ラピダス、北海道での第2工場建設計画が本格化 2027年度の着工を予定
国内の次世代半導体メーカーであるラピダスが、北海道千歳市における第2工場の建設計画を加速させています。2025年11月時点での最新情報によると、同社は2027年度にも第1工場の隣接地への第2工場の着工を予定しており、最先端の「1.4ナノメートル」プロセス技術による量産を目指しています。
第1工場の進捗状況と第2工場計画の位置付け
ラピダスは2023年2月に北海道千歳市での製造拠点「IIM-1」の建設を発表しました。同市が選定された理由として、事業の拡張に対応できる広大な敷地があることに加え、半導体製造に欠かせない水資源が豊富であり、様々な再生可能エネルギー活用のポテンシャルも含めて電力が充実していることが挙げられています。
第1工場となるIIM-1は2023年9月に建設を開始し、2025年4月にはパイロットラインの立ち上げを開始しました。このパイロットラインでは、既存の回路線幅2ナノメートル(nm)プロセス技術の試作が進められており、量産ラインは2027年の立ち上げを予定しています。
今回発表された第2工場計画は、この成功の上に立って構想されています。第2工場では、さらに先進的な「1.4ナノメートル」プロセス技術による半導体の量産を目指すとされています。ラピダスは千歳市の第1工場の隣接地での建設を計画しており、既に着工の準備が進められている段階にあります。
ラピダスの成長戦略と上場計画
ラピダスの急速な事業展開の背景には、国内外の市場需要の高まりがあります。同社は2027年度の後半には2ナノメートル世代の量産開始を目指しており、その後は1.4ナノメートルへのシフトを計画しています。これにより、世界の最先端チップ製造メーカーとしての地位確立を狙っています。
さらに注目すべき点として、ラピダスは2031年度の上場を目指しているとされています。この上場計画は、同社が国内外の投資家からの資金調達を含めた長期的な成長戦略の中で重要な位置を占めています。上場により、さらなる研究開発投資や生産能力の拡大が可能になるとみられます。
日本の半導体戦略における重要性
ラピダスの事業展開は、日本政府の半導体戦略の中核を成すものです。日本政府は、熊本県で操業しているTSMC(台湾積体電路製造)の工場とともに、ラピダスの北海道での次世代2ナノメートル級チップの開発・製造の国産化を半導体戦略の二本柱として位置付けています。
TSMC熊本工場は40ナノメートルから6・7ナノメートルプロセスの製造を担当しているのに対し、ラピダスは2ナノメートル以下の最先端プロセスを専門とします。このように役割分担することで、日本は半導体産業全体の国際競争力を高める戦略を採っています。
直面する課題と今後の見通し
一方、ラピダスの事業展開には課題も存在します。最先端の半導体製造技術の開発には、極めて高度な技術力が必要とされます。2ナノメートルプロセスの商用化は世界的に見ても難題が多く、量産化の実現には技術的なブレークスルーが必須となります。
また、製造に必要な最先端の装置やマテリアルの調達も重要な課題です。これらは主に海外からの輸入に依存しており、国際的なサプライチェーン管理が成功の鍵を握ります。さらに、顧客ニーズとの適合性についても継続的な確認が必要です。
それでも、ラピダスの第2工場建設計画は、日本の半導体産業復興への強い決意を示すものとなっています。2027年度の着工、2031年度の上場という明確な目標を掲げることで、国内外の投資家や顧客からの信頼獲得を目指しています。
地域への経済波及効果
ラピダスの北海道での事業展開は、千歳市および北海道全体に大きな経済波及効果をもたらすことが期待されています。第1工場と第2工場の両施設が稼働すれば、数千人規模の雇用創出が見込まれるほか、関連産業の発展も加速するとみられます。
また、世界的に半導体産業の重要性が高まる中、日本がこの分野での国際競争力を取り戻すことは、国家戦略としても極めて重要です。ラピダスの成功は、日本の産業基盤の強化にもつながる取り組みとして位置付けられています。
ラピダスは今後、2027年度の第2工場着工、2027年度後半の2ナノメートル世代の量産開始、そして2031年度の上場という三つの重要なマイルストーンに向けて、事業を進めていくことになります。これらの目標達成に向けた動向は、日本の半導体産業全体の将来を占う上で、極めて注視される重要なポイントとなるでしょう。
