日経平均株価が下げ幅を拡大、12月相場のスタートは波乱含み

2025年12月1日の東京株式市場で、日経平均株価は大幅な下落でスタートを切りました。朝9時台の時点で下げ幅が400円を超えるなど、序盤から売り圧力が強まっています。前営業日の11月28日に50,253円91銭で4日続伸を記録したばかりですが、新しい月を迎えたことで相場の流れが一変した形です。

この急落の背景には、11月相場における日経平均株価の遅れが意識され始めたことが挙げられます。11月の日経平均は月間で4.11%の下落となり、8ヶ月ぶりのマイナス月を記録しました。一方、割安株で構成されるTOPIXは月間で1.39%上昇するなど、市場内で銘柄選別が進んでいるのが現状です。このようなパフォーマンスの乖離が、12月相場のオープニングで出遅れ修正を意識させる形につながっているとみられます。

年末相場の構造と投資判断の転換点

12月の東京株式市場は、単なるもみ合い局面として推移する可能性が高いと予想されています。市場参加者の間では、年末対策としての損切りの重要性が話題になり始めました。特に個人投資家にとって、来年に備えるための「良い損切り」の判断は、今後の資産形成に大きな影響を与える重要な選択肢となっています。

11月末から12月初旬にかけて、市場では以下のような動きが注目されています:

  • 中間配当金の支払い本格化に伴う、高配当バリュー株への再投資買い
  • 少額投資非課税制度(NISA)の年間投資枠を使い切るための買い動き
  • 半導体関連銘柄など相場をけん引してきた成長株への持ち高調整
  • 大型で割安な銘柄への相対的な資金流入

11月28日の市場では、TOPIXバリュー指数が連日で最高値を更新するなど、割安株が堅調に推移していました。これは、配当再投資を意識した個人投資家の買いが支えになっていたことを示しています。一方、東エレクなどの半導体関連銘柄には売りが優勢となり、指数を押し下げる場面も目立ちました。

市場参加者が直面する現実的な課題

12月の相場環境では、年末調整に向けた投資判断が重要になります。損切りを含めたポートフォリオの見直しは、単なるネガティブな行為ではなく、来年の投資戦略を最適化するための必要な過程として認識されつつあります。

市場では「12月は配当再投資に加え、NISAの年間投資枠を使い切る動きが出て、大型で高配当の銘柄に買いが入りやすい。相対的にTOPIXの堅調さが目立つ月となりそうだ」との見方が聞かれており、大型で高配当の銘柄に対する買いが続く可能性があります。

11月28日の東証プライムの売買代金は概算で4兆6,995億円となり、9月17日以来の少なさを記録しました。これは市場参加者が限定的であったことを意味し、年末相場に向けた参加者の慎重姿勢が垣間見えます。

年初来のパフォーマンスと相場の展望

2025年の日経平均株価は、4月7日に年初来安値の30,792円74銭を付けた後、11月4日に年初来高値の52,636円87銭を記録するなど、大きな変動を経験してきました。この期間の値動きの中で、市場の期待と現実のズレが徐々に明らかになっています。

11月の下落局面では、市場参加者の間で銘柄選別が加速しました。成長株から割安株への資金シフトが進む中、12月のもみ合い相場では、この流れがさらに顕著になる可能性があります。

投資家が今、考えるべきこと

年末相場を前に、投資家にとって重要なのは自分のポートフォリオの現状把握です。損切りという言葉はネガティブに聞こえるかもしれませんが、来年に向けた資産配分の最適化と考えれば、明るい展望につながる可能性があります。

市場では「もみ合いが続きそう」との予想が広がっており、急速な相場変動よりも、じっくりとした判断の時間が与えられています。この期間を有効活用し、税金対策を含めた年末調整を進めることが、2026年への良いスタートを切るための第一歩となるでしょう。

12月1日の朝からの下げは、市場全体が新しい相場局面へのシフトを模索していることを示唆しています。投資家一人ひとりが、焦らず、慎重に、しかし前向きに判断を下すことが求められる時期到来です。

参考元