2025年インフルエンザが異例の大流行 唾液ケアなど意外な感染対策が注目集める
2025年のインフルエンザ流行が例年にない早さで拡大しており、全国で感染者数が急増している状況が明らかになりました。厚生労働省の最新データによると、11月第46週(11月10日~16日)の定点医療機関当たりの報告数は全国平均37.73人となり、前週から1.7倍の急激な増加を示しています。通常であれば本格的な流行は12月下旬から1月にかけてですが、今シーズンは既に大きな拡大を見せており、多くの専門家や医療機関が注視しています。
異例の早さで進む流行拡大
今シーズンのインフルエンザ流行のペースは、昨年と比較して明らかに加速しています。10月27日~11月2日の1週間における定点医療機関からの報告数は5万7,424人で、前週の約2.3倍となり、5万人を超えるのは昨年より1か月以上早いペースです。さらに11月中旬の時点で患者数は全国で5万7,000人を突破するなど、急速な拡大が続いています。
都道府県別で見ると、特に北日本での増加率が顕著です。定点当たりの報告数は宮城県の47.11人が最も高く、埼玉県45.78人、岩手県30.24人、北海道28.20人など、北日本の都道府県が上位を占めています。この傾向は従来のように沖縄や関東南部で多かった過去のパターンとは異なり、気温差が大きくなる時期の影響が指摘されています。
インフルエンザによる学級閉鎖や学年閉鎖の対応をとっている学校も倍増しており、保育所、幼稚園、小学校、中学校、高等学校の計2,307施設で何らかの対応がとられています。愛知県を含む複数の都道府県では既にインフルエンザ警報が発令されており、全国的に警戒が高まっています。
注目される「唾液」の感染対策効果
こうした流行の中で、医療現場から新たな感染対策の重要性が指摘されています。神奈川歯科大学副学長で日本唾液ケア科学会理事長である槻木恵一氏など、研究の第一人者たちが注目しているのが唾液の効用です。唾液には抗菌作用や抗ウイルス作用を持つ成分が多数含まれており、適切なケアを通じて唾液機能を維持することが、インフルエンザを含む感染症対策に有効である可能性が示唆されています。
唾液に含まれるリゾチームやラクトフェリンなどの物質には、ウイルスの増殖を抑える働きがあります。また、唾液は口腔内の清潔さを保つことで、病原菌の増殖を防ぐ役割も果たします。さらに口腔ケアを充実させることで、唾液の分泌を適切に保つことが、全身の免疫機能向上にもつながるとされています。
意外な感染対策「10分の1超」の効果
注目を集めている感染対策の中には、これまで一般的ではなかった方法も含まれています。2025年11月27日に掲載された報道では、インフルエンザ発症率が「10分の1超」に抑えられるという意外な感染対策が紹介されています。これは従来のうがいや手洗い、マスク着用といった基本的な対策に加えて、実施する価値がある方法として注目されています。
具体的な感染対策の内容としては、こまめな手洗い、消毒、咳エチケットの継続的な実施が基本となります。これに加えて、口腔内の衛生管理を意識的に行うことが、感染リスク低減に大きな効果をもたらす可能性があります。定期的な歯磨きや舌の清掃、さらには必要に応じた専門的な口腔ケアを受けることで、唾液機能の維持と全体的な感染防御能力の向上が期待できるのです。
季節性インフルエンザのリスク軽減方法
季節性インフルエンザのリスクを減らすためには、複数の対策を組み合わせることが重要です。特に今シーズンのような異例の早期流行に対応するためには、以下のような点に注意が必要です。
気温管理と体調維持:朝晩と昼間の気温差が大きくなるこの時期は、体調を崩しやすくなります。服装や寝具を適切に調節して、体温調節に留意することが感染防止につながります。
こまめなケア:手洗いや消毒の回数を増やし、特に食事前やトイレ後、外出から戻った時の実施を徹底することが大切です。同時に、咳やくしゃみの時にはティッシュで口を覆い、他者への感染を防ぐ配慮が必要です。
口腔衛生:毎日の歯磨きを丁寧に行い、特に寝る前のケアを充実させることで、睡眠中の病原菌増殖を防げます。また、舌ブラシを用いた舌の清掃も効果的です。
免疫力維持:十分な睡眠、バランスの良い食事、適度な運動など、基本的な生活習慣の維持が感染防止につながります。特に朝食をしっかり摂取することで、1日を通じた免疫機能の維持が期待できます。
医療現場からの警告と注意喚起
医療機関では、今シーズンの異例な流行に対応するため、患者数の増加に備えた体制整備を進めています。通常であれば年明けのピーク時期に本格化する状況が、既に11月の時点で到来しているため、今後さらなる患者数の増加が予想されます。
インフルエンザは、年明けにかけてさらに患者数が増える傾向があるとされています。11月の時点で既にこの水準に達していることを考えると、12月から1月にかけての流行ピークは、例年以上の規模になる可能性が高いと考えられます。
厚生労働省は、全国民に対して感染予防の継続を呼びかけています。特に高齢者や幼児、基礎疾患のある人などの重症化リスクが高いグループに対しては、より一層の予防対策が推奨されています。
今できる対策の実施を
異例の早期流行に対応するためには、個人個人が今から対策を強化することが不可欠です。手洗いや消毒、咳エチケットといった基本的な対策を継続しながら、口腔ケアを意識的に組み込むことで、感染リスクを大幅に軽減することが可能です。
朝晩と昼間の気温差に対応した服装選択や、こまめな保湿、適切な湿度管理も同時に実施することで、総合的な感染防止につながります。医療現場からの新たな知見を活かしながら、今シーズンの流行に備えることが、個人と社会全体の健康を守る重要な鍵となるでしょう。
