ソフトバンクG、第67回社債を5000億円規模で発行

ソフトバンクグループ株式会社は2025年11月26日、第67回無担保社債(愛称「福岡ソフトバンクホークスボンド」)の発行を決定しました。発行総額は5000億円で、利率は年3.98%(税引前)となっています。この利率は同社の個人向け社債としては過去15年間で最高水準となり、個人投資家からの関心が集まっています。

社債の主な条件と特徴

今回発行される社債の基本条件は以下の通りです。申込単位は100万円以上100万円単位で、一般的な個人投資家でも購入しやすい設計となっています。

償還期限は2032年12月8日で、7年の中期社債として位置付けられています。利払日は毎年6月8日と12月8日の年2回で、投資家は定期的に利息を受け取ることができます。発行価格と償還価格は額面の100%で、追加的な手数料や割引がありません。

資金使途については、借入金の返済に充当する予定とされており、ソフトバンクグループの財務体質改善に活用される見込みです。

募集スケジュールと購入方法

本社債の申込期間は2025年11月27日から12月5日までと設定されており、払込期日は12月8日となっています。募集は国内での一般募集で、主に個人投資家をターゲットとした展開が予定されています。

野村證券、SMBC日興証券、SBI証券、大和証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、みずほ証券など、国内主要な証券会社11社が引受会社として参加しており、全国規模での募集体制が整備されています。

ソフトバンクGの個人向け社債戦略

ソフトバンクグループは個人投資家向けの社債発行に積極的に取り組んでおり、過去15年間の累積発行額は約10兆円に迫る規模に達しています。これは国内社債市場全体の約4割を占める水準で、同社が個人向け社債市場においていかに重要な位置を占めているかを示しています。

個人投資家からの高い支持を背景に、今回の第67回社債も市場から注視されています。過去15年で最高となる3.98%の利率設定は、現在の金利環境と個人投資家の需要動向を反映したものと考えられます。

社債の安全性と信用格付け

今回の社債には、日本格付研究所(JCR)から「A」の格付けが付与されています。これは個人向け社債としては良好な信用水準を示しており、投資家にとって一定の安心感をもたらします。

ただし、社債には担保が付されておらず、また本社債のために特に留保されている資産もありません。そのため、投資家はソフトバンクグループの信用力そのものに依存する形での投資となります。加えて、「担保提供制限条項」「担付切換条項」「純資産額維持条項」といった財務上の特約が付されており、ソフトバンクグループの財務悪化を抑制する仕組みが組み込まれています。

購入者特典の提供

ソフトバンクグループは、今回の社債購入者に対する特典として、申込期間中に本社債を購入した全員に「お父さん応援隊長 フリースブランケット」をプレゼントすることを発表しています。発送時期は2026年6月中旬頃を予定しており、ファンにとって嬉しい付加価値となっています。このような特典の提供は、福岡ソフトバンクホークスとのコラボレーション企画を通じて、スポーツファンと投資家層の獲得を狙ったマーケティング戦略の一環と考えられます。

市場環境と投資判断

ソフトバンクグループの社債が個人投資家の間で人気を集める背景には、安定した利息収入を求める投資家層の存在があります。現在の金利環境においても、年3.98%という利率は定期預金金利と比較して相対的に高い水準となっており、資産運用先として有力な選択肢と評価する投資家が多いと考えられます。

一方で、社債は預金保険制度の対象ではなく、元本保証がないという点は留意が必要です。投資家は自身のリスク許容度を踏まえた上で、慎重に投資判断を行う必要があります。

ソフトバンクグループの資金調達戦略

本社債の発行は、ソフトバンクグループが多角的な資金調達手段を活用する経営戦略の一環です。借入金の返済に充当するという資金使途は、既存債務の圧縮と財務体質の強化を意図したものとみられます。過去15年間で約10兆円にも及ぶ個人向け社債の累積発行は、同社の安定的な資金調達チャネルが確立されていることを示しており、今後も継続的に個人投資家との関係構築を重視していく方針が伺えます。

まとめ

ソフトバンクグループの第67回無担保社債は、過去15年間で最高の利率3.98%を提示することで、個人投資家からの積極的な応募を見込んでいます。発行額5000億円、7年の償還期限、安定した年2回の利払いといった条件は、堅実な資産運用を望む投資家にとって魅力的な商品設計となっています。国内社債市場の4割近くを占めるソフトバンクグループの個人向け社債市場での圧倒的な存在感は、同社に対する個人投資家からの根強い信頼を示す証左といえるでしょう。

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