スペイン産豚肉輸入停止で生ハム不足の危機 アフリカ豚熱発生で国内供給に波紋
スペインの野生イノシシでアフリカ豚熱が確認されたことを受け、日本の農林水産省は2025年11月28日からスペイン産の豚肉や生ハムなど豚肉由来製品の輸入を一時停止しました。この決定により、日本国内の豚肉需給に大きな影響が出ることが懸念されています。
輸入停止の影響の大きさ
スペイン産豚肉の輸入が占める割合は非常に大きいものです。鈴木農林水産大臣は、スペイン産豚肉が日本全体の豚肉輸入量の約2割弱を占めており、国内供給量の約1割を占めていることを明らかにしました。つまり、日本が消費する豚肉の10分の1近くをスペインに依存していたということになります。
このような大きな割合を占める国からの輸入が停止されることで、今後の豚肉価格が上昇する可能性があると予想されています。大臣は「輸入をしないということになりますと、豚肉需給に一定程度の影響は当然ある」とコメントし、問題の深刻さを認識している姿勢を示しました。
生ハム供給の混乱が懸念される
特に懸念されているのが生ハムの供給問題です。スペインは高品質な生ハムの産地として世界的に知られており、日本の消費者にも人気があります。輸入停止により、スペイン産の生ハムが市場から消える可能性が高いものの、適切な代替品がなかなか見当たらないという状況が生じています。
現在、食品関連企業では在庫の確認が急速に進められています。複数の食品輸入業者からは、現在ある在庫に関しましても、品切れになり次第販売を一時的に停止する可能性があるという発表が出ており、消費者の間で生ハムの争奪戦が起こるのではないかという懸念が高まっています。
国内農業への影響と対応策
豚肉輸入において、スペインは国別で3番目の重要な供給国です。この大切なパートナー国からの輸入が停止されることで、日本の食肉業界全体に大きな影響をもたらします。スペイン産豚肉に依存していた食品製造業者や外食産業は、急遽代替品の確保を迫られることになるのです。
農林水産省は、このような状況に対応するため、商社などに対して他国産豚肉への切り替え状況についての情報収集を進める方針を明らかにしました。オーストラリアやカナダ、メキシコなど、他の豚肉輸出国からの輸入量を増やすことで、需給バランスを保つ努力が始まっています。しかし、スペイン産のように高品質で特定用途に適した豚肉の代替を見つけることは容易ではないと予想されます。
消費者への影響と今後の見通し
このアフリカ豚熱の発生とそれに伴う輸入停止は、日本の一般消費者にも影響を及ぼす可能性があります。豚肉全体の価格上昇に加えて、生ハムやスペイン産の豚肉製品の品薄や価格上昇が予想されるのです。
鈴木大臣は「全体の2割程度を占めるスペインからの輸入停止が続けば、今後価格が上昇していく可能性がある」とコメントしており、今後の動きを注視していく必要があります。輸入停止措置は現在「一時停止」という位置付けですが、スペイン国内のアフリカ豚熱の拡大状況によっては、長期化する可能性も想定されます。
食品業界の対応状況
食品輸入業者や食品製造企業では、既に対応に動き始めています。スペイン産豚肉の代替品確保、価格の見直し、商品企画の変更など、様々な対応が検討されています。また、消費者からの問い合わせも増えており、業界全体が緊張感を持ちながら状況を見守っている状態が続いています。
今後、アフリカ豚熱がスペインでどのような広がりを見せるのか、そして日本の輸入再開がいつになるのかが、日本の食肉市場の大きな焦点となっています。短期的には供給不足と価格上昇が避けられないと見られており、消費者や関連企業による早めの対応が求められる状況です。
