大手銀行5行が12月から住宅ローン固定金利を一斉引き上げ 変動金利は据え置き
長期金利の上昇を受け、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行、三井住友信託銀行、りそな銀行の大手銀行5行は、2025年12月1日から適用される住宅ローン金利を変更することを発表しました。固定金利は引き上げられる一方で、利用者の多い変動金利は据え置きとなります。
固定金利が10年もので引き上げ 市場金利の上昇が背景
固定金利は10年もの国債の金利である長期金利の影響を直接受けます。最近の長期金利上昇に対応する形で、大手銀行5行はそろって10年固定型の最優遇金利を引き上げることを決定しました。
三菱UFJ銀行の例では、12月の新規借入時の10年固定金利が年2.26%からとなり、変動金利は据え置きで年0.67%からの設定です。このように大手銀行がそろって固定金利を引き上げるのは、市場全体の金利上昇トレンドを受けた統一的な対応といえます。
変動金利は全行が据え置き 利用者の負担軽減に配慮
一方、変動金利については利用者の負担増を避けるため、大手銀行5行すべてが基準金利を据え置く判断をしました。変動金利は固定金利よりも市場の動きに敏感に反応しやすいという特性がありますが、今回は政策的配慮から上昇を見送られた形です。
ただし、注目すべき点として、三菱UFJ銀行は最優遇金利を0.075%引き上げて0.67%に設定しています。基準金利は据え置きでも、最終適用金利は申込内容によって決定されるため、実際の借入条件によって影響を受ける可能性があります。
背景にある日銀の金融政策 今後の金利動向の見通し
住宅ローン金利の引き上げ動きは、日本銀行の金融政策と密接に関連しています。日銀は2025年1月の金融政策決定会合で政策金利を0.25%引き上げて0.5%程度とする追加利上げを決定していました。この決定が市場全体に波及し、長期金利の上昇につながっているのです。
この政策金利引き上げにより、住宅ローンの変動金利の新規申し込みは2025年4月から金利が上昇。返済中の変動金利についても7月から金利が引き上げられています。こうした流れの中での今回の固定金利引き上げは、さらに上昇圧力を強める展開となっています。
また、2024年10月には多くの銀行が基準金利の見直しを行ったことで、変動金利は上昇傾向となっています。2004年頃をピークに下がり続けていた住宅ローン金利が、ここ数年で反転上昇に転じており、この傾向は2025年も続くと見られています。
フラット35も引き上げ 12月は2.05%が予想される
民間銀行だけでなく、住宅金融支援機構が提供するフラット35についても引き上げが予想されています。フラット35の2025年12月の金利は2.050%(前月比+0.15%)と予想されており、11月の1.900%からの上昇が見込まれています。
ただし、フラット35の金利設定には「激変緩和」という政策的配慮が働く場合があります。過去の急騰局面では、上昇幅を0.05ポイント程度に抑えるケースが多く見られており、実際の12月の金利が1.90%から1.95%の幅に収まる可能性も指摘されています。
借り手に与える影響 返済額の増加を試算
固定金利の引き上げは、住宅ローンの利用者に直接的な影響を与えます。例えば、借入金額3,000万円・返済期間35年のケースでフラット35の金利が1.90%から1.95%に上昇した場合、月々の返済額は764円増加することになります。
この程度の金利上昇であれば大きな負担増ではありませんが、積み重なると家計に無視できない影響を与える可能性があります。特に新規に住宅ローンを組む予定がある方や、現在の返済条件に不満がある方は、金利上昇前のタイミングでの対応を検討する価値があるでしょう。
今後の見通し 2025年以降も上昇基調が続く可能性
2025年以降についても、住宅ローン金利は変動金利・固定金利ともに上昇の可能性があるとみられています。国内の賃金・物価上昇が日銀の追加利上げに繋がるためです。ただし、景気悪化時には据え置きや引き下げもあり得るため、経済動向に注視が必要です。
10年固定金利も市場金利の上昇に合わせて各銀行が引き上げを続けており、この流れが2025年も継続すると見られています。ソニー銀行や楽天銀行といった主力銀行も12月の10年固定金利を引き上げており、大手銀行の動向と足並みをそろえています。
住宅ローン選びのポイント 固定か変動かの判断が重要に
金利上昇期のこの時期は、住宅ローン選びが非常に重要になります。固定金利と変動金利のどちらを選ぶか、あるいは返済期間の途中で見直す必要があるのかといった判断を迫られる借り手が増えるでしょう。
変動金利は現在据え置きですが、今後さらに引き上げられるリスクがあります。固定金利は今後も上昇する可能性が高いため、長期的に金利を固定したい場合は、できるだけ早期に手続きを進めることが有利に働く可能性があります。
住宅ローンの借り換えを検討している方にとっても、今月のタイミングは重要です。金利が上昇し続ける中では、わずかな金利差が長期的には大きな負担の差につながるため、複数の金融機関を比較検討する価値があります。
専門家のアドバイス 今が判断のタイムアウト?
こうした環境下で、住宅ローンの選択肢や見直しについて、お金の専門家に相談することをお勧めします。個別の返済能力、家計状況、今後のライフプランなどを総合的に判断した上で、最適なローン選択ができるからです。
固定金利と変動金利の選択、借り換えのタイミング、返済期間の設定など、複雑な判断が求められる住宅ローン。金利上昇が続く現在は、これまで以上に「今何をすべきか」を慎重に検討する必要があるのです。



