Suicaの新コード決済「teppay」が登場!PayPayとの競合で変わるキャッシュレス決済の未来

新しい決済サービス「teppay」とは

JR東日本は2026年秋より、モバイルSuicaに新たなコード決済サービス「teppay(テッペイ)」を追加することを発表しました。また、2027年春には株式会社パスモと提携し、モバイルPASMOにも同様のサービスを提供する予定です。

既にモバイルSuicaやモバイルPASMOのアプリをお持ちの方であれば、新たにアプリをダウンロードしたり登録したりする必要はありません。モバイルSuica・モバイルPASMOのアップデートに合わせて、アプリ内にコード決済機能が追加されるため、スムーズに利用を開始できます。

teppayの大きな特徴:2万円を超える買い物に対応

従来のSuicaやPASMOは、交通系ICカードの残高上限が2万円に設定されていました。しかし、新しく追加されるコード決済「teppay」では、この2万円という上限を超えた高額な買い物が可能になります。

さらに、teppayにビューカードを連携させることで、チャージが不要のまま買い物ができるようになります。このため、大きな買い物をする際にいちいちチャージの手続きをする手間が省けます。

買い物をする際には、teppayポイントが付与されます。このポイントは、teppayマークがあるお店だけでなく、Smart Codeマークがある加盟店でも利用できます。現在、Smart Code対応の加盟店は約160万カ所にのぼり、非常に幅広い場所で使用できるのが特徴です。

便利な機能が多数搭載

teppayには、日常生活を便利にする機能が数多く搭載されています。まず、「残高の送付」機能により、モバイルSuicaとモバイルPASMOの間でteppayを介して残高を送ることができます。

また、teppay残高からSuicaやPASMOへのチャージも可能です。ただし、teppay残高を銀行口座やATMに出金することはできない点に注意が必要です。

さらに、「地域限定バリュー」機能も提供される予定です。この機能を使うことで、特定の地域で利用できるバリューチケット(いわゆる「バリチケ」)が発行でき、自治体のプレミアム商品券やキャッシュレス還元事業と連携させることができます。これにより、地域内の移動や消費活性化を促進することが期待されています。

従来のSuica・PASMOとの関係性

重要な点として、teppay自体では鉄道やバスに乗車することはできません。交通利用の際には、引き続きSuicaやPASMOなどの交通系ICが使用されます。teppayはあくまで、交通系ICの機能に加える形で、決済機能を強化するものなのです。

また、通常のSuica・PASMO加盟店とteppayの加盟店は別となります。つまり、従来の交通系IC対応店舗とコード決済対応店舗は異なるということです。このため、利用できるお店の範囲が大きく広がることになります。

PayPayをはじめとする競合サービスとの関係

日本のキャッシュレス決済市場では、PayPayが圧倒的なシェアを占めています。今回のteppay導入は、SuicaやPASMOが長年培ってきた信頼性と利便性を活かしながら、コード決済の分野でPayPayと競合していく戦略だと考えられます。

Suicaが目指す戦略の一つは、「キャッシュレス疲れ」の解消です。多くの消費者が複数のアプリをスマートフォンに入れて、決済方法を使い分けるという手間を感じています。Suicaユーザーであれば、新たにアプリをダウンロードすることなくteppayを利用できるという点は、この疲れを軽減するための施策として機能します。

また、交通系ICカードという「移動」に直結した存在として、Suicaは日常生活におけるタッチポイントが非常に多いという強みがあります。通勤・通学時に毎日触れるデバイスだからこそ、そこに決済機能が統合されることの価値は大きいのです。

今後の展開スケジュール

teppayの導入スケジュールは以下の通りです:

  • 2026年秋:モバイルSuicaでのteppay提供開始
  • 2026年夏頃:加盟店の募集開始
  • 2027年春:モバイルPASMOでのteppay提供開始予定

加盟店募集は2026年夏頃から始まる予定となっており、お店側も新しい決済方法への対応準備を進めることになります。

Suicaの新しい役割:「生活のデバイス」へ

JR東日本は、Suicaを「移動のデバイス」から「生活のデバイス」へと進化させることを目指しています。交通利用だけにとどまらず、日常生活のあらゆるシーンで活用できるようにしていくという構想です。

コード決済「teppay」の導入は、この大きな方向転換の重要な第一歩となります。Suicaは、交通、決済だけでなく、地域のお客さまの様々な生活シーンにてご利用いただける存在を目指しています。

利用者にとってのメリット

一般消費者にとって、teppay導入のメリットは多くあります。第一に、複数のアプリを使い分ける手間が減ります。既にSuicaを使っている人なら、わざわざ新しいアプリをダウンロードする必要がないからです。

第二に、高額な買い物にも対応できるようになります。従来の2万円という上限がなくなることで、より多くの場面でSuicaを決済手段として選択できるようになります。

第三に、ポイントが貯まります。買い物をするたびにteppayポイントが付与されるため、ポイント還元の利便性も享受できます。

キャッシュレス決済市場の変化

日本のキャッシュレス決済市場は、今後大きな変化を迎えることになるかもしれません。既に圧倒的なシェアを持つPayPayに対して、Suicaという日本国内で最も信頼性の高いICカードが、その信用力を背景にコード決済事業に参入することは、市場に新たな競争をもたらすでしょう。

消費者にとっては、選択肢が増えることで、より自分のライフスタイルに合った決済方法を選べるようになることが期待されています。

まとめ

2026年秋に登場する「teppay」は、SuicaとPASMOが長年培ってきた信頼性と利便性を活かしながら、コード決済の分野に本格参入する戦略的なサービスです。既存ユーザーはアプリをダウンロードすることなく利用できるという点が大きな特徴であり、キャッシュレス決済の利便性と「疲れ」の軽減の両立を目指しています。PayPayをはじめとする競合サービスが存在する中でも、交通という日常生活の中心的なシーンを押さえているSuicaだからこそ実現できるサービスといえるでしょう。

参考元