井岡一翔、日本人初の5階級制覇へ向けて新たなチャレンジ開始

大みそかのバンタム級初戦に挑む

プロボクシングの元世界4階級制覇王者で現WBA世界バンタム級9位の井岡一翔選手(36歳)が、12月31日に東京・大田区総合体育館でベネズエラ王者マイケル・オールドスゴイティ選手(24歳)とWBA世界バンタム級挑戦者決定戦を行うと発表されました。この試合は、約7カ月ぶりとなる井岡選手の再起戦となります。

井岡選手は、今年5月にWBA世界スーパーフライ級王者フェルナンド・マルティネス選手に0-3の判定負けを喫した後、その階級から新しい挑戦の場を求めてバンタム級への転級を決断しました。この決断は、36歳という年齢でありながらも、新たな高みを目指す選手の強い意志を示しています。

バンタム級での新たな挑戦の背景

井岡選手がバンタム級への転級を決めた理由について、本人は「今まで頭になかったが前回負けたからこそ、より大きい挑戦したかった」とコメントしています。スーパーフライ級での連敗により、現役続行への葛藤を感じていた井岡選手でしたが、むしろそれが新しいチャレンジへの動力となったのです。

井岡選手は、日本男子ボクシング史上初となる5階級制覇を目標に掲げています。これまでにミニマム級、ライトフライ級、フライ級、スーパーフライ級で世界王座を獲得してきた井岡選手にとって、バンタム級での王座獲得が歴史的な快挙となるのです。

対戦相手マイケル・オールドスゴイティの実力

井岡選手の相手となるマイケル・オールドスゴイティ選手は、プロ戦績15勝(14KO)1敗で、KO率87.5%を誇る強打が武器の新鋭です。フェザー級での試合経験も持つオールドスゴイティ選手は、決して楽な相手ではありません。

当初は上位ランカーとの挑戦者決定戦が予定されていたものの、その選手がトラブルにより来日できなくなったため、WBAからの指令で対戦がオールドスゴイティ選手に変更されました。急な対手の変更に対して、井岡選手は「不安はないことはないが、やると決めた以上できる準備をして、いつも通りのパフォーマンスを出すしかない」と気合十分の姿勢を示しています。

次なる目標は井上拓真選手とのビッグマッチ

大みそか決戦の先を見据えた井岡選手の発言が注目を集めています。次戦に勝利した場合、12月17日に行われるWBA世界バンタム級王者・堤聖也選手とWBA暫定王者・ノニト・ドネア選手の勝者への挑戦が前提となります。しかし井岡選手は、その先にある大きな目標を明確にしているのです。

井岡選手が名指しした対戦希望相手は、先日WBC世界バンタム級王座決定戦で同級1位の那須川天心選手に判定勝ちしたばかりの井上拓真選手(29歳)です。井岡選手は「率直にやりたいのは拓真選手ですよ。前回の試合含めて(バンタム級で)評価が一番高いと思う。盛り上がるし、ファンの方も見たいと思う」と語っており、このビッグマッチへの想いの強さが伝わってきます。

井上拓真選手は先月24日に那須川天心選手を判定で下し、WBC世界バンタム級王者に返り咲きました。井岡選手はこの試合について「両者いいパフォーマンスだった」と評価しながらも、「セコンド、チーム含めて総合力で(天心が)負けた」と拓真選手の経験値を絶賛しています。

日本ボクシング界を代表する大型マッチへの期待

井岡選手と井上拓真選手のマッチアップは、日本ボクシング界の一大イベントとなる可能性があります。井岡選手が「チャンスをいただけるなら他団体王者に挑戦したい気持ちが強い」と述べているように、WBC王者である拓真選手への挑戦実現に向けた動きが急速に進んでいます。

興味深いことに、大晦日に行われる井岡選手の試合配信局がLeminoプレミアムに変更されました。これは井上拓真選手が所属する大橋ジムが提携している配信会社であり、両者の対戦への障害がなくなったことを示唆しています。配信プラットフォームの統一は、今後のマッチメイクを大きく有利にする可能性があるのです。

兄・井上尚弥選手との関連性

井岡選手の挑戦は、井上拓真選手の兄である井上尚弥選手の5階級制覇の動きとも関連があります。尚弥選手は現在スーパーバンタム級で4団体統一王者として活躍しており、来年5月の中谷潤人選手とのスーパーマッチを終えた後、フェザー級に上げて5階級制覇を狙うことが選択肢に入っているとのことです。

もし井岡選手がバンタム級での王座を獲得すれば、日本男子ボクシング史上初となる5階級制覇の達成者となります。同時に、井上兄弟も次々と5階級制覇に向けて進むことになれば、日本ボクシング界は世界的にも類を見ない高いレベルの競技環境が形成されることになるでしょう。

36歳での新たなチャレンジの意味

井岡選手が36歳という年齢で新しい階級に挑戦することは、ボクシング界でも異例のことです。「今までのベースを一度破壊して、再生に向けて新たな取り組みをしていきたい」という井岡選手の言葉からは、一度の敗北に屈することなく、最後の大きなチャレンジに全力で取り組もうとする姿勢が伝わってきます。

井岡選手は「ボクシング人生の中でも最後の大きな挑戦になると思う」と述べており、このバンタム級での活動が現役生活の締めくくりとなる可能性が高いと考えられています。プロボクシングの世界において、ここまでの高い目標を掲げ、それに向けて実行できる選手は稀です。

12月31日への準備

井岡選手は現在、バンタム級での活動に向けたフィジカルトレーニングに取り組んでいます。新しい階級に適応するため、瞬発力を高めるトレーニングを継続し、通常体重は1~2キロの増量をしているとのことです。細かな準備が、大みそかの決戦での成功につながる重要な要素となるでしょう。

井岡選手は所属ジムの会見で「バンタム級初戦でこのようなチャンスをもらえてうれしく思う。いい内容で勝ってタイトルマッチにつなげたい」と語りました。12月31日の試合は、日本人初の5階級制覇という歴史的な快挙への第一歩となるのです。

今後のボクシング界への影響

井岡選手の挑戦が成功するかどうかは、日本ボクシング界全体にも大きな影響を与える可能性があります。36歳での新しい階級への挑戦、そしてそこでの成功の物語は、多くの選手たちにとってのモチベーションとなるでしょう。また、井上拓真選手との対戦が実現すれば、日本ボクシング界を代表する大型マッチとなり、国内外のボクシングファンの注目を集めることになります。

大みそかのバンタム級挑戦者決定戦は、Leminoプレミアムで独占生配信されます。日本男子初の5階級制覇に向けた井岡一翔選手の新たなチャレンジが、どのような結果をもたらすのか。ボクシング界全体が注視する中、12月31日の試合が開催されることになるのです。

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