嵐ラストツアー札幌公演と大学入試が時期重複 受験生への影響が深刻化

国民的アイドルグループ「嵐」が来年5月での活動終了を発表し、ラストツアーの日程が明らかになった。しかし、ツアーの初日となる札幌公演が北海道大学の入試後期日程とほぼ同時期に開催されることが判明し、受験生やファン、そして教育行政の間で対応を巡る議論が広がっている。

ラストツアーの概要と札幌公演の位置づけ

嵐は2025年5月6日に公式X(旧Twitter)を通じて、「再び5人で集まり、嵐として来年の春頃に予定しているコンサートツアー開催に向けて動き始めます」と報告し、「このツアーをもちまして、嵐としての活動を終了いたします」と宣言した。その後、11月22日に発表された「ARASHI LIVE TOUR 2026『We are ARASHI』」は全国5大ドームで全15公演を行う大規模ツアーとなっている。

ツアーの初日は2026年3月13日から15日までの3日間、札幌市内にある大和ハウスプレミストドーム(札幌ドーム)での公演に設定された。嵐が札幌ドームでライブを開催するのは2019年以来のことで、全国から多くのファンが札幌に集まることが予想されている。

北海道大学の後期入試と重なる日程

問題となっているのは、北海道大学の2026年度一般選抜・後期日程試験の実施日である。北大の後期入試は3月12日に予定されており、嵐の札幌公演開始日の3月13日とわずか1日違いで重なっているのだ。宿泊や交通手段の確保、そして移動の集中がこの時期にほぼ一致することから、「実質的な競合になる」との指摘が出ている。

受験生たちは入試直後の移動や宿泊が困難になるリスクに直面している。特に札幌以外の地域から受験に来た学生にとって、ホテルの確保が極めて困難になる事態が懸念されている。

ホテルと交通機関の予約状況の逼迫

ラストツアーの日程発表直後から、札幌市内のホテルや飛行機の予約が埋まる事態が発生した。札幌ホテルヤマチの支配人は「発表の午後6時になってからネットを中心に一気に満室近い状態になりました」とコメントしている。

これらのホテルや交通機関の予約は、嵐のコンサートチケット販売開始前の段階で既に埋まっているという異例の事態となっている。実はチケットの抽選申し込みすら始まっていない状況にもかかわらず、予約が殺到した理由としては、ファンの強い期待とラストツアーという歴史的な機会を逃したくないという心理が働いていると考えられる。

受験生への配慮と松本文科相のコメント

この状況を受け、松本文科相は受験生に向けて「落ち着いて受験準備を進めてほしい」とのコメントを出した。北大の入試課も「安心して受験に臨めるよう努めてまいります」と対応を示唆している。

文科相の発言は、受験生たちが心理的に不安を感じていることに対する配慮を示すもので、教育行政として受験環境の確保に最善を尽くす姿勢を表明している。

北大生協による対策の発表

北大と関係機関も対応に乗り出している。北大生協は嵐ラストツアー開催で対策を発表し、受験生向けの支援内容を検討している。具体的には、ホテル確保の相談窓口の設置やキャンセル待ち対応など、受験生の利便性を高める取り組みが進められている。

SNSで広がるファンと受験生の声

SNS上では、この状況について様々な意見が交わされている。ファンからは「5人でのラストツアーを見届けたい」という強い熱意が表明されており、「ようやく発表されたツアー日程。大切な初日だから絶対に行きたい」といったコメントが多く寄せられている。

一方で、受験生やその保護者からは「気の毒すぎる」といった同情の声も上がっており、受験生がホテルを確保できず受験準備に支障が出る可能性への懸念が表明されている。この状況は、国民的アイドルのラストツアーという一生に一度の機会と、受験生たちの人生を左右する大学入試という重要な試験が衝突した、複雑な社会現象として注目されている。

過去のツアー実績と今回の規模

嵐が札幌ドームでコンサートを開催した2019年の際にも、全国から多くのファンが札幌に集まり、ホテルや飛行機の予約が混雑した実績がある。今回はラストツアーという歴史的な意義があるため、当時以上の人出が予想されている。5大ドームでの全15公演という大規模なツアー構成により、札幌公演に集中するファン層の数はさらに増える可能性が高い。

今後への対応と課題

今後、教育委員会や交通・宿泊関係者との協力により、受験生と嵐ファンの双方が納得できる形での対応が求められている。具体的には、受験生向けのホテル確保支援、遠方からの受験生への配慮、そして交通機関の適切な配置などが検討されるべき課題として浮かび上がっている。

受験生にとって大学入試は人生の大切な転機であり、その受験環境を確保することは社会全体の責任である。一方で、嵐のラストツアーは国民的アイドルグループの活動終了前の最後の機会として、多くのファンにとって歴史的な意味を持っている。これら両者の利益を調整し、バランスの取れた対応を進めることが、今後の重要な課題となるだろう。

松本文科相の「落ち着いて受験準備を進めてほしい」というメッセージは、受験生に対する心理的サポートとともに、関係機関が最大限の支援を行うという意思の表れとも言える。この複雑な状況を乗り越えるために、全ての関係者による協力と配慮が必要とされている。

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