小田急電鉄の「赤い1000形車両」が約3年ぶりに復活

小田急電鉄は2025年11月27日(木)から、箱根登山線の小田原駅~箱根湯本駅間で、通勤車両1000形に「バーミリオンはこね」のカラーリングを施した「赤い1000形車両」の運行を開始しました。この復活は、2009年から2022年まで運行していた赤い1000形車両以来、実に約3年ぶりとなります。

今回のカラーリング変更は、箱根への旅情をより一層楽しめるようにという狙いで実施されています。箱根湯本駅より先の山岳区間を走る箱根登山電車3000形「アレグラ号」と同じ「バーミリオンはこね」という鮮やかな赤色を採用することで、小田原からの移動時間も含めて箱根気分を高めてもらおうという工夫です。

「バーミリオンはこね」とは?新しい車体カラーの特徴

新しく採用された「バーミリオンはこね」は、鮮やかで目立つ赤色が特徴です。この色は単なる赤ではなく、アクセントとして白や黒も配されており、引き締まったイメージを与えています。通常の1000形では車体側面の「odakyu」ロゴが白い文字ですが、赤い1000形では青い文字に変更されており、全体的に統一感のあるデザインとなっています。

この色選びには、箱根登山電車3000形「アレグラ号」との統一という意図があります。これにより、小田原から箱根湯本、そして先の山岳区間へと進むにつれて、同じカラーリングの列車に乗り継ぐ体験ができるようになり、旅の一体感がより高まります。

車内の工夫も見逃せない:「あかいでんしゃフォトギャラリー」

新しい赤い1000形車両の魅力は、外観だけにとどまりません。車内にも工夫が凝らされており、窓の上のスペースに「あかいでんしゃフォトギャラリー」が実装されています。これは、観光情報サイト「箱根ナビ」のInstagramで発信された箱根の魅力を、ポスターに再編集したものです。

四季折々の箱根の風景写真が展示されているこのギャラリーにより、乗客は車窓風景だけでなく、箱根の様々な季節の美しさを車内で体験することができます。これは観光列車ならではの配慮であり、通勤列車を観光資源として再活用する小田急電鉄の創意工夫が伝わってきます。

段階的なカラーリング変更:2026年3月までに全編成が赤に統一

今回の運行開始は、あくまでの始まりに過ぎません。小田急電鉄は、箱根登山線で運行する1000形全編成を段階的に「赤い1000形車両」へと変更していく計画です。

まずは2025年11月27日(木)に、1066編成(1066×4)が運行を開始しました。その後、さらに3編成(1063編成、1064編成、1065編成)のカラーリング変更が順次実施され、2026年3月上旬までには、小田原~箱根湯本間の普通列車すべてが赤い1000形車両での運転となる予定です。

この段階的なアプローチにより、工事期間中も常に赤い車両が箱根登山線を走行することになり、観光客にとって新鮮で話題性のある運行が続くことになります。

実際に乗客を乗せた運行も開始

11月26日(水)夜には小田急線内での整備・点検運転が行われた後、11月27日(木)から正式に箱根登山線での営業運転がスタートしました。既に実際に乗車した利用者からは、新しいカラーリングと車内のフォトギャラリーが好評を博しており、SNSなどでも話題となっています。

11月30日(日)には、実際に1066編成に乗車した乗客の記録も残されており、列車は小田原から箱根湯本までの区間を各駅停車で運行し、箱根を訪れた多くの観光客が利用していたことが確認されています。

小田急電鉄の観光施策としての意義

この「赤い1000形車両」の復活と全編成への拡大は、単なるカラーリング変更ではなく、小田急電鉄の観光施策として重要な位置付けられています。箱根は東京からのアクセスが良く、多くの観光客が訪れる人気のスポットです。小田急線はこの箱根への重要なアクセス手段として機能しており、その移動過程そのものを観光体験の一部にしようという戦略が見て取れます。

「バーミリオンはこね」という統一カラーにより、小田原駅から箱根湯本駅、そしてその先の山岳区間へと進む際の視覚的な一体感が生まれます。これにより、観光客の旅への期待感がより高まり、小田急線の利用促進にもつながることが期待されています。

まとめ:箱根観光の新しい顔として

小田急電鉄の「赤い1000形車両」の復活と全編成への段階的な変更は、2025年から2026年にかけての箱根観光の大きなトピックになると予想されます。約3年ぶりの復活となる赤い車両は、新しい「バーミリオンはこね」カラーと車内のフォトギャラリーという工夫により、より魅力的な観光体験を提供するようになりました。

2026年3月上旬には、小田原~箱根湯本間を走るすべての普通列車が赤い1000形車両となります。このとき、箱根登山線は統一された赤色で彩られ、まさに「赤い電車の通路」として、箱根観光の象徴的な存在になることでしょう。これからも、この赤い電車に乗る多くの観光客が、素敵な箱根の思い出を作っていくことになります。

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