お笑い芸人バカリズム、NHK朝ドラ『巡るスワン』の脚本家に決定!新しい視点で”何も起こらない日常”を描く

お笑い芸人のバカリズムが、NHK連続テレビ小説の脚本を手がけることが明らかになりました。2027年度前期放送予定の『巡るスワン』(読み:まわるすわん)で、脚本家としての新たな挑戦に臨むことになります。この発表は11月21日にNHK放送センターで行われた制作・主演発表会見で明かされ、大きな話題を呼んでいます。

バカリズムが選ばれた理由とは

バカリズムは、これまで『架空OL日記』や『ブラッシュアップライフ』などのテレビドラマ脚本を手掛けてきた実績を持つ脚本家です。今回のオファーは昨年の春に受けたということで、当初は所属事務所も芸人活動と長期間にわたる脚本制作の両立について懸念していたそうです。しかし、バカリズム本人は「なかなかこんなチャンスはない」と、このチャンスを逃さないことを決断しました。

制作統括の桑野智宏氏は、バカリズムを起用した理由について、「毎日笑って明るくなれるドラマがいいなと思ったときに、自然とバカリズムさんが浮かびました。バカリズムさんの作風は、タイムリープや宇宙人などのSF的な設定に目が行きがちですが、その中にある日常を面白く描いていて、そういうタッチが目指す方向とマッチングがいいと思った」と語っています。

『巡るスワン』のあらすじと舞台設定

『巡るスワン』の舞台は、現代の長野県です。主人公は刑事に憧れて警察官になった女性警察官。しかし、配属されたのは生活安全課という、ドラマではあまり題材にされてこなかった部署です。生活安全課は「事件が起こらないこと」が使命とされる部署で、防犯のため自作の演劇を披露したり、市民からの相談に乗ったりする仕事を行っています。

刑事に憧れていた主人公は、配属されたことに「あれ、思っていたのとなんか違う」と不満を感じ、地味な仕事に戸惑う日々を送ることになります。新聞やテレビにも取り上げられない地味な業務ですが、佐和署生活安全課の個性的な上司や先輩、後輩たちと真面目に業務に取り組んでいくことになるのです。このドラマは、何かを成し遂げた人でもなく、夢にがむしゃらに突き進む訳でもない。仕事はちゃんとするけど、休日には友人と愚痴をこぼす、どこにでもある日常を過ごす主人公が、”何も起こらない日常を守る”という道を見つけるまでのヒューマンコメディーとなっています。

扱うテーマは、悪徳商法や不法投棄、行方不明者、少年非行、DVやストーカー、風俗営業の許認可、防犯啓発活動など多岐にわたります。刑人を逮捕したことはなく、防犯イベントで犯人役として逮捕されてばかりという、なんともコミカルな設定も特徴的です。

バカリズムが生活安全課を選んだ理由

バカリズムが生活安全課という設定を選んだ理由は、「警察署の中で唯一、事件を未然に防ぐ部署であり、ドラマになるような事件が起こらないことが成果だからこそ、なかなかドラマにされたことがない。そこに魅力を感じた」とのことです。通常、警察ものドラマといえば刑事課が舞台になることが多いのですが、バカリズムはあえて題材にされることの少ない部署に焦点を当てることで、新しい視点を生み出そうと考えたのです。

バカリズムは、最初は多くのファンタジーや設定を案出していたと述べています。しかし、「全10話程度だったらそれなりに突飛な発想やファンタジーな設定でやれるんですけど、半年持たせることがしっくり来なくて……。半年は僕も初めての経験なので、なんやかんやいろいろあって、最終的に日常を描こうと着地した」と、朝ドラという長編ドラマ形式に向き合う過程を語っています。

ドラマのタイトルに込められた意味

『巡るスワン』というタイトルには、複数の意味が込められています。まず、舞台となる諏訪市の風景の一部となっている諏訪湖には、白鳥形の遊覧船が航行しています。また、警察官のことを「お巡りさん」と呼ぶことから、「巡る」という言葉が選ばれました。これらの要素を組み合わせることで、舞台となる地域の特性と警察官としての役割が、タイトルに自然に反映されているのです。

バカリズムの意気込みと執筆計画

バカリズムは、朝ドラという大きな歴史の中のバトンの一つを預かることについて、「すごく光栄に思っております」と述べています。また、自身が作る作品に「社会に対しての強烈なメッセージ」を込めるタイプではないというバカリズムは、「毎朝ちょっと笑って一日を始められるような作品になればいいかな」と期待を述べています。

執筆にあたっての最大の懸念事項は「締め切り厳守」だとバカリズムは語っています。演者側として、脚本が届かないことで困った経験があり、そういった現場では脚本家が悪口を言われることも目の当たりにしてきたそうです。そこで、「こんなことを言われるんだったら絶対締め切りは守ろう」と決意しています。現場全体に迷惑がかかり、クオリティーも下がってしまうからです。

年末年始はしっかり休みを取って体調を万全に整え、執筆は年明けから始める予定とのことです。

主演の森田望智について

『巡るスワン』の主演を務めるのは、女優の森田望智です。森田は、朝ドラという大きな歴史の中のバトンの一つを預かることについて、「すごく光栄に思っております」と意気込みを語っています。森田が演じる役はどれも似た印象がないということで、バカリズムの世界でどう演じるのか、期待が高まっています。

長野県の期待と地域への影響

『巡るスワン』が長野県を舞台にすることで、地域は大きな期待を寄せています。朝ドラの舞台が長野県内になるのは、11年ぶりのことだとのことです。これにより、地域への観光客増加や地域産業の活性化が期待されており、地方創生の観点からも注目されています。

バカリズムの過去の実績

バカリズムは、これまで『架空OL日記』や『ブラッシュアップライフ』などのテレビドラマ脚本を手掛けてきました。特に『ブラッシュアップライフ』は、その作品を見た家族がドラマ視聴後に家事や宿題に向かう際に元気になっているように見えたという、視聴者からのポジティブな感想も寄せられています。このように、バカリズムの脚本には、日常に明るさと元気をもたらす力があるのです。

今回の朝ドラ起用は、バカリズムの才能がテレビ界でも認められ、芸人が朝ドラの脚本を書くという現象そのものが興味深いと判断されたことの表れでもあります。

期待される社会への影響

『巡るスワン』が目指す「毎朝ちょっと笑って一日を始められるような作品」というコンセプトは、現代社会において非常に重要な役割を果たすと考えられます。日々の生活の中で、朝から笑顔になれる時間を持つことで、視聴者の心身の健康に良い影響を与える可能性があります。

また、生活安全課という題材を通じて、社会の中で静かに機能している部署や役割の重要性を多くの人々に知ってもらう機会となるかもしれません。刑事ドラマのような劇的な事件解決ではなく、地道な防犯活動や相談対応を通じて、社会を守ることの大切さを描くことで、新しい視点をもたらす可能性があるのです。

バカリズムの完全オリジナル脚本による『巡るスワン』は、2027年度前期に放送予定です。朝ドラという長い歴史を持つ番組に、芸人出身の脚本家がどのような作品をもたらすのか、多くの視聴者の期待が集まっています。

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