらに第二段階まで引き出すと、ディスプレイを回転させて現在の高度を表示できます。この高度計は19,700フィート(約6,000メートル)までの高度を測定でき、リアルタイムで高度変化を追跡します。赤いマーカーは高度を、黄色いマーカーは絶対気圧を示す革新的なデザインとなっています。
興味深いのは、オリスの特許技術であるツインダイアル構造により、高度計モジュールが時間計測ムーブメントから完全に分離されていることです。これにより、ローターが気圧測定に影響を与えることがなく、精度の高い測定が実現されています。
バンフォードが施した80年代インスパイアの大胆なデザイン
バンフォードは、オリスのクラシカルなパイロットウォッチのDNAに、独特の美学を融合させました。ダイアルはマットブラックをベースに、イエロー、ライムグリーン、レッドの大胆なポップなアクセントが施されています。これは1980年代のスニーカーデザインへの巧妙なオマージュであり、宇宙テーマの配色により、時計全体が宇宙ミッションの雰囲気を醸し出しています。
ダイアルの周囲には高度スケールが0から19,700フィートまで拡張され、イエローの手が高度を、赤いマーカーが絶対気圧を追跡します。インデックス、数字、そして手はすべてスーパールミノバで印刷されており、暗い環境での視認性も高く保たれています。ダブルドーム型のサファイアクリスタルには反射防止コーティングが施されており、あらゆる光の下で優れた視認性を提供します。
ストラップは黒いテキスタイル素材に、ライムグリーンのレザーライニングが施されており、チタン製の折り畳みクラスプで装着されます。細かい調整機能も搭載されており、快適なフィット感が実現されています。
限定250本の稀少性と価格
この時計は世界中でたった250本の番号付き限定エディションとして製造されます。スイスの時計製造における高度な技術と、バンフォードの大胆なデザイン哲学の融合により、これはコレクター必須のグレール的存在となることが確実です。
小売価格はCHF 6,700(スイスフラン)、USD 8,100(米ドル)、AUD 12,800(オーストラリアドル)に設定されています。宇宙旅行と同等の価格という表現も、この時計の稀少性と技術的価値を反映したものといえるでしょう。
パイロット、登山家、メカニック時計愛好家の心をつかむ一本
このミッションコントロールは、パイロット、登山家、そして単純に機械式ウォッチメイキングの革新を愛する人々にとって、極めて魅力的なタイムピースとなっています。98グラムの軽量性により、長時間の装着でも疲労感がなく、その機械的な複雑さは純粋な職人技の証です。
バンフォードの80年代フレアがオリスのツール・ウォッチのDNAに生命を吹き込み、機械式高度計という市場に他に類を見ない機能セットが、この時計を本当に特別な存在にしています。冒険心とデザイン、そしてイノベーションが完璧に融合した「時計界のマイクドロップ」として、この一本はウォッチコレクター界に新しい標準を打ち立てることになるでしょう。
発表と今後の展開
このコラボレーションは、オリスとジョージ・バンフォードの間の予期しない組み合わせとして、ウォッチコミュニティで大きな話題となっています。オリスの信頼できるスイス製造技術とバンフォードの独創的なデザイン哲学が出会うことで、単なる時計以上の意味を持つアイコンが誕生しました。
2025年9月の発売が予定されている本ミッションコントロールは、冒険好きなパイロットから、最新鋭の時計技術に興味を持つエンスージアスト、そして純粋に美しいデザインを愛する人々まで、幅広い層の心を掴むことは間違いありません。250本という限定数と、その革新的な技術が融合した際には、入手がかなり困難になることが予想されます。



