2025年新語・流行語大賞、本日午後に発表へ SNS流行語との違いに注目

年末恒例の「新語・流行語大賞」の発表が、12月1日午後に控えている。激動の1年を象徴する言葉を選ぶこの授賞式では、「働いて。働いて…」や「長袖をください」といった複数の有力候補が大賞の座を争っており、業界内でも大きな注目を集めている。

21年ぶりのスポンサー交代で迎える2025年

今年の新語・流行語大賞は、特別な背景を持つ発表となる。これまで長年にわたってユーキャンが特別協賛してきた同賞だが、今年は21年ぶりにスポンサーが交代。「現代用語の基礎知識選 2025 T&D保険グループ新語・流行語大賞」として、新たな体制での発表となるのだ。この名称変更は、流行語大賞の歴史において重要な転換点を意味している。

スポンサー交代という変化の中での発表となる今年の大賞は、社会全体の関心を集めるイベントとなることが予想される。年末の恒例行事として定着したこの授賞式は、その年の社会現象や流行をまとめる重要な指標として機能してきた。

複数の有力候補が大賞を争う

大賞候補には、複数の興味深い表現がランクインしている。その中でも特に注目されているのが「長袖をください」という表現だ。このフレーズは、人気テレビ番組『水曜日のダウンタウン』の企画から生まれた言葉で、インターネット上で大きな話題となった。番組の名探偵津田という企画から派生したこの言葉は、若い世代を中心に広がりを見せている。

一方、「働いて。働いて…」も有力候補として挙げられており、これが大賞に選ばれるか否かについても、SNS上で活発な議論が展開されている。

SNS流行語大賞との併存で見える流行語の多様化

興味深いことに、2025年は複数の流行語ランキングが発表される年となっている。総合ネットセキュリティ企業「イー・ガーディアン株式会社」は、すでに「SNS流行語大賞 2025」を発表している。X(旧Twitter)上で2025年に最も多くつぶやかれたフレーズをランキング化したこのランキングでは、大阪・関西万博の公式キャラクター「ミャクミャク」が大賞に決定した。累計450万回以上つぶやかれたというこのキャラクターは、2022年の初登場時にもその独特な姿が話題となり、当時のランキングでも7位に入っていた。

SNS流行語大賞では、カテゴリ別にも様々なトップが選ばれている。ゲーム部門では2月に発売された『モンスターハンターワイルズ』が1位を獲得。漫画・アニメ部門では『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』が1,000万件以上の圧倒的な差をつけて1位となった。ドラマ・映画部門では、日本映画として初めて世界興行収入1,000億円を超えた『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』が選ばれている。

SNS流行語大賞ランキングの3位には「エッホエッホ」が入っており、これは一般ユーザーの何気ない投稿から話題となり、300万回以上もつぶやかれるまでに成長した言葉だ。メディアや人気コンテンツが発祥ではなく、SNS上の一般投稿から生まれた流行語が大ヒットするという、ソーシャルメディア時代ならではの現象を示している。

「流行語が生まれなくなった」という議論から見える変化

近年、「流行語が生まれなくなった」という指摘が業界内で聞かれるようになっていた。社会全体で共有される言葉や現象が減少し、個別化・細分化が進む現代では、従来のような国民的な流行語が誕生しにくくなっているという懸念である。しかし、2025年の複数のランキング発表から、実は流行語は確実に生まれ続けているという事実が浮かび上がっている。

むしろ、流行語の「生まれ方」が多様化しているのだ。従来のメディアを通じた流行語もあれば、SNS上での一般投稿から誕生する流行語、テレビ番組の企画から広がる流行語など、複数のチャネルから同時に流行語が生成されるようになった。これは社会の多元化とメディア環境の変化を象徴している。

SNS流行語大賞の関係者は、「特に印象深いのは3位の『エッホエッホ』です。一般ユーザーの何気ない投稿から話題となり、300万回以上もつぶやかれる大ヒットワードに成長しました。メディアや人気コンテンツが発祥でなくても流行語が生まれるというのは、SNSならではの魅力だと感じます。来年の流行語はみなさんの投稿から生まれるかもしれませんね」と述べており、流行語文化の民主化を指摘している。

年末恒例イベントとしての意義

新語・流行語大賞は、単なるランキング発表ではなく、その年の社会を象徴する言葉を確認するための社会的儀式として機能してきた。大賞に選ばれた言葉は、その年の世相を反映し、歴史的な記録としても残されていく。今年の大賞がどの言葉に決定するかは、2025年がどのような年であったかを後世に伝える重要な指標となるだろう。

複数のランキング体系が存在する現在、流行語の多面性がより明確に可視化されるようになった。SNS流行語大賞による「X上での投稿数」というデータドリブンなアプローチと、従来の新語・流行語大賞による「社会的インパクト」の評価という二つの視点が、流行語の全体像をより豊かに描き出している。

本日午後の発表に向けて

12月1日午後に発表される新語・流行語大賞のトップ10と大賞受賞語は、日本の社会トレンドを代表する言葉として広く認識されることになる。「長袖をください」や「働いて。働いて…」といった候補から、最終的にどの言葉が選ばれるかは、選考委員会による総合的な判断に委ねられている。

スポンサーの交代を経ての初めての発表となる今年の新語・流行語大賞は、新しい時代の流行語文化がどのように展開していくかを示す重要な機会となるだろう。流行語は社会を映す鏡であり、その変化は社会全体の変化を物語っている。本日の発表が、2025年の社会像をどのように彩るのか、注視が集まっている。

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