AGC株価が上昇トレンド、アナリスト予想も好材料で注目集める
直近の株価動向
AGC(旭硝子)の株価が堅調な動きを見せています。2025年11月28日時点で5,401円と、前日比で71円(+1.33%)上昇しており、ここ数ヶ月間の上昇トレンドが続いています。11月の月間を通じて見ると、11月4日の4,862円から5,401円まで、約11%の上昇率を記録しており、市場からの関心が高まっていることが伺えます。
年初来の高値は11月12日の5,381円で、現在の株価はこれに近い水準で推移しています。一方、年初来安値は4月7日の3,870円であり、この半年弱で約40%の上昇となっています。このように中期的な上昇トレンドが確立されているのは、市場がAGCの経営改善や業績向上に期待を寄せている証拠と言えるでしょう。
アナリスト予想が示唆する強気姿勢
注目すべきは、複数のアナリスト予想が相次いで発表されている点です。直近のアナリスト評価では、AGCに対する総合判断が「買い」とされており、その内訳は強気買いが2人、中立が6人となっています。
さらに重要な動きとしては、アナリストによる目標株価が4,300円に引き上げられたことです。これはレーティング中立を据え置く判断とセットでの発表であり、市場が企業の足元の改善を認識しながらも、今後の業績拡大には慎重なスタンスを保っていることを示唆しています。
2025年12月期経常利益の上方修正期待
最新のアナリスト予想では、AGCの2025年12月期経常利益予想が対前週1.8%上昇した模様です。この上方修正は、市場がAGCの業績改善を段階的に評価していることを示しています。
実際の四半期決算では、AGC株式会社の2025年12月期第3四半期決算は売上高1兆5,121億円(前年同期比1.4%減)、営業利益948億円(同0.9%増)となりました。売上が減少する中での営業利益増加は、自動車用ガラスや欧米建築ガラスでの価格政策効果が表れていることを意味しており、経営戦略が機能していることが見て取れます。
一方で、化学品の販売価格下落や電子部材の出荷減少といった下押し要因も存在していますが、これらは市場環境の一時的な変動と見なされており、中長期的な収益性改善の可能性を損なうものではないと評価されている状況です。
投資家が注視すべきポイント
現在の5,401円という株価に対して、アナリストの平均目標株価は4,965円で、理論的には若干の下値調整が想定されています。しかし、これはあくまで平均値であり、強気買い判定を出しているアナリストも存在することから、個別の予想には幅があることが分かります。
材料面では、自動車用ガラスという成長分野での価格政策が効果を発揮していることが重要です。自動車業界は電動化や自動運転技術の発展に伴い、より高機能なガラスへの需要が増加傾向にあり、AGCはこの市場機会を活かす立場にあります。
また、欧米の建築ガラス事業も好調であり、この地域での価格上昇が利益に寄与していることは、グローバル展開の強化という経営戦略が成果を上げていることを示しています。
今後の見通し
現在のアナリスト予想や株価動向から判断すると、AGCは中期的には堅調な推移が期待される状況にあります。経常利益の段階的な上方修正、営業利益の増加基調、そして複数の成長分野での価格政策効果という点が、ポジティブな要因として認識されているようです。
投資家にとっては、次四半期の決算発表時に化学品事業の状況や電子部材の出荷動向がどう推移するのか、さらには新興国市場での需要喚起の進展状況に注目することが重要になるでしょう。これらの指標が改善すれば、さらなる株価上昇のトリガーとなる可能性もあります。
AGCの今後の展開は、グローバルな経済環境と建築・自動車産業の需要動向によって大きく影響を受けることが予想されますが、現時点では市場の期待が比較的高い状況が継続していると言えます。



