マーベリックスのアンソニー・デイビス、古巣レイカーズ戦で1カ月ぶりの戦線復帰を果たす

ダラス・マーベリックスのスター選手、アンソニー・デイビスが11月28日(現地時間)、ロサンゼルス・レイカーズとの試合で約1カ月ぶりの戦線復帰を実現しました。ふくらはぎの炎症により10月30日のインディアナ・ペイサーズ戦以来、14試合の欠場を余儀なくされていたデイビスの復帰は、NBAファンから大きな注目を集めています。

ふくらはぎの怪我で長期離脱していたデイビス

デイビスは今シーズン開幕から5試合に出場しましたが、その後、ふくらはぎの炎症により試合出場ができない状況が続いていました。当初は11月9日のワシントン・ウィザーズ戦での復帰が計画されていましたが、マーベリックスのオーナーであるパトリック・デュモンが慎重な判断を下しました。デュモンは、「ふくらはぎの負傷悪化リスクがゼロであることをデータで証明できるまでは復帰を認めない」という方針を取り、復帰時期を延期することを決断したのです。

この決定の背景には、マーベリックスの医療・パフォーマンスディレクターであるヨハン・ビルズボロの慎重な助言がありました。同ディレクターは、デイビスが完全に回復し、ふくらはぎの再発リスクが確実にゼロになるまで待つべきだと主張していたのです。

「古巣凱旋」となったレイカーズ戦での復帰

デイビスの復帰戦相手が古巣のレイカーズであったことは、特別な意味を持ちます。デイビスは2019-20シーズンから昨シーズン途中にトレードされるまで、6シーズンをレイカーズで過ごしました。その間、312試合に出場し、平均24.8得点、11リバウンド、2.2ブロックを記録しており、2020年のリーグ制覇と2023年のNBAカップ初代王者の獲得に貢献した功労者です。

ロサンゼルスのレイカーズ本拠地であるクリプトドットコムアリーナでは、かつての優勝をもたらした功労者であるデイビスに対して、ファンから温かい拍手が送られました。復帰戦でのこのシーンは、デイビスの長いレイカーズでのキャリアと貢献が、いかに大きなものであったかを物語っています。

マーベリックスとレイカーズの「世紀のトレード」

デイビスとレイカーズの関係は、2月に行われた「世紀のトレード」によって新たな展開を迎えました。このトレードによって、デイビスはマーベリックスに移籍し、レイカーズはルカ・ドンチッチを獲得しました。デイビスの復帰戦は、この歴史的なトレードの当事者たちが初めて対戦する舞台となり、多くのNBAファンから注目が集まりました。

試合では、デイビスとドンチッチの直接対決も話題となり、両スターの活躍が期待されました。一方、この試合はNBAカップ(シーズン中のトーナメント)の一部でもあり、レイカーズは既にグループラウンド突破を決めていた一方で、マーベリックスは敗退が決定していました。

出場時間に制限がかかったデイビスの復帰戦

デイビスが14試合の欠場を経ての復帰であったため、復帰戦では出場時間に制限が設けられました。怪我からの回復段階では、段階的な復帰が重要であり、フルで出場することは避ける必要があったのです。

復帰戦終了後、デイビスは記者団に対して「出場時間制限は辛い」とコメントしました。長期間の離脱を経ての復帰であっただけに、フルで活躍したいという気持ちがあったものの、チーム医療スタッフと球団の判断を尊重する必要があったのです。

チーム状況と復帰への期待

デイビスが長期離脱していた間、マーベリックスの成績は振るいませんでした。開幕から5試合で2勝3敗とスタートしたものの、デイビスの離脱後は3勝11敗という低迷が続いていました。その後の全体成績も5勝15敗と、カンファレンス最下位争いを強いられているという深刻な状況でした。

デイビスの復帰は、このチームの危機的な状況を打開する大きな転機となることが期待されていました。今シーズン、デイビスは5試合に出場して、平均20.8得点、10.2リバウンド、1.2ブロック、1.6スティールを記録しており、チームに得点とリバウンドの両面でもたらす貢献は極めて大きいのです。

トレード報道の中での復帰

復帰時期については、別の問題も浮上していました。11月12日にはニコ・ハリソン元ゼネラルマネージャーが解雇され、デイビスがトレード対象になったという報道が加速していたのです。

これについてデイビスに質問が投げかけられた際、彼は以下のようにコメントしました。「そういう話は僕のプレーに影響しないよ。そもそも僕は、ずっとトレードの噂の中にいたからね。僕の仕事はコートに立ってプレーすることであり、このチームを引っ張ることなんだ。その結果として何かが起きたとしても、自分でコントロールできることではない。僕はフロントオフィスと常に連絡を取り合っているし、早くコートに戻る準備を進めているよ」と、プレーに専念する姿勢を見せました。

復帰戦での心情とこれからの展望

復帰戦終了後、デイビスは「1週間か10日で、もっとコンディションは良くなる」とコメントし、今後さらなる調整を進めていく考えを示しました。長期離脱からの復帰直後は、完全な状態まで戻るには時間が必要であり、段階的に自分のリズムを取り戻していく必要があるということを理解していたのです。

また、彼は「リズムはいずれつかめる」というコメントも残しており、マーベリックスの成績向上に向けた前向きな姿勢を示しました。マーベリックスは既にNBAカップのグループラウンド敗退が決定していますが、デイビスの復帰により、シーズン中盤以降の巻き返しが期待されています。

今後のスケジュールと期待

デイビスは復帰戦の翌日に行われたロサンゼルス・クリッパーズとの試合には出場しない予定であり、その次の試合から本格的な復帰を予定していました。段階的な調整を進めることで、チームへの貢献を最大化しようとしているのです。

マーベリックスが優勝を目指すためには、デイビスの活躍が不可欠です。彼のこれからのパフォーマンスが、チームの浮上の鍵となることは確実であり、ファンからの期待も非常に高い状況が続いています。

デイビスの復帰は、単なる一人の選手の帰還ではなく、マーベリックスというチーム全体の再生の象徴となるかもしれません。古巣との対戦で幕を開けた彼の新章が、どのような展開を見せるのか、NBAファンの注視が集まっています。

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