スリランカ人男性の強制送還中止を求める野党議員らが入管庁に要請

日本の難民政策をめぐる新たな動きが注目を集めています。野党議員らが、スリランカ人男性の強制送還の中止と日本での在留特別許可の認定を求めて、2025年11月27日に入管庁に対して要請を行いました。この動きは、日本における難民受け入れ政策と不法滞在者対策のバランスについての議論を改めて浮き彫りにしています。

増加する送還と難民申請者の現状

入管庁が発表した「国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプラン」の実施状況によると、2025年8月末までに203人が護送官付きで国費送還されています。このうち、送還停止効の例外規定が適用された人は61人に上り、国籍別ではトルコが26人、スリランカが16人、ナイジェリアが4人となっています。

特に注目すべき点は、送還停止効の例外規定による送還が急増していることです。2024年には19人だった送還数が、2025年には42人へと増加し、目標ベースの送還体制が強化されている実態が明らかになっています。

難民支援団体が指摘する懸念事項

認定NPO法人難民支援協会は、この状況に対して「最優先で行われるべきは、難民の送還ではなく難民認定制度の改善である」とコメントしています。長年にわたって日本に逃れ、庇護を求めてきた難民申請者の安全が、根本から脅かされている現状を強く懸念しているのです。

特にスリランカ出身者については、2024年6月に施行された改正入管法により、3回目以降の難民申請者の送還が可能になったことで、その安全性が大きく揺らいでいます。日本政府が十分な庇護を行ってこなかった実態があり、多くのスリランカ出身難民申請者が送還の危機に直面しているのが現状です。

適正手続と情報公開の課題

難民支援協会は、送還に関する適正手続の確保についても指摘しています。改正入管法の施行以降、入管庁は退去強制令書発付者に「送還に関するお知らせ」を配布していますが、送還予定時期が事前に通知されず、出訴期間中の送還も可能とされている点が問題視されています。

さらに、難民申請者の大半が弁護士にアクセスできていないという実態も指摘されており、適切な法的支援を受けられない状況で強制送還が進められている可能性が懸念されています。送還を停止するための資料提出の機会が十分に保障されていないことも、深刻な問題として挙げられています。

国際的な視点と日本の責任

スリランカは、政治的不安定さや人権侵害の懸念がある国として国際的に認識されています。難民条約に基づき、日本は自国での迫害を逃れた者を保護する責務を負っています。しかし、現在の日本の難民認定率は先進国の中でも極めて低く、国際的な批判も受けています。

野党議員らの要請は、このような国際的な人権基準と日本の現状のギャップに対する問題提起であり、難民政策の人道的側面を重視する声を代表しています。

「ゼロプラン」と人権のバランス

入管庁の「不法滞在者ゼロプラン」は、3年後に護送官付き送還の数を倍増させるという目標を掲げています。難民支援協会は、このような目標ありきの送還を強く懸念しており、むしろ「慎重かつ抑制的な運用」が必要であると主張しています。

不法滞在者の管理と難民の保護というふたつの課題の間で、日本政府がどのようなバランスを取るのかが、今後の大きな課題となっていきます。

スリランカとの関係構築の取り組み

一方、キリンホールディングスによる「キリン ネイチャースクール in スリランカ」といった、スリランカとの友好的な関係構築の取り組みも進められています。このような企業による国際交流事業と、難民政策という別の側面から、スリランカとの関係がより多面的に展開されています。

今後への展望

野党議員らの要請と難民支援団体の指摘は、日本の難民政策の根本的な見直しを促す重要な声となっています。国民の安全確保という目標と、難民の人権保護という国際的な責務のバランスを、どのように取るのかが問われる局面を迎えています。

今後、入管庁の対応と、これに対する社会的な議論の展開が注視される状況が続くと予想されます。スリランカ出身者を含む難民申請者の安全と、適正な手続保障が確保されるための制度改善が、急務となっているのです。

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