大原優乃が初の母親役で地元・鹿児島での撮影を語る
actress・大原優乃が、映画『天文館探偵物語』での撮影秘話を明かしました。timelesz・寺西拓人の映画初主演作となる本作で、大原は初めての母親役に挑戦しています。12月2日に公開されたインタビューでは、役作りへのこだわりや、共演者との関係性、そして地元・鹿児島での撮影を通じた感情の変化について語っています。
地元での撮影で感じた特別な環境
鹿児島県出身の大原にとって、地元で撮影することは大きな目標でした。本作は実在する鹿児島の天文館を舞台に撮影されており、大原はこの目標が叶ったことへの喜びを述べています。撮影期間中は実家から現場に通う毎日だったとのこと。身寄りのないシングルマザー・凪という、抱えるものが大きい役柄でありながら、実家と現場を行き来する生活の中で、感情を気持ちよく切り替えられたと語っています。
「これは地元での撮影ならではの経験だった」と大原は振り返っており、限られたスケジュールの中でのハードな撮影スケジュールであっても、諸江監督の穏やかな現場作りと鹿児島の空気感に支えられたと述べています。
初の母親役に向けた入念な役作り
大原が初の母親役に向けて追求したこだわりは、多くの工夫が込められています。最も重要だったのは、「『母親らしく演じよう』という気持ちを捨てること」だったと語っています。これは、型にはまった母親像ではなく、より人間らしい複雑さを持つキャラクターを表現するための選択でした。
ビジュアルにおいても、徹底したこだわりがありました。最初はヘアメーク担当者が大人っぽいメークをしてくれていたのですが、身寄りのないシングルマザーという役柄を考え、監督と相談の上、より素朴な見た目を目指すことに決めました。ヘアメークも出来るだけそぎ落とし、わざと髪の毛にはうねりを残すなど、細部にまでこだわっています。
さらに、息子役の上村駿介との演技シーンでは、特別な注意を払いました。初めての撮影で緊張していた上村に対し、大原は自分なりに気にかけ、少しでも撮影を楽しんでもらえるよう配慮したと述べています。撮影の空き時間には、なるべく手をつなぐようにして、「この手を離しちゃいけないな」という想いを持ちながら役作りをしていたそうです。上村の母親にリサーチして、好きなお菓子やゲームを用意し、空き時間は一緒にゲームをしたりお菓子を食べたりするなど、自然な親子関係を築く努力がなされました。
共演者・寺西拓人との関係性
大原が初めて共演した寺西拓人についても、温かいコメントを残しています。どんなにシリアスなシーンが控えていても、フラットに現場にいる姿勢に、寺西の優しさが現場にも伝染していったと述べています。撮影中には、鹿児島の魅力などについても話し合っていたとのこと。
一方、映画の悪役・拓海を演じた原嘉孝は、自分の撮影がない日にも寺西に会いに来ていたというエピソードが明かされています。原は、撮影は数時間で終わったものの、スケジュールが2泊3日だったことを役作りのチャンスと捉え、寺西との時間を大切にしていました。
バーテンダーの技術も本格的に習得
大原は、凪というキャラクターをより現実的に表現するため、撮影準備段階で本格的な役作りを行いました。バーテンダーとして働くシーンをリアルに演じるために、実際に本物のカウンターで数週間、「見習いバーテンダー」として撮影準備を行っています。撮影前には自ら鹿児島市内のバーに通い、氷の割り方やカクテルの注ぎ方を習得するなど、徹底した準備が行われました。
寺西拓人の初主演への道
timelesz所属の寺西拓人にとって、『天文館探偵物語』は映画初主演作です。アイドルとして培ってきた表現力が、この映画で活かされています。ステージでファンと向き合い、瞬時に感情を伝える技術を身につけた寺西は、その過程で培われた「観察力」と「瞬発力」を探偵役としての役作りにリンクさせました。撮影現場では、「このシーンで少し黙ってみよう」と自ら提案し、監督からも「君の静かな時間がこの映画に必要だ」と評価を受けています。
また、撮影スタッフからの「調査報告」によると、寺西はエキストラ1人ひとりに挨拶と自己紹介をしていたほか、自分の出番ではないシーンで一般人のフリをして現場に近付き、スタッフを驚かせるなど、現場での姿勢も高く評価されています。
地元との協力体制で成り立つロケーション撮影
本作の撮影は、鹿児島の冬に行われました。気温が下がる中での夜のロケ撮影には苦労も多かったとのこと。天文館の飲食店街では、実際に地元の店主が協力し、朝4時から看板の灯りを灯し直したり、通行止めの許可を得て重機や照明を設置したりと、街を巻き込んだ熱量あるロケが行われています。
再開発をめぐるクライマックス撮影は、天文館アーケード内の一角で夜間密かに敢行されました。通行止めの看板を設営するだけでも地元協力が不可欠であり、撮影チームは事前に複数回の地元説明会を開催するなど、丁寧な調整が行われています。
実際に路面電車が動いている街中を自転車で走るシーンなど、印象深い撮影も多く、スタッフも撮影中ずっと鹿児島にいるなど、作品への強い想いが感じられます。
大原優乃の今後への決意
大原は、これまでを振り返る中で、家族と応援してくださっている方々が自分の原動力であることを述べています。「皆さんの思いに応えられるように、良い意味で毎回裏切っていけるように挑戦し続けていきたい」とコメントしており、見せたい自分を追求するというよりも、相手とのコミュニケーションを通じて感じる嗅覚を大事にしていく姿勢を強調しています。
地元での撮影という特別な環境の中で、初の母親役に真摯に向き合った大原優乃。その経験は、今後のキャリアにおいて大きなターニングポイントとなることが予想されます。
映画『天文館探偵物語』について
本作は、バーで働きながら密かに探偵業も営む宇佐美蓮(寺西拓人)が、DV夫から逃げてきたというシングルマザーの凪(大原優乃)を助けたことから、天文館エリアの再開発を巡る巨大な陰謀に巻き込まれていくストーリーです。timelesz・寺西拓人の映画初主演作であり、大原優乃の初の母親役でもあります。


