チャップリン家が初めて公認したドキュメンタリー映画『チャップリン』が12月19日から全国公開へ

20世紀最大の映画スター、チャーリー・チャップリンの知られざるルーツに迫るドキュメンタリー映画『チャップリン』が、2025年12月19日(金)より角川シネマ有楽町ほか全国で順次公開されます。この映画は、これまで数多く制作されてきたチャップリンに関する作品の中でも、チャップリン家が全面的に協力し、初めて公認した唯一のドキュメンタリーとなります。

本作は、チャップリンの息子マイケル・チャップリンが製作を担当し、孫のカルメン・チャップリンが監督を務めるという、家族が紡ぐ新たなチャップリンの物語です。極貧の少年時代からアメリカを追放されスイスで過ごした晩年まで、映画の神様チャップリンの人生を、ロマのルーツという新たな視点から描き出しています。

ジョニー・デップがチャップリンのロマのルーツについて語る

公開に先立ち、チャップリンを敬愛する俳優ジョニー・デップが登場する本編映像が解禁されました。映像の中で、デップはチャップリンのルーツであるロマについて語っています。デップは以前、チャップリンの作品に対して「放浪紳士は心が優しく、根っこから純粋でありながら、ワルな一面も持っています」と魅力を語っており、今回の映像ではその深い理解に基づいた解説を行っています。

デップは自身が所有するトレーラー・ハウスの中で、チャップリン作品に通じるロマ文化の影響について語ります。この映像は、チャップリンの創作の根底にあるロマ文化という要素に焦点を当てた、非常に興味深い内容となっています。

家族ならではの視点でチャップリンの真の姿に迫る

本作では、マイケル・チャップリンが父の足跡をたどりながら、父の名声と親の七光りという重圧に苦しんだ自身の人生、そして父子断絶を経て関係を見つめ直すという個人的で深い物語が展開します。カルメン・チャップリン監督は「チャップリンの物語はこれまで何度も語られてきましたが、共同脚本に参加するなかで、父マイケルの視点から個人的なアプローチをしたいと考えたのです」とコメントしています。

また、『ドクトル・ジバゴ』などで知られる女優で娘のジェラルディン・チャップリンも出演し、家族ならではの視点でチャップリンの真の姿に迫っていきます。カルメン監督は「祖父は様々な階級や職業の人々を魅了し、自分の子どもたちにも情熱と創造的自由を体現するインスピレーションを与えました」とコメントを寄せています。

日本初公開となるプライベートフィルムも登場

本作では、『キッド』『街の灯』(1931年)『独裁者』(1940年)『ライムライト』(1952年)などチャップリンの名作映像に加えて、日本初公開となる家族撮影のプライベートフィルムも登場します。

これらの映像を通じて、チャップリンの幼少期の記憶、ユダヤ人・共産主義者とされた過去、そして放浪紳士にも通じるロマ文化の影響など、多様な切り口から人物像に迫っていきます。多角的な視点からチャップリンを描くことで、これまで知られていなかったチャップリン家のロマのルーツが明らかにされ、その文化によって祖父がどのように芸術家一家を生み出したのかについても解明されていくのです。

映画化作品情報

映画『チャップリン』

  • 公開日:2025年12月19日(金)角川シネマ有楽町ほか全国順次公開
  • 原題:Chaplin: Spirit of the Tramp
  • 製作年:2024年
  • 上映時間:90分
  • 製作国:スペイン・オランダ・イギリス・フランス合作
  • 監督:カルメン・チャップリン
  • 製作:マイケル・チャップリン
  • 音楽:ナサニエル・メカリー
  • 撮影:ケネス・オリベ
  • 編集:フーリア・フアニス
  • 出演:マイケル・チャップリン、ジェラルディン・チャップリン、ジョニー・デップ、エミール・クストリッツァ、トニー・ガトリフ、ストーケロ・ローゼンバーグ、リタ・カベルト、ファルキートほか
  • 配給:アンプラグド
  • 公式サイト:unpfilm.com/chaplin

チャップリンを敬愛する著名人たちが集結

本作には、ジョニー・デップをはじめ、エミール・クストリッツァなど、チャップリンを敬愛する著名な映画人たちが参加しています。この豪華な出演陣により、チャップリンの映画人生と人生そのものがいかに多くの人々に影響を与えてきたかが示されています。

チャップリンの創作の背景にあるロマ文化という要素は、彼の作品に登場する「放浪紳士」のキャラクターに通じるものであり、この新たな視点からチャップリンを理解することで、彼の作品がより深い意味を持つことが明らかになるでしょう。

3000年以上の歴史を持つロマ文化とチャップリン

ロマ文化は、ヨーロッパを中心に広がる独特の文化であり、その自由奔放で芸術的な特性は、チャップリンの作品に大きな影響を与えています。本作を通じて、チャップリンがなぜ社会的弱者や貧困層に寄り添い、喜劇の中に深いヒューマニズムを込めることができたのかが、より明確に理解できるようになるでしょう。

チャップリン家が初めて公認したこのドキュメンタリーは、単なる伝記映画ではなく、家族の記憶と愛情で綴られた、非常に個人的でありながらも普遍的な人間ドラマとなっています。映画好きの方はもちろん、人生について深く考えたい方にとって、この作品は必見となるでしょう。

参考元