トランプ大統領、第三世界からの移民受け入れを「永久停止」と宣言

ドナルド・トランプ米国大統領は、感謝祭の時期に合わせて、第三世界諸国出身の移民を今後一切米国に受け入れないという極めて強硬な方針を表明しました。この発表は、米国の移民政策において極めて重要な転換点となるもので、同大統領の反移民姿勢がさらに強化されていることを示しています。

ホワイトハウス近郊での銃撃事件が引き金に

トランプ大統領がこのような強硬な方針を打ち出すきっかけとなったのは、ホワイトハウス近郊で起きた深刻な事件です。11月26日、ワシントンDCのホワイトハウス近郊で任務遂行中だった州兵のセラ・ベクストロム上等兵(20歳)が銃撃により死亡するという事件が発生しました。この事件の容疑者がアフガニスタン国籍の移民であることが判明したことで、米国の世論は大きく揺れ動き、移民に対する不安感が高まりました。

トランプ大統領はこの事件に直接言及し、「唯一、逆移民のみがこの状況を癒やす唯一の解決策だ」と述べて、強硬な対応の正当性を主張しています。

第三世界出身者の完全排除政策

トランプ大統領は、感謝祭の時期に自身のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」に投稿を行い、「米国のシステムが完全に回復できるよう、あらゆる第三世界の国からの移民を恒久的に中断する」と明言しました。この方針は、単なる一時的な措置ではなく、永続的な移民制限を目指すものとなっています。

大統領は移民が米国社会に「機能障害」をもたらすと主張し、「米国内の外国人人口は5300万人に達し、大半は失敗国家や刑務所、精神病院、犯罪組織の出身だ」と述べています。さらに、「グリーンカード(永住権)所持者が3万ドルを稼げば、その家族は年間5万ドルに達する恩恵を受ける」と指摘し、移民が米国の財政に負担をかけていると主張しています。

既に市民権を得た移民の剥奪も検討

トランプ大統領の方針は、単に新規の移民受け入れを停止するにとどまりません。ジョー・バイデン前政権下で入国した移民を追放し、すでに与えられた市民権を剥奪するという極めて過激な措置も示唆しています。

さらに、「治安を損なう移民は市民権を剥奪し、公共の負担となる、あるいは西欧文明と両立できない外国人を追放する」と述べており、市民権の剥奪という前例のない措置を検討していることが明らかになりました。

バイデン前政権の政策を逆転

「バイデンがオートペン(自動署名機)で承認した不法入国者数百万人を追い出し、米国に資産にならない、または国家を愛さない者をすべて排除する」とトランプ大統領は述べています。この発言からは、バイデン前政権の相対的に緩やかな移民政策に対する強い不満が伝わります。

同時に、「米国を破壊する者は長く持ちこたえられないだろう」と警告し、移民に対する厳しい態度を強調しています。

特定の地域と出身国への厳しい言及

トランプ大統領は、特定の地域と人物に対する攻撃の度合いも強めています。ソマリア移民が多いミネソタ州に言及し、「ソマリアのギャングが街を闊歩し、獲物を探している」と述べています。ミネソタ州には現在、8万人に達するソマリア系アメリカ人が居住していると推定されており、この発言は地域のソマリア系コミュニティに対する明らかな差別的表現となっています。

ホワイトハウスは6月にアフガニスタン、ハイチ、ソマリア、スーダンなど19カ国を移民制限の対象に指名していますが、今回の措置はこの政策をさらに拡大するものとなっています。

行政側も即座に対応

トランプ大統領の方針表明に応じ、米国移民局(USCIS)のジョセフ・エドロ局長は、「大統領の指示に従い、すべての『懸念国』出身の外国人の永住権を全面再調査している」と明らかにしました。これは単なる意思表示ではなく、実際の行政措置として、すでに実行に移されていることを示しています。

非市民への支援停止も検討

トランプ大統領はさらに、「非市民に対するすべての連邦政府レベルの優遇と補助金を中断する」と述べています。これにより、永住権保持者やビザ保持者であっても、米国政府からの各種支援を受けられなくなる可能性があります。

より広い移民改革の一部

今回の第三世界からの移民完全禁止方針は、トランプ大統領がすでに大統領就任時に署名した複数の移民関連大統領令の延長線上にあります。1月20日に署名された大統領令には、国境の強制、極端な審査、米国出生権に伴う市民権の大幅な制限、人道的プログラムの制限などが含まれています。

特に注目すべきは、2025年2月19日以降に米国で生まれた一定の条件下にある子どもの米国市民権取得に大幅な制限を設ける大統領令です。これにより、母親が米国に不法滞在しており、出生時点で父親が米国市民または米国のグリーンカード保持者でない子どもは、米国市民権を取得できなくなります。

さらに、キューバ、ハイチ、ニカラグア、ベネズエラの国民を対象とした人道的仮釈放プログラムも停止されており、南部国境での亡命手続きも事実上停止されています。

極めて強硬な立場の表れ

このような一連の政策の背景には、経済的な不安や犯罪に対する懸念があります。しかし、市民権の剥奪や極端な制限措置は、米国の建国理念や移民の伝統に対する根本的な問いかけをもたらします。

トランプ大統領の方針は、移民がもたらす経済的負担や治安上の課題に焦点を当てていますが、移民が米国経済に貢献してきたという側面については言及していません。特に、技術業界やSTEM分野での高度な人材育成には、移民の貢献が不可欠であるという指摘もあります。

今後の展開への注視が必要

これからの米国の移民政策がどのように展開していくかは、多くの国や地域にとって重要な関心事です。第三世界からの移民の完全禁止が実現した場合、米国経済に与える影響は多大なものになることが予想されます。また、既得権を持つ移民や市民権保持者に対する市民権剥奪措置も、法的な課題をもたらす可能性があります。

今後数週間から数ヶ月のうちに、これらの方針がどの程度実行に移されるのか、また議会や裁判所がどのような対応をするのかが、米国の移民政策の将来を決定する重要な要素となるでしょう。

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