データセクション株、大型機関投資家が買い増し——AIデータセンター事業の成長期待背景に

AI関連銘柄として注目を集めるデータセクション(3905)に対して、複数の大型機関投資家が相次いで保有株式を増加させていることが明らかになりました。11月27日に報告義務が発生した大量保有報告書によると、アースエレメンツ・キャピタル株式会社がデータセクション株式の買い増しを実施し、保有割合を大幅に引き上げたとのことです。機関投資家の積極的な買い増しは、同社が手掛けるAIデータセンター事業への強い期待感を反映していると言えます。

アースエレメンツ・キャピタルが保有割合を25.48%に引き上げ

報告書によると、アースエレメンツ・キャピタル株式会社のデータセクション株式会社に対する保有割合は、25.48%となり、8.35%の買い増しを実施したことが判明しました。報告義務発生日は2025年11月17日であり、この時点でのまとまった買い増しが記録されています。

アースエレメンツ・キャピタルは東南アジアを中心とした投資活動を展開する投資企業であり、今回の大幅な買い増しは、データセクションの事業展開に対する確かな見通しに基づくものと考えられます。機関投資家による大型の買い増しは、市場全体における同社への信頼度の高さを示す重要な指標となります。

複数の大型投資家が同社の株式を保有——市場の注目度の高さを物語る

報告書に記載されている内容からは、複数の大型機関投資家がデータセクション株式の変更報告書を提出している状況が確認できます。FIRST PLUS FINANCIAL HOLDINGS PTE. LTDをはじめとする投資家も株式保有に関する報告書を提出しており、異なる投資主体からの注目度の高さが伺えます。

このように複数の大型投資家が同社に資金を投下している背景には、データセクションが展開するAIデータセンター事業への高い成長期待があると言えます。同社は2025年において業態転換を図り、AIデータセンター事業に本格的に参入した企業です。

AIデータセンター事業の急速な成長が株価上昇を牽引

データセクションの株価は、2025年初頭の700円程度から、7月時点で4320円の上場来高値を記録するまで上昇しました。この劇的な株価上昇の背景には、NVIDIA B200 GPU搭載サーバーの大規模調達と、大型顧客との利用契約締結があります。

同社は2025年7月4日にNVIDIA B200 GPU 5000個を搭載した625台のサーバーの調達を発表し、その翌営業日には4320円の上場来高値をつけました。この調達資金については、AIデータセンター顧客からの前受金48億7200万円および借入金343億3800万円を充当する計画となっています。

さらに同社は、年間1億3534万2000米ドル(約194億円相当)の契約金額を持つ大口顧客との利用契約を締結しており、2025年9月からの収益計上が予定されています。このような大型契約の獲得が、機関投資家の買い増しを促す要因となったと考えられます。

今後の成長戦略——複数案件の進展に期待

データセクションは、現在進行中の案件である「プロジェクトB」「プロジェクトC」についても、今後の契約締結を見込んでいます。これらのプロジェクトが契約に至れば、収益拡大期待はさらに高まり、企業の成長軌道がより明確になることになります。

同社の資産総額は200.4%増加しており、主にAIデータセンター事業関連の投資によるものです。今後の業績予想では、売上高の大幅な増加と黒字化を見込んでいるとのことです。このように同社の事業基盤が急速に拡大していることが、複数の大型投資家による買い増しを促しているのです。

希薄化懸念は存在——投資家の注視が必要

一方で、同社の急速な成長には注視すべき点も存在します。AIデータセンター事業の拡大に伴う資金調達による株式希薄化が懸念事項となっています。同社は過去に行使価額1250円での新株予約権の行使に向けた準備を進めており、今後も追加的な資金調達が見込まれています。

したがって、機関投資家の買い増しは同社の事業成長への期待の一方で、将来的な株式希薄化リスクを十分に理解した上での投資判断だと言えます。投資家にとっては、同社の事業展開の進捗状況と収益性の改善動向を引き続き注視することが重要です。

市場における評価の転換点

データセクションはかつて、従来事業における利益率の低下に直面していました。しかし、AIデータセンター事業への業態転換により、企業としての価値評価が大きく変わりつつあります。大型機関投資家による相次ぐ買い増しは、市場がこの企業を成長企業として再評価していることの表れと言えるでしょう。

今後、同社がプロジェクトBやプロジェクトCの契約締結に成功し、売上高の拡大と黒字化を実現できるかどうかが、株価および企業価値のさらなる上昇を左右する重要なポイントとなります。複数の大型投資家が同社に資金を投下している現状は、市場がこの可能性を高く評価していることを示す重要な市場シグナルなのです。

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