訪日外国人の医療費不払い問題、政府が厳格化へ
2025年11月26日、日本政府は訪日外国人による医療費の不払い問題に対して、さらなる厳格な対策を検討していることが明らかになりました。特に、1万円以上の医療費を支払わずに帰国した外国人については、再入国を拒否する方針も含めて、入国審査の厳格化を進めることになりました。この動きは、高市早苗首相が主導する自民党の「外国人政策本部」が主導しており、外国人制度の適正化を進める重要な一歩となっています。
医療費不払い問題の背景
近年、日本を訪れる外国人観光客が増加する一方で、医療機関での医療費の不払いが大きな社会問題となっています。救急や緊急の診療は、国籍や保険の有無に関わらず、誰に対しても提供されるのが日本の医療制度の基本です。しかし、中には治療を受けた後、医療費を支払わずに帰国してしまう外国人もおり、その金額は年々増加傾向にあります。
こうした状況に対して、医療機関や地域住民の間では「不公平感」や「負担増」への懸念が高まっています。特に、現役世代の納税者や医療従事者にとっては、医療費の未払いが医療現場の運営や財政に悪影響を及ぼす可能性があるため、早急な対策が求められていました。
自民党の外国人政策本部が初会合
26日、自民党の「外国人政策本部」は、外国人制度の適正化に関するプロジェクトチームの初会合を開催しました。この会合では、外国人の医療費不払いへの対策を厳格化することについて、具体的な議論が行われました。高市早苗首相が主導するこの組織は、総裁直轄のプロジェクトチームとして、制度の適正化、土地規制、出入国・在留管理の3つの分野で対策を進めています。
会合では、医療費の不払いに対して、1万円以上の未払い情報を政府機関間で共有し、入国審査の厳格化を検討することが決定されました。これにより、過去に医療費を踏み倒した外国人が再び日本に入国しようとした場合、その情報が即座に確認され、再入国拒否の対象となる可能性が高まります。
具体的な対策内容
政府は、2025年6月に「医療費を踏み倒した訪日客の再入国拒否」の方針を示していましたが、今回の決定により、その方針がより具体的な形で実施されることになります。具体的には、以下のような対策が検討されています。
- 医療費の未払いが1万円以上の場合、その情報を出入国在留管理庁と厚生労働省が共有。
- 未払い情報をもとに、再入国審査で厳格なチェックを実施。
- 救急・分娩など緊急の診療は引き続き無条件で受け入れるが、計画的・非緊急の診療は前受金やデポジットを基本とする。
- 多言語での請求や即時カード決済、国際回収の手順をガイドラインで標準化。
- 保険未加入者には、院内販売型の簡易保険を整備。
これらの対策は、医療機関の負担を軽減するとともに、観光客にとっても「万が一」に備える安心を高める効果が期待されています。
保険加入の義務化も検討
さらに、訪日外国人に対する「民間の旅行医療保険加入の事実上の義務化」も検討されています。入国・査証段階で保険加入を要件とすることで、未払いの未然防止を図る狙いがあります。また、旅行商品にデフォルトで保険を組み込むことや、旅行業法上の説明義務を強化することで、観光産業とのコスト分担も検討されています。
こうした対策は、観光客にとっても安心感を高め、医療機関にとっても明確な運用ルールを提供するため、日本の医療と観光の持続可能性を守ることにつながるとされています。
医療現場の声
医療現場からは、「未払いの問題が解消されれば、安心して外国人患者を受け入れられる」という声が多く聞かれます。一方で、「救急や緊急の診療は誰に対しても提供されるべき」という意見もあり、緊急時と計画的診療の線引きが重要だとされています。
また、多言語での請求や即時カード決済の導入により、外国人患者とのコミュニケーションが円滑になることが期待されています。これにより、医療機関の負担が軽減され、より質の高い医療サービスを提供できるようになるでしょう。
今後の展望
今回の対策は、訪日外国人の医療費不払い問題に対して、政府が本格的に取り組む第一歩となります。今後は、具体的なガイドラインの策定や、医療機関・旅行業界との連携が進むことが予想されます。
また、医療費の未払い問題が解消されることで、日本の医療制度の信頼性が高まり、より多くの外国人観光客が安心して日本を訪れることができるようになるでしょう。医療現場や地域住民にとっても、大きな安心感につながる施策です。
まとめ
訪日外国人の医療費不払い問題に対して、政府は1万円以上の未払い情報を共有し、再入国拒否も検討するなど、厳格な対策を進めています。自民党の外国人政策本部が主導し、保険加入の義務化や多言語請求、即時カード決済の導入など、現実的なメニューが検討されています。これらの対策は、医療現場の負担を軽減し、観光客にとっても安心感を高める効果が期待されています。
今後も、医療機関や旅行業界との連携を進めながら、日本の医療と観光の持続可能性を守る取り組みが続いていくでしょう。



