リップル急落で市場が揺れる──チャート分析から見える売り優勢の展開

2025年12月1日、仮想通貨市場で大きな変動が起きています。特にリップル(XRP)は急落し、売り優勢の状況へと転換しました。現在、市場アナリストたちは1.9ドル割れによるさらなる下落再加速の可能性を警告しており、ビットコインを含む主要な暗号資産全体の動向が注視されている状況です。

リップルの急落──何が起きたのか

11月から12月にかけてのリップル相場は、複雑で混合的なシグナルを発信してきました。11月のXRPは約13%の下落を記録し、弱い月間パフォーマンスを示していました。その後、12月初旬に向けて市場の期待が高まっていた矢先の急落は、多くのトレーダーに衝撃を与えました。

現在、リップルの価格は2.19ドル前後で推移しており、11月末の2.20ドル付近からさらに下落傾向を示しています。特に注目されているのは、1.9ドル割れという重要なサポートレベルです。このレベルを下回った場合、さらなる下落加速が予想されており、市場参加者たちが警戒を強めています。

チャート分析から見える技術的な懸念材料

テクニカル分析の観点からは、いくつかの重要な指標が下降トレンドの形成を示唆しています。日足レベルの時間軸では、XRPは明らかな下降トレンドを形成しており、価格は356円前後で推移しています。特に405円をローソク足実体で明確に下抜けたことにより、下降トレンドが確定したとみられています。

コスト基準のヒートマップによると、最も強い供給クラスタは2.445ドルから2.460ドルの間に位置しており、約17億4900万XRPが存在します。この領域は以前から抵抗として機能してきており、たとえETF流入が強い状態であっても、この壁を突破することの難しさが指摘されていました。現在、価格がこのレベルを下回ったことで、さらなる下値を探る展開が想定されています。

重要なサポートレベルと今後の展開

チャート分析において重要とされているのは、いくつかの主要なサポートレベルです。現在の2.19ドル付近からさらに下落した場合、次に注目すべき重要なゾーンは2.119ドルとされています。このレベルを下回ると、再び1.772ドルのサポートが露呈することになり、さらなる下落のリスクが高まります。

一方、反発シナリオを考える場合、2.307ドルをクリアし、さらに重要なブレイクアウトレベルである2.459ドルを突破することが必要とされています。ただし、現在の売り優勢な状況下では、このような反発シナリオが実現する可能性は限定的と見られています。

ETF流入という期待と現実のギャップ

12月のリップルについては、大きな期待が寄せられていました。NoOnesのCEO、レイ・ユセフ氏は、ETFを通じた機関投資家の需要が活発であることから、12月がXRPにとって異なる月になる可能性が高いと述べていました。実際に、XRPはすでに640億ドル以上のETF流入が続いていることが指摘されており、機関投資家の関心は高い状態でした。

しかし、現実の市場動向は、これらの期待とは異なる展開となっています。ETF流入が続いているにもかかわらず、売り圧力がそれを上回る強さを示しており、結果として急落へと至りました。これは、技術的な抵抗レベルの突破に失敗したことと、一般的な利益確定売りの圧力が結合した形と考えられます。

ビットコイン関連とその他の暗号資産への影響

リップルの急落は、単独の問題ではなく、より広い暗号資産市場全体に波及しています。ビットコインを含む主要な暗号資産も同様のチャート分析の対象となっており、市場全体の動向に影響を与えている状況です。イーサリアム(ETH)やソラナ(SOL)といった他の主要アルトコインも、リップルの下落と連動した変動を見せており、市場全体がリスク回避ムードに転じているとみられます。

特に注目されているのは、BTC関連のLayer 2ソリューションが2860万ドルの調達を実現するなど、技術的な発展は続いている点です。しかし、これらのポジティブなニュースも、現在の売り優勢な相場環境を覆すには至っていません。

RLUSDの拡張と市場の複雑性

2024年12月にはリップルのステーブルコイン「RLUSD」が承認されるなど、ポジティブなニュースが相次いでいました。この承認により、リップルエコシステムの拡張が期待されており、長期的な成長シナリオを支える要因とされていました。しかし、短期的なチャート動向は、これらのファンダメンタルな要因を現在のところ上回る売り圧力を示しています。

RLUSDの拡張に関する注目が集まっていますが、市場参加者の多くは現在の価格動向に対処することを優先しており、長期的なポジティブ要因が短期的な売り圧力に覆い隠されている状況が続いています。

アナリストの予測と現実のズレ

Forbesが2025年7月に実施したエキスパートパネル調査では、2025年末のXRP平均価格を2.80ドルと予測していました。また、Grokはリップルが2.65ドルに到達することを予測するなど、相応の上昇を見込む声も存在していました。しかし、これらの予測は現在の市場動向との乖離が顕著となってきています。

2.60ドルから2.61ドルへの突破が、テクニカルとファンダメンタルの両面から注目されるレベルとされていましたが、価格がこれらのレベルから大きく下落した現状では、これらの予測が実現する道のりはより困難になったと言えます。

売り優勢への転換の背景

リップルが売り優勢への転換を余儀なくされた背景には、いくつかの要因が考えられます。まず、11月の弱いパフォーマンスから引き継がれた売り圧力があります。11月のXRPが約13%下落したことにより、テクニカル的な弱気シグナルが形成されていました。

次に、重要な抵抗レベルである2.445ドルから2.460ドルの領域が、供給クラスタとして機能し、価格の上昇を阻止したことが挙げられます。この領域を突破できなかったことで、買い意欲が減退し、逆に利益確定売りが増加しました。

さらに、市場全体のリスク回避ムードも一因と考えられます。ビットコインを含む暗号資産全体が調整局面を迎えているとみられており、このような環境下ではアルトコインであるXRPは特に売られやすい傾向があります。

1.9ドル割れによる下落再加速の警告

市場アナリストが特に警告しているのが、1.9ドル割れによるさらなる下落再加速の可能性です。1.9ドルは、テクニカル的な重要なサポートレベルと見なされており、このレベルを下回ることで、さらなる売り圧力が増加する可能性があります。

1.9ドルを割った場合、次のターゲットは1.772ドルのサポートレベルとなり、さらに下落した場合はレンジ相場への移行が想定されています。このシナリオが実現した場合、短期的な反発の機会は限定的となり、より大きな調整が必要になる可能性があります。

投資家への影響と市場心理

現在の急落は、多くの投資家に心理的な影響を与えています。12月初旬の期待が高かっただけに、その後の急落はより強いネガティブ心理を生み出しており、投げ売りが加速する可能性も指摘されています。

特に、短期的なトレンドフォロー戦略を取っていたトレーダーにとっては、下降トレンドの確定は売却シグナルとなり、さらなる売り圧力を生じさせるメカニズムが働いています。このような心理的な要因も、現在の市場動向を加速させている一因と考えられます。

今後の見通しと注視すべきポイント

今後のリップル相場を占う上で、注視すべきポイントはいくつかあります。まず、1.9ドル割れが実現するかどうかは、極めて重要な判断基準となります。この水準が割れれば、さらなる下落が予想されますが、ここでの反発が見られれば、短期的なボトム形成の可能性もあります。

次に、ETF流入の継続性も重要な要因です。市場アナリストがETF流入を12月のXRP価格の主要な追い風と見なしていたことから、この流入が継続できるかどうかは、相場の転換を判断する上で欠かせません。

さらに、ビットコインを含む暗号資産市場全体のマクロトレンドも影響を与えます。相場全体がリスク回避ムードを脱することができれば、XRPもそれに連動した反発の可能性があります。一方、市場全体の調整が深まれば、XRPも一層の下落圧力にさらされることになるでしょう。

現在のところ、リップルは明らかに売り優勢な状況にあり、1.9ドル割れによるさらなる下落再加速の可能性は十分にあります。投資家は、これらのテクニカル的な重要レベルを注視し、市場動向を慎重に追跡する必要があります。

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